お尻の穴(肛門)には絶対に大きなものを入れてはいけない理由

私の専門である消化器外科は、肛門も守備範囲です。

今回は、肛門の外傷について述べたいと思います。

「肛門の怪我なんてあるの?」

と思う方がいるかもしれませんが、実は肛門の外傷による緊急手術は少なくありません。

その多くは「肛門異物」、つまり肛門に大きなものを入れてしまうことによるトラブルです。

 

肛門が裂けるなど肛門自体の損傷もありますが、直腸の損傷が起こることも多くあります。

直腸は壁が分厚くはありませんし、表面は柔らかい粘膜に覆われていますから、異物に対してそれほど強い防御ができません。

あまりに大きなものを入れると、容易に傷がついたり穴が開いたりしてしまいます。

「摘便」といって便秘の際に指を入れて直腸を刺激して排便を促すことは普通にありますし、大腸カメラのような太さのものを挿入するのは可能です。

しかしそれより大きなものを肛門に入れるのは非常に危険です。

実際にあった事例を紹介し、注意喚起したいと思います。

 

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肛門内にグラスを挿入した

肛門内に水を飲むガラスのコップを挿入し、それが直腸の中で割れて大出血を起こしたというケースがあります。

自慰行為によるものです。

手術でしか止血は不可能と判断し、緊急手術を行って人工肛門を作りました。

 

肛門内に腕を挿入した

肛門から大腸へ、肘の近くまで腕を挿入し、大腸に大きな穴があいたケースがあります。

性行為によるものです。

大腸に穴があくと、便がお腹の中に漏れ出し腹膜炎を起こします。

便による腹膜炎は、命に関わる非常に重大な病気です。

緊急手術で人工肛門となりました。

 

肛門内に水を噴射した

工場にある水勢の強い噴射機を使って水を肛門内に噴射し、大腸に穴があいたケースがあります。

機器を使って遊んでいたとのことでした。

緊急手術で人工肛門となりました。

 

転落し肛門部を打撲した

作業中にお尻から転落し、床に置いてあった車輪が肛門内に食い込むような形で打撲し、肛門から直腸が避けて大出血を起こしたケースがあります。

こちらも緊急手術で人工肛門となりました。

 

これらの事例からわかるように、肛門外傷はほとんどのケースが人工肛門を作る手術を受けることになります。

むろん、人工肛門は時期が来れば閉鎖できることが多いですが、中には永久的な人工肛門となってしまうケースもあります。

しかも、大腸に穴があくようなケースでは重症の腹膜炎を起こし、数時間で命を失う非常に危険な状態に陥ります。

また肛門は非常にデリケートな臓器で、肛門自体を損傷した場合はもとの通り機能を回復できるかどうかわかりません。

肛門は、直腸に便が溜まっても括約筋をつかってせき止めたり、溜まった便を自在に出したり、ということができるように、非常に繊細な神経と筋肉のはたらきによって成り立っているためです。

 

肛門・直腸の外傷は事故が原因のこともありますが、度を超えた自慰行為性行為によることの方が多い印象です。

肛門は本来、性行為に適した臓器ではありません。

膣に比べて腸管は機械的な刺激に弱いことに注意が必要です。

 

余談ですが、HIV感染者の7割は男性同性愛者です。

なぜだかわかりますか?

男性同性愛者の方は性行為に肛門を使用するからです。

腸管の表面は性行為によって容易に傷つくため、精液中に含まれるウイルスが侵入しやすくなります。

 

肛門・直腸がいかにデリケートな臓器であるか、ということを示す例です。

十分に注意を払ってほしいと思います。

人工肛門について詳しいことを知りたい方はこちら

徹底解説!人工肛門ってなに?仕事や入浴はできる?どんな手術?

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