コードブルー3 最終回 解説|クラッシュシンドロームと横紋筋融解症はなぜ怖いのか?

コードブルー最終回は、これまでで最も強引で、最もご都合主義で、しかし最も感動的なストーリーであった。

第9話で散らばったパズルのピースを大慌てでかき集めるように、見事に回収されていく伏線

一度はバラバラになりながら、患者を救うために仲間として再び救命の舞台に集まる登場人物たち。

その中心にいたのは、やはり主役、藍沢耕作であった。

 

しかしその舞台を盛り上げるためには、やや代償が大きかったようだ。

なぜか災害現場にまで駆り出され、大いに貢献したにもかかわらず、患者さんに、

「俺が自分のキャリアや功名心を優先した」

「俺は許されなくていい、藍沢を許してやってくれ」

とまで言わされてしまう、謙虚すぎる脳外科医、新海

 

危険な現場から身を引くため、整形外科医への転向を一度は決めた藤川に対して冴島は、

「本当に一般整形に移って外来をこなす日々を望んでる?」

「あなたが選んだ道を一緒に歩きたい」

と、整形外科医が聞いたら明日から「外来をこなす」気がなくなってしまいそうな「救急至上主義的」セリフの数々(整形外科医の仕事のメインはもちろん手術)。

最終回だけに色々と余計なおまけつきだったが、もちろん、そんなコードブルーが私は大好きである

でなければ、忙しい中毎日コードブルーの記事をこんなにたくさん書いていない。

 

さて、今回は何といっても、最終回にクラッシュシンドローム電撃傷という二つの疾患を選んだ製作者には、頭が下がる思いである。

極めてまれであるが、救急領域の教科書では必ず扱われる、きわめて重要な救急疾患だ。

ただやはり、

「藤川先生にはいったい何が起こっていたの!?」

「灰谷先生が見つけたお腹の傷は一体!?」

となってしまった方は多いのではないだろうか?

心配はご無用、そのためにこのサイトがある

順にわかりやすく解説していこう。

 

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藤川を襲ったクラッシュシンドロームとは?

地下鉄での崩落事故に巻き込まれ、がれきの下敷きになってしまった藤川

周囲にレスキュー隊や医師はおらず、近くには一緒に閉じ込められた少年ただ一人。

ペンライトを託し、隣の駅まで歩くよう藤川に指示された少年は、無事医師たちが集まるエリアにたどり着く。

ペンライトに入ったFUJIKAWAの刻印を見て、藤川が地下で閉じ込められていることを知った横峯と冴島は、藍沢とともに救出に向かう。

 

藤川は、足を巨大ながれきに挟まれ、ショック状態

なんとか左足の上のがれきを除去すると、今度は突然心停止VT:心室頻拍)。

その状況を見た藍沢は、藤川にクラッシュシンドロームが起こったことを知る。

藤川は依然として右下半身は圧迫され、動かせない状態。

右足の血管を遮断したまま搬送を急ぎたいが、がれきの除去まで待っていると、右足が腐ってしまう。

足を切断しなければ藤川を救えないのか。

かつての指導医、黒田の姿が頭をよぎる。

命を失うか、生きて足を失うか、という選択に立たされた藍沢はしかし、ついに「瀉血」というウルトラCを思い付く

 

さて、このクラッシュシンドローム(クラッシュ症候群)とは、震災などの災害で、がれきに長時間下敷きになっていた人が救出された時に起こる怖い病気だ

足や腰の筋肉が長時間圧迫されていると、筋肉が傷害され、そのうち壊死を起こす

筋肉が腐ると、筋肉の成分であるミオグロビンと呼ばれるタンパク質や、カリウムなどの毒素が大量に生産されてくる

がれきに足を挟まれている間は、その毒素は壊死した筋肉内にとどまったまま

問題は、救助される時、つまり圧迫されていた部分が解放された時である。

この大量の毒素が一気に血流に乗り、足から全身へと巡ってしまうからだ

ミオグロビンは腎臓にたどり着いて腎不全を引き起こし、カリウムは心臓を通過する時に心停止を引き起こして致命的になる

救助したのに救命できない、恐ろしい病気である。

 

実際、左足のがれきを除去した瞬間、藤川は心停止。

藍沢は、

「VTだ!除細動!」

と指示するとともに、藤川の体に起こったのがクラッシュシンドロームであることに気づき、右足の付け根の血管(大腿動静脈)を遮断する。

同じく壊死した右足の筋肉から出た毒素が全身に回るのを、その出口で防ぐためである。

 

VTとは心室頻拍のこと。

正確にいうと「無脈性心室頻拍」と言う。

ちなみに「心停止」とは、心臓が完全に止まってしまうことではない

心室細動(Vf)無脈性心室頻拍(VT)無脈性電気活動(PEA)心静止の4つを合わせた総称である。

いずれも心臓のポンプ機能が失われるので、心停止と総称する。

VfVTも、心臓が震えているだけで、血液は全く送り出せない不整脈である。

心臓が完全に止まってしまうのは、この中の「心静止」だ。

 

大切なのは、

「除細動(AEDも同じ)で心拍を正常に戻せる心停止は、VfとVTだけ」

ということである。

心臓に流れ込んだ大量のカリウムによって心停止に陥った藤川の、モニターの画面に表示された心電図波形はVT

幸い除細動により、それを一旦停止させ、正常の心拍に戻すことができたわけだ。

 

しかし、問題は右足の壊死した筋肉内に貯留していると思われるカリウムの存在。

右足の血流を解放すると、再びカリウムが心臓に流れ込んで心停止を引き起こす

次は助けられるかどうか分からない。

だが足の血流遮断を2時間以上継続すれば、足は腐ってしまい、切断を余儀なくされる

まさに行くも地獄、帰るも地獄万事休すである。

 

しかしここで藍沢の頭に名案がひらめく。

動脈のみ一時的に遮断を解放し、静脈を遮断したまま、足から帰ってきた毒素を含む静脈血のみを体外に捨てる、「瀉血(しゃけつ)」という戦法である。

動脈血を一度足に巡らせることにより、足にある程度酸素を巡らせることができ、時間稼ぎができる。

しかし壊死した筋肉にたまった毒素は、戻ってきた静脈血を足の根元から体外に捨てることで全身には巡らない

まさに秘策である。

だが、足に向かった動脈血は一方通行で、全て全身に戻る前に足の根元で体外に捨てられるため、一度に多量の血液を失うことになる。

まさに1回きりのハイリスクな、一か八かの治療である。

ここで藍沢が言ったセリフは、

「一時的でも足に血流が戻ればもう1時間くらいは粘れる」

「血が(足に)循環したところでもう一度遮断して出血を止める」

「理論上はいけるはずだ」

もうこのセリフの意味はわかるだろう。

 

まさに「その手があったか」という感じで、私も思いつかなかった。

むろん「理論上は可能」なだけで、実際本当にそれでうまくいくのかはわからないのだが、ちゃんとうまく行くのがドラマの世界

無事藤川は救命される。

かつて似た状況で指導医の腕を救えなかった藍沢の、ファインプレーが光った瞬間である。

 

<追記>

多くの方からご質問いただいた、藍沢が藤川の肩にした処置と藤川が言ったセリフについて追記。

藤川のセリフは、

「徒手整復か〜、痛そうだなあ」

で、行ったのは、おそらく左肩関節脱臼の整復である。

徒手整復とは、手で脱臼や骨折を元の位置に戻すことである。

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灰谷が見抜いた電撃傷と横紋筋融解症とは?

一方、心的トラウマで現場出動ができなくなった灰谷は、院内での治療に専念。

ところが、なかなか全身状態が安定しない担当患者を前に頭を悩ませてしまう

体内のどこかに出血がある可能性が高いのだが、血管造影でも目立った異常が見つからない。

頭を抱える灰谷の前で、突然患者が急変し心停止(同じくVT)

患者に起こった、アシドーシス、高ミオグロビン血症、高カリウム血症、急性腎不全を結びつける答えは何なのか。

ふと思い立って患者の服を剥ぎ、お腹にやけどの痕を見つけて、

「やっぱり」

とつぶやく灰谷。

電撃傷による横紋筋融解症、という答えを導き出した灰谷のおかげで、無事患者は救われる。

 

さてこの、電撃傷横紋筋融解症とは一体どういう病気なのか?

電撃傷とは、体内に高電流が流れることによって生じる損傷の総称、いわゆる「感電」である。

この患者さんのように、電流が流れた体の表面には大やけどを負うのだが、怖いのはやけどではない

電流が体を流れることで起こる、重症不整脈と、横紋筋融解症(筋肉が壊死して溶け出す)である。

 

心臓は電気刺激によって定期的に拍動している。

これが電流の通過によって狂ってしまうと考えれば良い。

重症例ならその場で、重症不整脈によって即死する

そうでなくても、のちのち不整脈を起こす危険性があるため、受傷後24時間はモニターをつけて心電図を観察する必要がある。

灰谷の目の前でVTが起こったのは、それが理由である。

さらにもう一つの問題は、筋肉の壊死(横紋筋融解症)によって、そこから全身に流れ出す毒素である。

驚くべきことに、同時進行で起こっている藤川のクラッシュシンドロームとここで話が繋がってくる

まさにドラマ製作者の憎い仕込みである。

 

先に述べたように、筋肉が壊死した時に出るミオグロビンは、腎臓に流れ着いた時に、腎不全を引き起こす

腎臓は尿を作る臓器である。

腎不全が起こると、尿が出なくなってしまう。

尿が溜まっているはずのバッグがほとんど空っぽであることに気づいた灰谷はここで、急性腎不全の存在に気づく

急性腎不全で尿が排出されないと、体の酸とアルカリのバランスが狂い、血液が酸性に傾いてくる。

これをアシドーシスという。

酸の英語は「acid(アシッド)」、「-osis(オーシス)」とは「〜症」という病名を表す言葉だ。

(ちなみに「炭酸水素ナトリウム」は理科の授業で習ったようにアルカリ性の製剤で、投与することで、アシドーシスを緩和することができる)

 

アシドーシス

急性腎不全

高カリウム

高ミオグロビン

致死的な不整脈

お腹の火傷の痕

 

全てのピースが一つに集まったとき、こつこつ真面目に勉強してきた灰谷の頭に「電撃傷」と「横紋筋融解症」の病名が浮かんだのである。

 

チームワークの大切さ

藍沢は最後、人生を長いトンネルにたとえ、一緒に厳しい現場を乗り越えてきた救急医たちを、

「ひとりでは辛い暗闇をともに歩ける仲間」

「光を一緒に探すことのできる仲間」

と呼び、チームワークの大切さを語った。

 

「それさえあれば歩き続けることができる」

「ダメなら向きを変えてまた歩き出せばいい」

 

しかし実際の医師たちは、チームワークとやらが意外と苦手だ

 

意見の合わない他科の医師とのせめぎ合い

上司と部下の間での気の遣い合い

ライバル同士の気の張り合い

 

様々な思惑やエゴの中で、チームワークの大切さを見失いそうになることもある。

確かに、患者さんを救うためには、医師たちはそれぞれの強い個性を生かすことは大切だ。

しかし、その上で手を取り合ってベストなゴールを目指さなくてはならないのは言うまでもない

現場の医師たちにそんな警鐘を鳴らしたように思えたのは、私だけではないだろう。

現実は、ドラマのようにいつもハッピーエンドばかりではない

だが、患者さんのためにチームとしてベストを尽くす、それを忘れてはいけない、と強く感じさせられた最終回であった。


さて、最終話まで全話徹底解説してきた本サイトの記事はいかがでしたでしょうか?

高いリアリティとエンターテイメント性の両立、という大きな難題に取り組み、見事に成功させた制作スタッフやバックアップした救急医の先生方には頭が下がる思いです。

医療ドラマをなぜか完全否定する専門家は絶えませんが、私はむしろ、医療のこと、病気のことに多くの方が興味を持ってもらえるチャンスと捉えています。

実際、驚くほどたくさんの方が私のサイトを訪問し、多くの質問をしてくださります。

私たち医師は、病院に来ない方を救うことはできません。

しかし、インターネットを通して情報を発信することは、きっとその一助になると信じています。

 

まだお答えしていない質問や、書きたい記事などたくさんあります。

引き続きお付き合いくださいね。

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コードブルー3 最終回 解説|クラッシュシンドロームと横紋筋融解症はなぜ怖いのか?」への29件のフィードバック

  1. Rao

    怒涛の最終回でしたね。

    藤川先生のクラッシュシンドロームと灰谷先生が見ていた横紋筋融解、
    原因こそ違っても体の中では同じようなことが起こっていたんですね!
    これは分かる人は見ててゾクッとするでしょうねー。

    藤川先生の処置も、解説読んでよく分かりました。
    胸にパッドを貼っているのも、心電図モニターにしては大きいなと思ったのですが、
    心停止に備えて予めAEDを装着してあったんですね。

    冴島さん、藤川先生の発言(毎日外来をこなしてる一般整形の先生の立場はどうなる…)
    奏ちゃん問題が何と無く不完全燃焼
    結局緋山先生は救命に残るってこと??など
    ツッコミどころもいろいろありましたが、
    かっこいい藍沢先生が見られ、
    白石先生、緋山先生、藤川先生、冴島さんそれぞれに泣かされた最終回でした。
    緋山先生も冴島さんも幸せになれそうでホントに良かった。。。

    まだまだ解説たのしみにしてます笑

    ちなみに…
    ラストの方でフェローたちが奪い合うように治療しながら、医療用語合戦を繰り広げていた場面。
    ちっとも思い出せないくらいの難しいセリフが続きましたが笑
    あのシーンも大体どういう内容を話していたのか?
    かるーく教えていただけたら嬉しいです!

    普通だったら、フェローが逞しくなってる!!すごい!でいいんでしょうけど、
    ついつい知りたくなっちゃいますね( ´∀`)

    返信
    1. keiyou 投稿作成者

      Raoさん
      そうですね、前話で風呂敷を広げすぎたせいで微妙に説明不十分なところはありましたね。
      緋山先生はまあ残るってことでしょう笑
      優輔くんも含め、全員が幸せになるという心地良いラストでしたね。
      最後のシーン、フェローたちの成長を描くため、むしろわからないように作ってありましたね。
      また他にも横峯の患者さんのことなど、細かいところで難しいシーンがあったように思うので、記事にしてみますね。

      返信
  2. yoshi

    お忙しい中に、最後まで詳しい解説をありがとうございました。
    今回は灰谷の言っている言葉すらわからず、解説を拝見して、スッキリしました。
    医療監修をされている方は救命医療のお手本のような症例を出して下さっているというのも、先生の解説で理解しました。
    カリウムという言葉は身内の病の治療の際に知りました。その時は言われるままに、カリウムを除去する為に野菜をゆでこぼしておりました。今更ですがカリウムとは体に毒で、それが死を引き起こす要因にもなるのだと知り、これもスッキリしています。
    専門用語の多いコードブルーでしたが、先生のおかげでより楽しむことが出来ました。
    コードブルーが終わっても読ませて頂きますけれど、本当にありがとうございました。

    返信
    1. keiyou 投稿作成者

      yoshiさん
      ありがとうございます。
      今回は解説し甲斐のあるストーリーだなと見ながら思っていました。
      カリウムは、血液中にある程度の濃度は含まれていて、なくてはならないものなんですが、高濃度のカリウムは重症の不整脈を起こして命に関わる原因になります。
      一定の範囲内でコントロールしておくことが大切なんですね。

      返信
  3. Az

    先生、最終回までブログ更新おつかれさまでした。今回の崩落事故によるクラッシュシンドロームと横紋筋融解症、みているこちらがはっさせられるものがあり、医療従事者としても一視聴者としても感動した最終回でした。
    先生のおっしゃる通り医療の現場では医師間だけではなく医師と看護師、看護師間などさまざまな意見が出る中で衝突することが多々あり、かくいう私も看護師をしていますがコミュニケーションは正直苦手意識ももっております。
    しかし効果的に患者に最善の医療が提供できるようつとめることの大切さ、チーム医療の必要性をあらためてドラマから感じましたし、いろいろ疑問点や不可解な点はあったにせよ結論毎週コードブルーを楽しみにしていたなぁと思うばかりです。
    あわせて先生のブログも楽しく拝見させていただいておりました。ありがとうございました。

    返信
    1. keiyou 投稿作成者

      Azさん
      ありがとうございます!
      そうですね、あえて似た病態を比較するように出していたところに意図を感じました。
      まあそれもきっちり解説してこそ、と思いますし、このブログでドラマの楽しみが倍増するなら私としては大いに喜ばしいことです。
      私もコードブルーは毎週楽しみにしていました。
      どんな医療行為や病気が出てくるのか、もそうですが、やはり硬派で真面目なドラマであるコードブルーで医師や看護師など医療スタッフをどういう風に描くのか、というのが気になりました。
      色々考えさせられたと思います。
      また今後も引き続き楽しい記事をアップしていきますので、引き続きご愛顧ください。

      返信
  4. ねお

    初めてまして。いつも楽しく読ませて貰ってます。
    質問なのですが、藤川先生の件ですが、AED着けてる時点でクラッシュシンドローム想定してたのでは?と思ったのですが、
    (セリフ的に後で気付いた感じがしたので)
    想定してなくてもAED着けるものなのでしょうか?
    (今までの現場で前もってAED着けるの見た覚えが無かったので)
    また、岩をどけた際に大量出血(岩による圧迫止血が解ける)を想定して何かしら対処(動脈クランプ等)はしないのでしょうか?
    後者は出血や血圧低下で判断したり、場所的に大量出血が考えにくいと判断したのか、または、クラッシュシンドローム起こす為に(ストーリー的に)しなかったのか。そもそも出血してから対処するもので、前もってやらないのか。
    AED前もって着けてる割には足に対して何もしてないのが気になりました。

    返信
    1. keiyou 投稿作成者

      ねおさん
      おそらく装着していたのはAEDではなく、いざという時は除細動もできるタイプのパッドだと思います。
      本来の目的は、心電図の波形や血圧、脈拍などのモニタリング(観察)です。
      普通は数センチの小さなシールを使いますが、今回は発見時の藤川の状態があまりに悪く、何が起こるかわからなかったからパッドタイプをつけたのではないかと推測します。
      ですので、クラッシュによって除細動が必要になる、というところまで完全に想定していたわけではないでしょう。
      また、大量出血やクラッシュを予想して事前に血管のクランプをするかどうか、ですが、これは普通はしないと思います。
      血管のクランプというのは、ドラマではあっという間にできてしまっていますが、局所麻酔をして、メスを使って皮膚を大きく切り、さらにその下の組織を切り開いて血管を見つけて・・・というように結構手間がかかる上、感染のリスクもあり、「どうしてもやらないと危ない」という時しかやりたくない、患者さんをリスクにさらす処置です。
      一方で、瓦礫を除去した時に大量出血やクラッシュが起こる可能性というのはそれほど高いわけではありません(実際には頻度は低い)ので、全て事前にやっているとリスクの方が利益を上回る、という解釈です。
      一方、AED(ではなく除細動も可能なモニター用のパッド)は、装着は無害ですから、むしろ念には念をで、着けるのはアリということになります。
      全ての医療行為は、リスクとベネフィットを天秤にかけ、後者が上回る場合にはすべてやる、というのが基本なんですね。

      返信
      1. ねお

        回答ありがとうございました。
        もう1つ質問なのですが、研修医?が緊急外来を実習先に選ぶ事っ、実際はどうなんでしょうか?(多い少ない、意味有る無し的に)他のドラマでも、経験積む為に緊急でバイトして来いみたいな話が有ったり、このドラマでも藍沢はここ(緊急)選んだのは経験積む為だろ?と言ったり、藍沢自身、こっち(緊急)の方が脳外より手術数稼げるみたいな話をしていました。
        しかし、実際の緊急は初期治療(専門部署で手術して貰うまでの繋ぎ?)がメインで最終的には専門部署で手術して貰うと思います。
        (先生の過去のトピックを読む限り)
        トリアージ的な経験は積めるかも知れませんが、手術(術式)的な経験は専門行った方が積めるかと思います。
        ドラマの設定で緊急が手術までしてるので、ドラマ内的には藍沢の言う通りなのでしょうが、実際はどうなのかと思い質問させて貰いました。

        ※質問内容は「研修医?」が緊急を選ぶのは多い少ない?(そもそも緊急を選べるの?)意味有り無し?
        です。有り無しは意見が分かれる所かも知れませんので、控えて貰っても構いません。
        (もしくは、こう言う理由(目的)なら有りだけど、こう言う理由(目的)なら意味無い)
        宜しくお願いします。

        返信
        1. keiyou 投稿作成者

          ねおさん
          おっしゃる通り、救急外来の仕事は初期診療で、専門部署での治療までのつなぎである、というご理解でOKです。
          ただ、この初期診療、トリアージ的な経験、というのはどの科に進むにしても非常に大切で、研修医は救急外来での研修を選ぶ方が多い、というより選ぶべきです。(「選べない」ところはほとんどないと思います)
          なぜなら、入院中の患者さんが熱を出した、突然お腹が痛いと言い出した、突然意識がなくなった、こういう時にすぐに対処するためには初期診療の経験が必要だからです。
          外科系の科で手術を学ぶのは、その科に行ってから専門的にトレーニングすれば問題ありません。
          患者さんに何か起こった時の対応に必要な知識や行動力は、救急領域で学ぶ必要があり、しかもこういう能力を必要としない科はありません。
          狭い領域の技術しか持ち合わせていないと、現場では「使えない」医者になってしまいます。

          返信
  5. ソセゴン

    執筆ありがとうございます。いつも返答していただき感謝致します。
    少し質問してもよろしいでしょうか?
    ①CBでは、呼吸管理にジャクソンリースを使うことが多いように思いますが、院外院内含めバッグマスクとどちらのほうが使用頻度が高いのでしょうか?
    ②1st2ndからそうだったので今更なのですが、どこまで医療スタッフは災害現場に介入する、できるのでしょうか?確かに超緊急処置が必要な場合もあると思いますが…
    ③今作で、先生から見て、風貌や言動が一番リアルなドクターは誰ですか?

    長文失礼しました。

    返信
    1. keiyou 投稿作成者

      ソセゴンさん
      ありがとうございます。
      ジャクソンリースとアンビューバッグの違い、ということですが、目的が違うので、使用頻度もどちらがどのくらい多いかという比較がそもそも難しいと思います。
      ジャクソンはガス(酸素)が流れていないと膨らみませんので、ガス配管のない部屋や屋外だと酸素ボンベの持ち運びが必要である代わりに、患者さんの自発呼吸の程度が手の感覚、抵抗でわかります。
      アンビューバッグはもともと膨らんだ状態の固い材質ですので、ガスが流れていなくても換気できますが、自発呼吸の程度はわかりません。
      オペ室などではジャクソンを使いますが、それ以外ではケースバイケースですね。

      医療スタッフがどこまで災害現場に参加できるかですが、これはその医療圏にある病院の仕組みやDMATの参加状況によると思います。
      実際、災害現場に医師が派遣される場合は、安全確認ができていることを前提に、今回のような地下であっても介入します。

      風貌や言動がリアルなドクターと言われると難しいですね。
      言動に関しては誰もリアルじゃないでしょう笑 台本ありきのセリフなので、あんなこと実際に言う人はいない、という感じです。
      ただ風貌に関していえば、私服は全員が本当の医療関係者っぽいんじゃないでしょうか。
      藍沢にしても、白石にしても、冴島、藤川、灰谷あたり、みんな清潔感はあるけど地味、というのがそれっぽいかと。。
      患者さんとすれ違うこともあるので、ことさらに派手な格好で通勤する人はいませんし。

      返信
  6. tm

    こんにちは。3期放送中、毎週ドラマもこちらのサイトの解説記事も楽しみにしていた者です。
    私自身「医療」に関して全くの無知なので…こちらの解説記事にとても助けられました!ありがとうございます。
    放送中ずっともやもや~としていたことがあったのですが、それがこちらの記事の冒頭でちらっと仰っていた新海先生(と藍沢先生)のことについてで…。ここぞとばかりにコメントさせて頂きました。
    率直に言うと、新海先生が少し気の毒というか寂しいポジションだったな…と個人的に思いました。
    奏ちゃんは藍沢先生に手術してもらうのを望んでいましたが、主治医は脳外科の新海先生でしたし…。緊急手術が重なった時も(新海先生は自分のキャリアを考えたと言っていましたが)、実際緊急で手術する事態だったんだから本当に危険な状態だっただろうし…。
    ドラマでは、奏ちゃんの手術をしたのが藍沢先生ではないというので当事者内でかなりモメていましたが…、実際の現場での緊急手術やそれが重なった時の仕組みってどうなのでしょうか?
    また、ライバル同士が手術や症例を取り合う(?)みたいなのって現実でもあるんでしょうか?
    ドラマでは描かれませんでしたが、今回のようなことを病院内の他の医師たちはどういうふうに思うのでしょうか?
    (医療や症例についての質問でなく、また心象的なことですみません)
    ピリピリしたライバルというよりは、気が知れた距離感の良いライバルの二人でしたが、もう少しドラマ内で上手く話を料理してほしかったな~と思いました。
    長々とすみません。これからもコードブルーの記事も他の記事も、楽しみにしています!

    返信
    1. keiyou 投稿作成者

      tmさん
      コメントありがとうございます!
      おっしゃる通り、新海先生は可哀想すぎです。藍沢先生を盛り立てるための役回りでしたね。
      キャリアを考える、つまり向上心や世間に認められたい、という思いは医師であれば誰でもありますし、それをわざわざ患者さんに言うことでもないでしょう。
      それが悪い結果につながったわけでもないですし、患者さんを不安にさせるだけです。
      また緊急手術が突然重なったり、というような場面で、途中で一時的にメンツがかわることももちろんありえますが、それによって手術が影響を受けないように人員は配置されるので心配はいりません。もちろん大幅に変更があった場合は患者さんに事情を説明します。

      ライバル同士が症例を取り合う、というのは、ないとは言い切れません。
      ただ、それは患者さんにとってマイナスになる危険性があるため、トップがきっちり症例数を平等に割り振ることが一般的です。
      院内の人はそれを悪くは思わないでしょうけれど、あからさまに「取り合う」ような姿を見せるのは患者さんに対して失礼だと思うでしょうね。
      今回は、キャラの重要性的に、藍沢>>>新海でしたから仕方ありませんが、おっしゃる通りライバル関係をもう少し描くと面白かったかもしれませんね。

      返信
  7. すぬーぴー

    コードブルーの解説をありがとうございました!
    おかげで楽しくわかりやすくドラマを見る事ができました!

    普段暮らしていく中で、コードブルーに出るような
    専門用語は使ったりはしませんが、色んな事が吸収できたような気がします。

    私は医療ドラマ好きで昔から、医龍や救命病棟24時、ドクターコトー診療所、フラジャイル、ドクターXなどすべて見ました。私的にはコードブルーも好きなのですが、ドクターコトー診療所も現実味かあって好きでした。フラジャイルは専門用語ばかりで全くわかりませんでしたが、面白かったです。あれが意味がわかればもっと楽しく見られたのになぁ。

    話がそれましたが、これからも解説、よろしくお願いします!
    楽しみにしてます!

    返信
    1. keiyou 投稿作成者

      すぬーぴーさん
      ありがとうございます!
      そういう風に利用していただけると嬉しいです。
      これから新たな医療ドラマもまた始まるようです。
      引き続き解説していきますね!

      返信
  8. いの

    keiyou先生
    今期のご解説、お忙しい中、本当にありがとうございました。私自身、8年程前に良性脳腫瘍の全摘手術を受けた経験があるので、特にこういった医療情報には興味があります(側頭葉だったので、奏ちゃんとは異なりますが言語のリハビリをして、現在は後遺症もなく過ごせています!)
    先生のブログを知ったのは9話を観終わった後だったので、今までの解説を一気に観た上で、最終話の観賞に臨みました(笑)
    先生の解説を読むと、製作者側のこだわりが一般人にも分かるため、面白さ100倍になりますね。録画しているので2周目も観ようと思います!
    先生のブログでは、コードブルー以外の記事も興味深い記事が沢山あるようでしたので、これからも拝見したいと思います。
    ありがとうございました。

    返信
    1. keiyou 投稿作成者

      いのさん
      ありがとうございます!
      医療のこと、病気のことは、知っておけばより病気や病院への恐怖は和らぐかなと思いますし、たくさん知っておいて損はないと思います。
      幸いコードブルーはリアルで硬派なドラマでしたので、解説するには最高の条件だったと思います。
      これまでの記事、読んでいただけたとのこと嬉しく思います。
      これからもどんどんアップしていきますので、ぜひ引き続き遊びに来て下さいね。

      返信
  9. 金子美紗

    こんにちは!
    いつもわかりやすい解説ありがとうございます。

    1つ気になることを聞いてもよろしいでしょうか?

    コードブルーのドラマ内で、初療室や現場でVFやVTになる患者がよくいますが(今回の藤川先生も然り)、心マや除細動だけで心拍が再開することもたくさんあるように思えます。心停止からの蘇生というのはそのような蘇生術のみで簡単にできるものなんでしょうか?
    もっと蘇生率は低いと思っていたので気になりました。

    返信
    1. keiyou 投稿作成者

      金子美紗さん
      コメントありがとうございます!
      コードブルーで出てくるVTやVfの最大のポイントは、医療者の目の前で起こった心停止だということです。
      心拍再開するかは、心停止してから除細動までの時間が全てです。
      院内や現場での処置中の心停止は、数秒で除細動が可能ですが、例えば「道端で倒れているのが見つかった」というようなケースで、見てみたらVfだった、という場合などは、どのくらい時間が経過しているかわかりませんし、除細動で救えないことも多いでしょう。
      また、色々な病気などで全身状態が非常に悪化していて、最後の最後、死亡寸前、という時も心電図がVfだったりします。
      こういうケースでも除細動では蘇生は不可能です。
      ですから金子さんのご想像の、「もっと蘇生率は低い」というのは、ケースによってはある意味正解です。

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  10. みーこ

    はじめまして。いつもわかりやすく説明してくださり、ありがとうございます。
    一点質問なのですが、藍沢先生が藤川先生の処置をし出して割とすぐに、藤川先生の左肩部分?を下に向かって押すようにしていたのは何故なのでしょうか?それをされる前に藤川先生が「◯◯◯か〜痛そうだなぁ」と言っていたと思うのですが、よく聞き取れなくて、、

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    1. keiyou 投稿作成者

      みーこさん
      コメントありがとうございます!
      藤川のセリフは、
      「徒手整復か〜痛そうだなぁ」
      です。
      おそらく藤川は左肩関節を脱臼していて、藍沢がそれを戻しています。
      「徒手整復」=「手を使って骨折や脱臼を元の位置に戻す」です。
      最後の場面で、藤川が左肩にギプスをつけていましたね。
      おそらく脱臼だけでなく骨折もあったのかもしれませんが・・・

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      1. みーこ

        ご丁寧にありがとうございます‼︎疑問が解決してスッキリしました!またいろいろと読ませていただきますね。ありがとうございました。

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  11. 紅白bee

    連休中に録画を一気に見ていて…
    間違い探しをしていた訳ではないのですが心電図モニタで間違ってると思われるところが1点。

    灰谷先生の横紋筋融解症患者のモニタでは急変時、赤に黒抜きでVT表示で波形もVTの波形。
    藤川先生の心停止時はVTのはずなのにVF表示…波形はVTのよう。
    心拍数も横紋筋融解症の方は96に対し藤川先生は163なのに波形が広く見えるのは気のせい?

    撮影時、ダミーデータの設定間違えたのかしら?と思う場面でした。

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    1. keiyou 投稿作成者

      紅白beeさん
      藤川先生のシーンはモニターのシーンが一瞬なので私も判別が困難ですが、表記上のVFやVTは機械が判断しているだけなので当てにならないんです。
      なので私たちも、そこの表示を見ることはありません。波形で判断します。
      心電図の自動読影もそうですね。当てにすることはありません。
      VTやVFの時はそもそも無脈ですので心拍数の表示は意味を持ちませんしね。

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      1. Rao

        先生たちは波形だけを見てすぐ分かるんですね!
        てっきり機械の表示を見ているのだと思ってました。

        3話かな?シアンを服毒して自殺を図ろうとした患者さんの搬送の時に
        白石がA fがある、と言っていたのも、心電図の波形から分かったのでしょうか?
        Afは心房細動ということは、以前の緋山が苦しんでいた症状と同じですかね。

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        1. keiyou 投稿作成者

          Raoさん
          そうです、ただ波形を見ても分かりにくいものもあり、人によって多種多様で単純ではないんですね。
          なので、人間でも迷うものを、今の機械の技術で認識するのはまず不可能で、機械診断はあってないようなものです。誰も見ていません笑
          白石がAfがあると言ったのは、救急車内に収容した後モニターを見たからだと思います。
          聴診器を使っても診察だけでAfと診断することはできませんので。
          そうですね、緋山も心房細動でしたね。

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      2. 紅白bee

        おおざっぱですが…
        Uを上下反転させて並べたような(ループしてる)のがVT
        震えた手で書いた正弦波のような波形の表面?がギザギザしていて乱れまくってるのがVF
        と、かなりざっくりした認識で医療系ドラマみてたので…
        相沢先生もVTって言ってますしモニタ波形もVTみたいですし、ダミーでアラーム表示させてるんだからVT表示にしてほしかったなぁと。。。

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        1. keiyou 投稿作成者

          紅白beeさん
          そうですね、VTはUというよりはVに近いかもしれませんが、規則的な波形が特徴ですね。
          Vfはおっしゃる通りの形です。
          モニターについては私も全く気づきませんでしたが、製作上のミスかもしれませんね。

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