偽医師逮捕、外科医は技術が全てではない

医師免許がないのに美容整形手術をしたとして、高知県の偽医師とクリニックのオーナーが、医師法違反の疑いで逮捕された。この偽医師は、10年間にわたって100人以上に美容整形手術をしていたという。

手術は上手かったのだろう。

でなければ10年もクリニックを続けられない。

特に美容外科は、手術の結果が外観に表れるだけでなく、外観そのものが手術の目的だ。

その分患者は結果にシビアなはずである。

業務に影響を来すような患者からのクレームが10年間なかったのなら、技術はそれなりに高いのかもしれない。

 

では、医師免許がなくても技術さえあれば外科医は務まるか、というとそうではない。

技術以外の部分で、対応力が問われる場面は多い。

 

手術に100%の安全はない。手術には合併症がつきものである。

合併症とは手術に関連して起こる様々な問題のことだ。

その中には、医師の技術ではなく、患者のもつ背景因子の方に原因があるものも多い。

 

例えば、糖尿病や喫煙、肥満、肝疾患や腎疾患は、創部感染(手術の傷の細菌感染)の危険因子である。

創部感染は悪化すると、壊死性筋膜炎(筋膜にまで感染が及ぶ状態)や敗血症(血中に細菌が入り全身を巡って臓器障害を起こす状態)を引き起こし、重篤な場合は致命的となる。

また、局所麻酔手術に用いる局所麻酔薬に対してアレルギーを持つ人が一定の割合で存在する。重篤な場合、アナフィラキシーショックを起こし、致命的になる。

 

クリニックで治療が難しい合併症が起きれば、近くの大きな病院に紹介すれば良い。

だが、上記のように「起こってしまってからでは遅い」合併症が少なからずある

起こる前に、その兆候に気づいて即座に対応しなければ、患者の命はあっという間に失われてしまう。

場合によっては緊急での再手術が必要な場合もあるだろう。

 

外科医は、技術以外の部分で成熟していなければ、手術はできない。

技術が全てではないからである。

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