コードブルー3|医師が見て藍沢耕作がカッコいい医者だと思った瞬間

第9話の解説記事には、この1本だけで、約2日間で4万を超えるアクセス(PV数)がありました。

今回はSNSでのシェアはほとんどなく、新規で来られた約3万人の方ほぼ全員が検索エンジンからでした。

多かった検索ワードはやはり「SSS」でした。

私がこだわっている、ネット上に正しい情報をできるだけ迅速にアップしておくことが、いかに重要かを改めて実感します。

 

みなさんご存知のように、ネット上の医療情報は間違ったものが非常に多いです。

しかし残念ながら、検索でそういう記事にたどり着いて、間違った知識を身につけてしまう方が非常に多くおられます

私一人の力でどのくらいできるかは分かりませんが、今後も正しい情報を分かりやすくお届けできるよう努力したいと思います。

みなさん、このサイトには他にもたくさんの「読みやすくてためになる記事」があります。

コードブルーが終わってもぜひ来てくださいね

 

というわけで、コードブルー3rd SEASONもいよいよ次回が最終回ということで、これまでのシーンを振り返りつつ解説記事を書いていきます。

以前から、藍沢のカッコ良さをまとめて記事にしたいと思っていました。

しかし誰が見てもカッコいいとわかるシーンを解説しても意味がないので、医師(あるいは医療関係者)なら気づくコアなカッコ良さを紹介したいと思います。

私がこれまでで、藍沢が医師として最もカッコいいと思った瞬間です。

これは実は第1話にありました。

おそらく誰もがよく覚えているシーンです。

 

山車と壁に頭を挟まれた少年を白石が救命しようとします。

困難な体勢の中、なんとか気管挿管に成功したものの、意識レベルが低下してきます(意識レベルについての解説はこちら)。

頭部処置が必要なのですが、白石にはその技術はありません。

脳外科医である藍沢を呼ぶしかない

まだこのとき藍沢は救急部に戻ってきておらず、脳外科医として勤務していました。

祈るように白石が電話をかけると、藍沢が応対し、すぐに駆けつけるというシーンです。

「カッコ良いのは当たり前じゃん」と思うでしょう。

実はここのシーンは、みなさんが思う以上にカッコいい理由があります。

 

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患者の情報を全く尋ねなかった藍沢

藍沢は白石から電話を受けたとき、病状説明をしようとする白石の言葉をさえぎって、

「もういい、わかった。現場に向かう」

と即答しましたね。

これがどれほどカッコいいことなのか、説明します。

 

他の科の医師に、患者さんのことについて相談することを、業界用語で「コンサルト」と呼びます。

コードブルーでは「コンサル」と略していますが、「コンサルト」の方が一般的です。

 

他科の医師からコンサルトの電話を受けた時、どの医師でもまず知りたいと思うのは、

「口頭指示で解決できる問題かどうか」

ということです。

実際、専門科の医師への多くのコンサルトは、そういう類のものです

忙しい時は特に、自分が出向いていかなければならない相談だと、仕事の優先順位を即座に変更しなければならなくなるからです。

 

あのとき白石が見たスマホの画面には18時15分と表示されていました。

これは、外科医にとって非常に忙しい時間帯です。

日中の手術が一通り終わり、術後の患者さんの管理をしたり、手術記録を書いたりしなくてはいけないためです。

 

さらに、外科医は病棟に担当患者さんが何人もいます。

手術中にも、患者さんは色々な変化を起こしています。

病棟の看護師は、「患者さんのことについて医師に相談したいこと」がたまりにたまっているわけです。

急ぎの用事なら手術中でも医師の職員用PHSに病棟から電話をかけますが、術後でOKという用事の方が多いのが普通です。

ですからこの時間帯は、外科医は各病棟を回ってそういった相談を受け、それぞれに対応しています。

患者さんを診察し、治療方針を変えたり、病状を説明したりしないといけないことも多くあります。

 

外科医にとってこの時間帯のコンサルトは、

「これらの仕事より優先順位が低いことだったら助かる」

と考えるものです。

そのため、普通は必ず患者さんの情報を詳しく尋ねます

急ぎの用事かどうか、という確認です(もちろんどんな時間帯でもそれは同じですが)。

 

例の少年の状態なら白石に対して、

どういう状況で患者さんが受傷したのか(受傷機転、頭部以外も含めて)

血圧や脈拍、呼吸状態、意識レベル(つまりバイタル)はどうなのか

どういう治療が必要だと思われるのか

を詳しく尋ねるのが普通です(バイタルについての解説はこちら)。

緊急性を判断するためには必須の項目です

 

しかし藍沢は何一つ尋ねませんでした

どんな患者さんなのか、詳細な情報が何もないのに

「現場に向かう」

と言ったのです。

行ってみたら、自分が行かなくてもできる応急処置で済む話だった、という可能性もあったのに、です。

なぜ藍沢は何も尋ねなかったのでしょうか?

 

「この時間帯に白石から緊迫した声色で電話がかかってきたということは、もう自分が行かなくては解決しない問題が起きている」

 

と即座に確信したからです。

これは、藍沢と白石がお互いのことを知り尽くしているからできることです。

これまでに、藍沢と白石が共に歩んで来た道、乗り越えて来た困難、あらゆる経験を共有しているからこそ、説明は不要だったのだと思います。

 

チーム医療は大切だと言われます。

私も、組織として良好なチームワークは、患者さんの治療効果に大きな影響を与えると思っています。

この場面は、まさにその好例だと思いました。

結局1分1秒を争う危険な状態だった少年は、即座に現場に出向いた藍沢によって救われたからです。

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返答は「藍沢です」ではなかった

もう一つ、あのシーンには重要なポイントがあります。

白石が、

「お願い、まだいて」

と言って電話をかけます。

その時の応対は

「藍沢です」

ではなく、

「脳外科医局です」

でした。

 

病院内の場所として「医局」というと職員室と同じ意味です。

ここで「藍沢です」ではなかったということは、白石は、脳外科医局の、誰がとるかわからない固定電話に電話したということです(実際藍沢はモバイルではなく固定電話を手にしています)。

つまり、この病院の職員用のモバイルは、外線に対応していないことがわかります。

対応しているなら、白石は真っ先に藍沢のモバイルに直接かけたはずだからです。

 

どこの病院でも、全医師が個人用の職員用モバイルを与えられています。

一般的にはPHSですが、新しい病院ではスマホ型のものを給付されるところもあります(翔北ではそうですね)。

入職時に与えられ、退職時には返却する、院内専用のモバイルです。

院内で医師同士、あるいは医師と看護師など他の職種の人と連絡を取り合うためには必須の道具です。

 

この職員用モバイルは、外線対応、つまり院外から直接かけられるように設定している病院と、院外からはつながらない、外線に対応していない病院があります。

外線に対応していると便利な反面、セールスの電話がかかって来るなどトラブルの原因になるため、設定は病院により様々です。

いずれにしてもあのシーンからは、彼らの(少なくとも藍沢の)院内で持ち歩いている電話は、外線非対応だと予想できます。

(時間帯で変えているかもしれませんが、第4話の冒頭、病院からバーにいる冴島にかけた藤川、藍沢にかけた新海、そして第8話の竹内先生から緋山への電話、全て私用モバイルを使用しているので、外線非対応で統一しているように見えます)

 

ということはあの場面では、

脳外科医局に誰もいなければ誰も出ないか、違う医師がいればその医師が出て、「藍沢先生につないでください」というタイムラグが発生する可能性の方が高かった

ということです。

それなのに、まさに奇跡的に藍沢自身がその場にいて、直接その電話をとった。

そして藍沢の声で「脳外科医局です」という声が聞けた。

白石にとっても、少年にとっても、まさに救われた瞬間でした。

 

視聴者はここで、

「藍沢はやっぱり何か持っている男なのだ。患者を救うために、そういう星のもとに生まれた男なのだ」

と、白石と同じ感情を抱くことができる仕組みになっているわけです。

 

藍沢が電話に出た瞬間に、BGMがプツリと止まります。

こういう奇跡的な瞬間の訪れを表現したものです。

そしてその時、藍沢の強く握ったこぶしが映り、オープニングテーマが流れます。

ようやく3rd SEASONがここから始まった、ということです。

おそらく藍沢が、救命救急の現場に戻ろうと決意した、という意味ではないかと解釈します。

 

私は、コードブルーの数あるシーンの中でも、藍沢と白石が2人きりで話す場面が特に好きです。

厳しい現場をくぐり抜けて来たもの同士の醸し出す、そっけない言葉とは裏腹の、お互いへの信頼に満ちた独特の空気感を感じます。

あと1回でそれも見られなくなるのかと思うと残念ですが、スペシャル版や次回作にぜひ期待したいところです。

 

コードブルー全話解説記事目次ページへ→コードブルー3 医師による全話あらすじ/感想&解説まとめ(ネタバレ)


過去のシーンを見返したい方、FODで過去の放送を見ることができるのでオススメです。

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コードブルー3|医師が見て藍沢耕作がカッコいい医者だと思った瞬間」への12件のフィードバック

  1. 最近尿酸値高め

    sssでこのページに行き当たりました。
    わかりにくい医療用語やドラマの矛盾点の解説が素人にも非常にわかり易いし、上から目線とかイヤミのない文書でとても読みやすく、素晴らしいページですね。
    ただ、非常に残念なのは、コード・ブルーが次週で最終話なことです。もっと早くこのページに行き当たっていれば…
    他のページも読破してから、録画したコード・ブルーを見直したいと思います。
    次週の解説も期待しております!
    頑張って下さい。

    返信
    1. keiyou 投稿作成者

      最近尿酸値高めさん
      ありがとうございます!
      おっしゃる通り、専門家(特に医師)が講釈を垂れると、だいたい難しくて分かりにくいか、上から目線で嫌味、ということが多いですから、なるべくそうならないようかなり気を遣って文章を書くようにはしています。
      ぜひぜひこのサイトを利用していただき、コードブルーをもう一度楽しんでいただければと思います!

      返信
  2. メロンパン

    コードブルーの医療解説の記事からここにたどり着きました。わかりやすい解説をありがとうございます。
    どちらにコメントを残せばいいのか悩んだのでこちらで質問させていただきます。
    私は医学部生なのですが、もし外科を目指すなら両利きのほうがいいのでしょうか?まだ進みたい科は決まっていないのですが…

    返信
    1. keiyou 投稿作成者

      メロンパンさん
      コメントありがとうございます。
      結論から言うと、両利きである必要は全くありません。
      もちろん、上手な外科医は、手術中に利き手でない方の手も上手く使えます。
      ただしこれは実際の手術中でないとトレーニングできないことです(あくまで「手術の時に両手が上手く使えるか」という技術ですから)。
      最近外科を目指す医学生は減っているので、ぜひ外科に進んでくださいね!

      返信
  3. のんのん

    今晩。
    楽しく読ませてもらってます。
    知りたい内容(医療の専門的な事)を分かりやすく書いてくれてるので凄く参考になっています。
    コードブルー関連の記事を見ながらドラマを見直したいと思ってます。

    是非過去のドラマに対する解説やツッコミも読んでみたいです。
    特に個人的に好きなドラマの救命病棟24時やコードブルーのシーズン1や2です。

    コードブルーが終わっても時々読みに来ると思いますので、これからも頑張って書いていただきたいです。

    返信
    1. keiyou 投稿作成者

      のんのんさん
      コメントありがとうございます。
      他の多くの方からも同じコメントをいただきます笑
      私も、これまでのコードブルーはリアルタイムで見ていますし、救命病棟24時も好きなドラマですので、解説などもやりたいのですが、コードブルーが終わった後もまた医療ドラマが始まるようで、そちらが優先かなという気がしています(ニーズもありそうですし)。
      ドラマに関する記事は、それ以外より圧倒的に人気があるのは事実なので、余裕ができたらやってみますね。
      是非今後ともご愛顧よろしくお願いします。

      返信
  4. ピスタチオ

    こんにちは。いつも素晴らしいコラムありがとうございます。

    「チーム医療」のお話が出ましたが、コードブルーのメンバーが、搬入された患者さんをテンポよくチームで救命しているの様子が、見ていて心地いい一方で、実際は揉めたりしないのか不思議です。例えば、「私はその薬ではなくこっちを使いたい」とか「あの処置まだやってないの?誰がやるの?」とか「その方針には従えない!」とか…救急は手順が決まっているわけではないので、その場その場での判断ですよね。

    橘先生や藍沢先生は、リーダーポジションで指示を出している事が多いような(白石先生は院外の現場ではリーダーシップ取る事が多いですが、処置室ではそうでもない)、藍沢先生は頼りになるから、取り決めなく自然とそうなるのでしょうか?

    先生達は皆処置を声に出しながら行動してるので、それを全員で聞き取りながら、その場で前向きに議論しつつ、処置の流れを暗黙の了解で進めているのですかね。そうだとすると、あんなに緊張感ある現場なのに、コミュニケーション力高いなと思います。

    (※フェロー達が不慣れでテンポ悪いのは、仕方ないです)

    返信
    1. keiyou 投稿作成者

      ピスタチオさん
      実はその通りで、治療方針というのは答えが一つではなく、しかも救急の現場だとそれをとっさの判断で決めなくてはならないので、意見が合わないことがあります。
      結局は説得力がある誰かの意見に従うことになりますので、暗黙の了解と言うより、きっちりその根拠を示して「こうすべきだ」と言った人に従うような感じです。
      その点コードブルーは確かにスムーズ過ぎるかもしれません。
      ただ、コードブルーの初療は、一人の患者さんに対して治療する医師の数が少し多すぎる印象です。
      通常、せいぜい一人の患者さんあたり2人くらい、オペするなら多くて3人です。
      ですから、実際意見が割れることはそんなにない、というのもありますね。

      返信
  5. ピスタチオ

    ありがとうございます。
    フェロー含めて7人くらい一人の患者さんに付いていた回もありましたね。

    返信
    1. keiyou 投稿作成者

      ピスタチオさん
      普通は3人超えたあたりから、もういてもいなくても一緒、という人が出てきますよ笑
      まあどんな職種でもそれは同じだと思いますが・・・

      返信
  6. 紅白bee

    トントン・・・
    ”頭 sss”でたどりつきました。
    医療ドラマ(特にER系)大好き人間です。
    米TVドラマ「ER緊急救命室」にハマったのがきっかけです。

    3rdシーズンで唯一判らなかったのがsssでした。(他は無駄についた医療知識で理解できた)
    結局3rdシーズンの記事を全部読んでしまったのですが…
    違和感・ツッコミ記事読んでみて無駄に身についた知識が間違った知識ではなかった~と再確認できました。

    自分自身2度ほど救急外来へ…
    1度目はのどの異常で夜間救急に行ったがインフルの検査だけで風邪の診断…翌日近所の耳鼻咽喉科で診察⇒急性喉頭蓋炎で信濃町の大学病院に緊急入院
    2度目は膝頭を派手に怪我⇒救急車呼ばず自力で応急処置して救急外来へ・・・
    7針ぬったのですが、あまりの出血量に付き添いで来た相方が待合室で卒倒するという…笑

    出来れば米のER緊急救命室も読んでみたいなぁと…(医療システムも違うし20年前のドラマで医療技術も違うから面倒かも…)
    これからも医療ドラマに対する記事を楽しみに待ってます。
    長々と失礼しました。。。

    返信
    1. keiyou 投稿作成者

      紅白beeさん
      初めまして、コメントありがとうございます!
      SSS以外全て理解できるとはすごいです。
      救急外来の経験はいずれもなかなか大変だったんですね。
      私のサイトの医療ドラマ記事は、ありがたいことに非常に人気が高く、他のドラマもぜひ、というお声を多数いただきます。
      現在は、コードブルーの過去作品を解説してほしいという方が非常に多かったため1stから解説中です。
      ERは私も好きですが、見たのはかなり大昔です。治療のやり方など時代が古いためかなり変わっているのと、日本とアメリカの差も結構大きいように思いますね。
      これから新しい医療ドラマも始まるようですし、ぜひ楽しんでくださいね。

      返信

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