膀胱炎の正しい治し方|症状と予防法、繰り返す原因や治療法を徹底解説

膀胱炎は、多くの女性が一度は経験したことのある病気です。

排尿時に痛みや違和感がある

残尿感がある

トイレが近い

といった症状で、「また膀胱炎かも・・・」と思った経験をお持ちの方は多いでしょう。

 

膀胱炎は若い女性に圧倒的に多い病気で、何らかの特別な理由がない限り男性には起こりません

女性の約半数が、人生のある時点で膀胱炎(尿路感染症)を起こすと言われています。

そして女性の中には、何度も膀胱炎を繰り返す人が多くいます。

なぜなのでしょうか?

 

今回は膀胱炎の症状や正しい治し方、予防する方法などについてわかりやすく解説します。

難しい話は全くありませんのでご安心ください。

(ここでは一般的に「膀胱炎」と呼ばれる「急性単純性膀胱炎」について述べます)

 

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膀胱炎の原因は?

膀胱炎は、膀胱に細菌が繁殖して起こる感染症です。

「おしっこは汚いもの」

というイメージをお持ちの方は多いかもしれませんが、実は便と違って尿は無菌です。

そもそも尿は、血液が腎臓というろ過装置を通って透明になって出てきた液体です。

血液は当然無菌ですので、膀胱にたまった尿も無菌です。

しかし尿道の出口(陰部、女性なら膣)は肛門に近いため、細菌が多く汚い場所です。

膀胱に細菌が入るのは、この肛門周囲の細菌が逆流することによります。

その証拠に膀胱炎を起こした人の尿を検査すると、腸内細菌がほぼ必ず原因になっていることが分かります(ほとんどが大腸菌です)。

 

女性に膀胱炎が多いのは、男性より尿道が短いからです(女性は男性の約4分の1の長さ)。

男性は、ペニス(陰茎)の分だけ尿道が長く、出口から膀胱までの距離が女性より長いため、細菌が入りにくい構造になっています。

前立腺肥大や結石、腫瘍など尿の通り道に何らかの障害があるか、尿が出しにくい神経障害がある場合を除き、男性に膀胱炎は起こりません

 

他にも、加齢によってホルモンバランスが乱れて起こる、膣内のpH(酸性・アルカリ性のバランス)の変化も女性の膀胱炎の原因とされています。

 

膀胱炎になりやすい人とは?

前述の通り、陰部は汚く、腸内細菌が膀胱へ逆流するリスクは常にあります。

そして膀胱内で細菌が異常に増殖すると、膀胱炎を起こしてしまいます。

細菌が逆流したり、異常繁殖したりするのには明確な原因があります

疲れ冷えストレスなどの心理的な要因だけでは膀胱炎になりません。

膀胱炎の原因としては、以下の3つのパターンがあります。

 

尿を我慢する習慣

尿が長時間膀胱にたまったままになると、細菌が繁殖しやすくなります。

バケツに水を入れて屋外に放置しておくと徐々に細菌が繁殖し、汚くなっていくのと同じです。

たとえば1日3回バケツの水を入れ替えれば、その都度細菌はいなくなり、綺麗な状態になります。

膀胱に尿がたまってもその都度排尿すれば、細菌が異常に繁殖することはないということです。

よって膀胱炎になりやすい原因として、

仕事の関係でトイレに行きにくい

尿を我慢する習慣がある

水分を十分にとらない

といったことが挙げられます。

 

性行為

性行為は、当然ながら陰部の細菌を尿道へ逆流させる原因になります。

特に、「性交後に排尿しないこと」が膀胱炎のリスクとされています。

 

陰部が清潔でない

生理用ナプキンをこまめに変えず、1日中つけっ放しすると陰部は不潔になります。

また、排便時に後ろから前に拭く習慣がある人は、肛門の細菌が前方へ移動しやすく、膀胱炎のリスクになります。

 

 

膀胱炎の症状

膀胱炎の典型的な症状は、以下のようなものです。

排尿時痛(おしっこをする時の腹痛、下腹部痛)

排尿時の違和感

尿混濁(おしっこが濁っている)

残尿感(排尿後におしっこが残ったような感覚)

頻尿(尿の回数が多い、トイレが近い)

血尿(おしっこに血が混じる、血の塊が出る)

これらが全部当てはまる人もいれば、1つしか症状がない人もいます。

膀胱炎を経験したことがある人は、自分で「前とそっくり同じ症状だ」と気づくので、診察した医師より敏感に自分で膀胱炎を疑うことができます。

 

ちなみに膀胱炎では熱は出ません

上のような症状があり、しかも発熱している、という時は、膀胱炎が悪化し、腎臓にまで感染が及んでいるケースを考えます。

これを「腎盂腎炎(じんうじんえん)」と呼びます。

腎臓は腰にあるので、腰痛を伴うのも特徴です。

たいてい38℃以上の高熱が出て、寒気を感じることもあります。

すぐに病院で治療が必要な状態です。

 

膀胱炎の検査

上記のような症状があり、症状から明らかに膀胱炎が疑わしければ、特別な精密検査はなしに治療を行うこともあります。

検査をした方が良いと判断されたケースでは、まず尿検査を行います。

尿検査キットで、尿中の白血球赤血球亜硝酸塩といった成分を検出することで、膀胱炎の診断につながります。

 

血尿が出ていなくても、検査で赤血球が出ている(潜血)と分かることもあります。

また、尿を直接顕微鏡で観察し、細菌を見る方法もあります。

症状が強い場合や、膀胱炎を繰り返す場合は、尿培養検査を行うこともあります。

尿を培養し、細菌を繁殖させて「どの細菌が原因か」を特定する検査です。

 

これらの尿検査を受ける時は、「中間尿」をとらなくてはなりません。

尿道の出口は細菌が多く、「出始めの尿」を取ると、感染の原因となっている細菌とは別の細菌が混入してしまうからです。

健康診断と同じく尿を採って検査するだけですので、痛い検査では全くありません

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膀胱炎の治療

飲み薬の抗生物質(抗菌薬、抗生剤)で治療します。

(当たり前ですが、サプリメントや漢方薬で膀胱炎は絶対に治りません)

よく用いられる薬の種類としては以下のようなものが挙げられます。

シプロキサン(シプロフロキサシン)

バクタ(ST合剤)

オーグメンチン(アモキシシリン・クラブラン酸)

ホスミシン(ホスホマイシン)

クラビット(レボフロキサシン)

これらは薬局やドラッグストアでは市販されていません(そもそも抗生物質の市販薬はありません)。

必ず病院やクリニックを受診しましょう。

 

膀胱炎をきっちり治すための最も重要なポイントは、

「処方された分だけきっちり飲みきること」

です(一般には3日から7日間飲むよう指示されます)。

膀胱炎を繰り返す理由の多くは、

「抗生物質の治療が不十分であること」

です。

「1週間飲むよう指示されているのに、症状が治まったから2日で中止した」

というような、勝手な治療の中断は厳禁です。

また、

「何となく抗生物質は怖いから、1日2回と言われたけど1回だけにしておこう」

というように、独断で中途半端な飲み方をするのも絶対禁止です。

抗生物質は、それぞれの種類と目的となる疾患に応じて、

1日に飲むべき量と回数(用法・用量)

飲むべき日数(治療期間)

が決まっています。

これらを勝手に変えると、抗生物質の効き目が全くなくなり、高い確率で膀胱炎は再発します

膀胱炎ではこういう再発パターンが多いので、くれぐれも注意が必要です。

 

もちろん、こういった要因がないのに膀胱炎を繰り返すケースや、抗生物質ではなかなか治らない、というケースでは、泌尿器科での精密検査が必要です。

上述した通り、尿道に何らかの病気が隠れている可能性があるためです。

 

また、抗生物質の中には、妊娠中授乳中には飲めないものもあります。

該当する方は必ず医師に相談しましょう。

 

膀胱炎を繰り返す理由と予防法

膀胱炎を繰り返す人は、これまで書いた原因を考え、以下のようなことに注意しましょう。

尿を我慢しない

水分はきっちりとる

性交後は排尿する

陰部は清潔にする

治療はきっちり完遂する

これらをきっちり守ることで、膀胱炎を予防することができるでしょう。

特に、2週間以内に再発したケースは、治療が中途半端に終わって膀胱炎が治りきらなかったことを意味します

 

繰り返しますが、通販のサプリメント漢方薬膀胱炎の予防効果は全くありません

ネット上の怪しげな情報に惑わされないよう、くれぐれも注意してください。

 

何科に行くべきか?

膀胱の病気は泌尿器科の守備範囲です。

しかし膀胱炎はありふれた病気で、内科医であれば誰でも診療できます。

通いやすい近隣の内科クリニックを受診するのがおすすめです。

もちろんここで泌尿器科での専門的な治療が必要と判断されれば、泌尿器科に紹介してもらえます。


今回は膀胱炎について詳しく解説しました。

原因や予防方法をしっかり理解し、膀胱炎にかかった時は、きっちり治すことを心がけましょう。

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医師。専門は消化器外科。二児の父。
ブログ開設4ヶ月後に月間67万PV達成
時事通信社医療情報サイト「時事メディカル」
「教えて!けいゆう先生」のコーナーで定期連載中。
エムスリーでも連載中&「LIFESTYLE」企画・監修。
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膀胱炎の正しい治し方|症状と予防法、繰り返す原因や治療法を徹底解説」への2件のフィードバック

  1. こりらっくま

    はじめまして。
    内科医です。
    いつも先生のわかりやすい解説を楽しく拝見しております。
    文中少し気になる表現がありました。
    抗生物質=微生物が産生した化学物質
    抗菌薬=抗生物質+人工合成の化学物質
    ですので、ニューキノロン系を処方することが多い膀胱炎の場合は
    「抗菌薬」が適切ではないでしょうか。
    一般的な説明では抗生物質でもいいかもしれませんが・・・

    今後もためになる記事、期待しております。

    返信
    1. けいゆう 投稿作成者

      こりらっくま先生
      ありがとうございます!
      ご指摘の通りです。
      実際には、全て「抗菌薬」で統一するのが正しく、「抗生物質」自体を使うことが誤りのようなので、医療者向け記事では全て「抗菌薬」で統一しています。(感染症関連の記事では抗生剤(正しくは抗菌薬)と書いたものもあります)
      一般向け記事では、初出時に「抗生物質(抗生剤・抗菌薬)」と書いて、その後「抗生物質」と書いています(この記事もそうしています)。
      苦しいのですが、「抗生物質」で検索される人が最も多く、これにヒットさせるための苦肉の策でして、私自身も微妙な違和感を覚えながら書いています・・・笑

      返信

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