大腸がんの内視鏡治療、メリットとデメリット、注意点とは?

前回は、内視鏡で治療できる大腸がんの特徴について解説しました。

今回は、この内視鏡治療メリットデメリットについて説明したいと思います。

内視鏡治療を受ける場合は、このメリットとデメリットを事前にしっかり理解しておくことが大切です。

繰り返しますが、内視鏡治療は手術ではありません

大腸内視鏡(大腸カメラ)で癌を削り取る治療のことです。

内視鏡手術(=腹腔鏡手術)とは全く意味が違いますから、注意してください。

 

広告

内視鏡治療のメリット

初期の癌のほとんどが治療できる

前回説明した通り、浅い癌でリンパ節への転移がないものであれば、内視鏡で切除すれば治癒が見込めます

もちろん癌である以上、治療後も定期的な通院は必要ですが、手術をせずにこのような効果が得られるのは最大のメリットです。

前回の記事のイラストを再掲しておきます(もちろん私の自作です)。

どういう大腸癌なら内視鏡でとれるかを確認したい方は、前回記事をご参照ください。

 

体の負担が少ない

手術の場合、全身麻酔が必要で、お腹にも傷がつきます。

手術室で麻酔薬を使って眠ってもらい、気管に管を入れて人工呼吸器で呼吸をサポートしながら麻酔科医の管理のもとで外科医が手術をします。

全身麻酔特有の合併症や、人工呼吸に関連する術後の肺炎、手術による合併症など、それなりにリスクが伴います。

 

一方、内視鏡治療は全身麻酔が不要で、かつお腹に傷が全くつかない点で、手術に比べて体への負担が非常に少ない治療です。

内視鏡治療は、いわゆる「大腸カメラ」を使って癌を削り取る治療ですから、大腸カメラの延長で受けていただくことができます。

ちなみに、手術を行うのは外科医ですが、内視鏡治療を行うのは内科医です。

 

人工肛門を免れることがある

少し難しい話ですが、肛門に近い直腸がんの場合、手術を選べば永久的な人工肛門になることが多くあります。

手術では、癌の部分を含む、一定の長さの大腸を切除する必要があるため、低い位置の直腸がんでは、肛門も一緒に切除してしまうことになるからです。

一方、内視鏡治療では、癌そのものだけを局所的に切除しますから、肛門に近い直腸がんでも肛門を残すことが可能になります。

内視鏡治療が発達していなかった時代には人工肛門造設が必要だった低い位置の直腸がんでも、現在は人工肛門を免れるようになった、というのは大きな進歩です。

人工肛門について詳しく知りたい方はこちら

徹底解説!人工肛門ってなに?仕事や入浴はできる?どんな手術?

 

内視鏡治療のデメリット

時間がかかることがある

癌の大きさや、部位によっては手術と同じくらい、あるいはそれ以上に時間がかかることがあります

短いものでは1時間以内に治療が終わりますが、長いものでは3時間、4時間とかかることもあります。

この場合、部位によってはむしろ手術の方が早く終わります

「手術の方が当然何倍も時間がかかる」と思っている方が多いかもしれませんが、一概にはそうも言えないのですね。

 

追加治療が必要となる場合がある

これは前回説明した通りですね。

内視鏡で切除したものの、切除したものを顕微鏡検査(病理検査)で調べたら思った以上に進行していたことがわかり、結局手術をしなければならなくなる人が必ず一定数います

結果論ですが、この場合患者さんの中には「最初から手術をしておけば一度で治療が済んだのに」と感じてしまう方もおられます。

内視鏡治療を選ぶ場合は、この可能性を必ず念頭に置いておく必要があります

 

内視鏡治療特有の合併症がある

内視鏡治療によって癌を切除した時に起こる問題、いわゆる合併症偶発症が、非常にまれですが一定の確率であります。

治療を要する大きな合併症は出血穿孔です。

 

出血

癌を削り取った際、その近くにある血管から必ず出血を起こします。

この出血を、道具をつかって焼いたり、クリップで留めたりして止血しながら治療を行い、最後に確実に血が止まっていることを確認して治療を終了します。

しかし治療が終わって病室に帰った後しばらくしてから再度出血し始めるケースがあります

血管が弱い方や、血をサラサラにする薬(アスピリンワルファリンなどのような抗血小板剤抗凝固薬)を飲んでいる方は、特にそのリスクが高くなります。

この場合は再度内視鏡を入れて止血する治療をしなければなりません。

場合によっては大量に出血して輸血が必要になることもあります。

 

穿孔

癌を削り取ったあと、その部分に穴が開いてしまうことがあります。

これを穿孔と呼びます。

組織が弱い方で、治療をしてから数日たったのちに穴があく人もいます(遅発性の穿孔)。

大腸に穴があくと、大腸の中の便がお腹の中に漏れ出し、重症の腹膜炎を起こします

多くの場合、手術が必要になり、穴が空いた場所によっては人工肛門が必要になることもあります。

手術を回避するために内視鏡治療を選んだのに、結果として腹膜炎の手術をしなければならなくなる人がいるわけですね。

 

可能性は低いものの、一定の割合でこういった合併症が起こるリスクがある治療だということを認識しておくことは大切です。

繰り返しますが、前回説明したように、内視鏡治療が適応になるのは、ごく一部の初期の癌だけですので注意して下さい

広告

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です