【分野別23冊!】研修医におすすめの読むべき本/参考書/医学書

国家試験に受かって臨床研修医になり、いきなり現場でこれまで勉強したことのないような知識を要求されてうんざりしている人は多いのではないだろうか?

看護師さんから

「点滴の速度どうします?」

「抗生剤なにでいきます?」

「経腸栄養の種類どうします?」

などと矢継ぎ早にきかれ、パニック状態に陥った人も少なくないだろう。

こういう知識はどこの科に行っても普遍的に必要なものばかりだが、その多くは国家試験では問われない。

だからわからないことだらけなのは当たり前だ。

 

だが心配はいらない。

なぜならこういうことは全て座学で身につくからだ。

近年は、若手医師向けの便利な参考書が多数出ている。

それらを順番に読んでいけば、簡単に身につくような知識である。

 

だがこの類の本はあまりにも多く、しかも玉石混交で、どれを買えばいいのか全くわからないという人も多いだろう。

うっかりマニアックな本を買ってしまい、途中で投げ出してしまったら買った意味がない。

また医師向けの参考書は価格が高いものが多く、まだ給料の少ない研修医にとって、買うなら後悔はしたくないはずだ。

 

そこで今回は、研修医のときに必ず読んでおいてほしい、絶対に後悔しないおすすめの書籍を分野別に紹介する

全てエッセンスを吸収するのに最適な、わかりやすい本ばかりである。

またいずれも、「どの科でもどの病棟でも必要な分野」で統一している。

研修医の時点ではまずそういう内容を優先的に身につける必要があるからだ。

 

すべての書籍で、以下の4項目を評価している。

・必要性

研修医時代に当該分野の知識を身につけるために、他のどの本と比べてもその本が必要といえるかどうかという点を評価している。

・本の薄さ

本がやたら分厚いと本を読み進める時のモチベーションが下がるだろう。

逆に薄くてすらすら読める方がモチベーションは維持しやすい。

薄さ=最初から最後まで通読しやすさ、である。

・読みやすさ

わかりやすい言葉で書かれているか。難解な言葉を使っていると疲れてしまうからだ。

・継続使用性

臨床研修修了後も、気になったときに参照しやすいかどうかを評価している。

「軽く確認したい」と思ったとき、必要事項がどこに書いてあるのかわかりにくい、もう一度通読しなければならない、となると継続的には使いにくい。

高いお金を払う以上、研修医のときしか使えないか、研修が終わってからも使えるかは重要なポイントだろう。

 

それでは順に見ていこう。

 

広告

感染症

必要性:★★★
本の薄さ:★☆☆
読みやすさ:★★★
継続使用性:★★☆

まさに「名著」と言っていい。

第3版まで出ている、若手医師向けの抗菌薬の参考書の中では最も有名な本の一つである。

すでに購入している人も多いかもしれない。

この本の長所は、抗菌薬の考え方や実際の使い方をすべて網羅しており、しかも文体が非常に読みやすいことだ。

イラストだらけで一見わかった気になって実は使えない、という本に比べると、この本は説明的でむしろしっかり理解できる。

これを1冊読めば、一般病棟での抗菌薬の使用であまり困ることはない

だが、とにかく長い文章を読むのが嫌だ、という人には次の本をおすすめする。

 

 

必要性:★★☆
本の薄さ:★★★
読みやすさ:★★★
継続使用性:★★★

「抗菌薬の考え方、使い方」が合わない方はこちらをおすすめする。

こちらは非常に薄く、エッセンスのみを吸収するという点では最良の本である。

またポイントを絞ってあるため、臨床研修が終わった後でも軽く参照しやすいという利点もある。

言葉も平易でわかりやすく、すぐに通読できる。

個人的には、「抗菌薬の考え方、使い方」を通読したのち、こちらの本も購入して再度知識を整理し、必要事項の参照にも使うというのがベストだと思う。

 

 

必要性:★★★
本の薄さ:★★☆
読みやすさ:★★☆
継続使用性:★★★

近年は、ローテート時代にプライマリーケアをしっかり勉強するよう指導される。

だが、実際多くの医師は、最終的にはプライマリーケアより入院中の患者さんの病態にいかに適切に対処するか、という能力に重点を置くことになる。

したがって、上記の感染症の基本事項を押さえたあとは「入院患者の感染症の考え方」を勉強する必要がある。

それに最適なのがこちらである。

当然、外来患者と入院患者は背景因子が異なるため、感染症に対するアプローチも全く異なる。

この本は、あらゆる領域における院内感染症の考え方を網羅してある、素晴らしい本である。

臨床研修が終わっても、担当患者さんの尿路感染カテ感染院内肺炎などで悩まされることは科を問わず必ずある。

継続使用性も高く、購入を強くおすすめする。

 

 

必要性:★★★
本の薄さ:★☆☆
読みやすさ:★☆☆
継続使用性:★★★

こちらも、感染症領域では超有名な参考書。

だが実物を見ればわかるように、非常に分厚く「通読」を前提としている本ではない(もちろん超優秀な医師はしっかり通読しているのかもしれないが、私はそういう使い方はしなかった)。

感染症に困った時に必ず参照したい本である。

どの科に進むにしても、感染症をきっちり勉強していなければ絶対に苦労する

なにより患者さんにとってベストな医療を提供できない。

こちらは臨床研修が終わってもかなり長期的に使えるので持っておくべき本で、値は張るがコストパフォーマンスを考えれば全く高くない。

もちろん感染症のエッセンスを身につけようという動機で最初に手にする本ではないので、まずは最初にあげた本で勉強すべきである。

 

酸塩基平衡・電解質

必要性:★★★
本の薄さ:★★★
読みやすさ:★★★
継続使用性:★★★

酸塩基平衡、電解質に関する参考書でこれ以上にわかりやすい本はないと言っても過言ではない。

ロングセラーの有名な本である。

電解質関連でも多数の参考書があるのだが、そもそもあまり勉強して楽しくない分野で(私だけ?)、苦手意識がある人も多いので、分厚い本や詳しすぎる本は途中で読む気をなくしてしまう。

この本はとにかく薄い、そのうえ分かりやすい

さらに、臨床研修が終わったあとも輸液で困った時に参照できる。

電解質の勉強をする際にまず買うべき本である。

 

 

必要性:★★★
本の薄さ:★★★
読みやすさ:★★★
継続使用性:★★★

一つ目の本に続いて、同じ作者の本である。

この本も薄くて読みやすく表現もわかりやすい。

上記の本を読めば、タイトルの通り気づけば電解質のことが「好きになっている」ので、この本もすらすら読める。

輸液に関する、より実践的な知識がまとめてある。

低Naや低Kなど、電解質異常はどこの科にいっても逃れることのできない病態である。

だが科によっては「頻繁に遭遇する」わけではないので、その都度本を参照したくなることも多い。

この本はそういう使い方も可能で、継続使用性も高いと言える。

 

 

栄養管理

必要性:★★★
本の薄さ:★★★
読みやすさ:★★★
継続使用性:★★★

栄養は奥が深く、投与経路は経口、経腸、末梢点滴、中心静脈と様々にあり、おまけに冒頭にも書いたように、経腸栄養剤は種類が非常に多くて使い分けも難しい。

だが栄養は患者のアウトカムに影響を与える重要な因子で、どの科に進むとしてもしっかり勉強しておかなければならない

この本は、栄養の考え方から実践まで簡単に理解できるわかりやすい本である。

薄くてすぐ読めるし、あとから参照もしやすい。

栄養に関してはまずこの本からである。

 

 

呼吸器(人工呼吸器)

必要性:★★★
本の薄さ:★★☆
読みやすさ:★★★
継続使用性:★☆☆

この本もロングセラーの名著である。

人工呼吸に関して苦手意識のある研修医は多いのではないだろうか。

人工呼吸関連の参考書も非常に多く、イラストが多くて一見わかりやすそうな本を読んだのに結局よくわからなかった、という人も多いかもしれない。

この本は、人工呼吸の考え方から実践まで非常にわかりやすく解説されており、人工呼吸の座学ではこれ1冊で十分といっても良い

逆にこれ以上の知識は実践で身につけるべきだろう。

人工呼吸関連では最もおすすめできる一冊である。

ただ、読み物に近いので、臨床研修が終わっても集中治療領域で活躍する医師が常に参照するとは考えにくく、継続使用性は低くした。

 

 

必要性:★★☆
本の薄さ:★★☆
読みやすさ:★★☆
継続使用性:★★☆

上の本を読んで、さらに知識を整理したい場合に次に手に取るべきはこの本である。

イラストは多いが、上の本で基礎的知識がまとまっていたら非常に使いやすい本である。

呼吸器のモードもポイントを抑えてわかりやすくまとまっており、非常に実践的である。

困った時にも参照しやすく、継続使用性もそれなりに高い。

 

 

必要性:★☆☆
本の薄さ:★★★
読みやすさ:★☆☆
継続使用性:★★☆

原書は英語であるが、世界的に超有名な胸部レントゲンの参考書である。

私は英語で通読したが、日本語で読むのも問題ないだろう。

胸部レントゲン写真を見なくても良い科は存在しない

この本は、胸部写真でこれほどのことが読み取れるのか、というくらい研ぎ澄まされた読影方法を紹介している。

途中のコラムも興味深くて面白く、英語でも比較的読みやすい本である。

臨床研修が終わると、こういう本をゆっくり読む時間も気力もなくなってしまう。

研修医のうちにぜひ手にとって読んでおきたい本である。

 

 

循環器(心電図)

必要性:★★★
本の薄さ:★★★
読みやすさ:★★★
継続使用性:★☆☆

心電図に関して書いた本で、これ以上わかりやすい本はないと断言する。

これまで挙げた本の中で最も薄い。

しかもポイントを絞った参考書というより、心電図の考え方を学ぶ「読みもの」に近い。

だがこれを1冊読めば、心電図の読み方の全体像がかなりはっきりイメージできるようになる。

循環器は私の専門ではないので、有能な循環器内科医には怒られるかもしれないが、エッセンスだけを吸収するなら最適の本だ。

私はあらゆる研修医にこれをすすめている。

 

 

必要性:★★★
本の薄さ:★☆☆
読みやすさ:★★☆
継続使用性:★★★

これは通読も一応可能だが、どちらかというと困った時に参照したい本である。

その意味で継続使用性が高く、前述の本とは目的が真逆と思って良い。

心電図に関して分野別に実例を挙げ、網羅的に説明してあってわかりやすい。

大判なので、実例の心電図が見やすいという特長もある。

心電図もまた、必要のない科はない。

机に1冊置いておけば常に参照できる便利な本で、研修医のうちから買っておくべき本である。

 

 

集中治療(ICU)

必要性:★★★
本の薄さ:★☆☆
読みやすさ:★★★
継続使用性:評価不能

読み物のように読みやすく、全領域を網羅してあって便利な本である。

ただ、そもそも集中治療領域はあらゆる疾患を診る必要があるため、ポイントを絞ってエッセンスだけ、というわけにはいかない。

よってそれなりに分厚く、ある程度骨のある本である。

だが、治療の考え方を学ぶという意味では最適の本で、ICUローテートがある場合は必ず読んでおきたい1冊である。

臨床研修が終われば集中治療領域に関わる可能性がないという人にとっては継続使用性は低い。

よって、継続使用性は評価不能とした。

 

 

必要性:★★☆
本の薄さ:★☆☆
読みやすさ:★☆☆
継続使用性:評価不能

こちらも、臨床研修が終わったら集中治療領域に関わる可能性はほぼ全くない人にとっては継続使用性は低いかもしれない。

私は通読したが、分厚くボリュームは大きいため通読を前提にしている本ではない。

だが困った時に参照するには最適の本で、ICUローテート中には必ず役に立つ1冊である。

ICUがローテートに含まれる研修医は、前述の本とともに必ず買っておくべきだろう。

 

 

外科

必要性:★★★
本の薄さ:★★★
読みやすさ:★★★
継続使用性:★☆☆

外科をローテートして、実際に手技をする機会がある人なら買っておくべき本である。

非常に薄く、イラストはわかりやすく、外科手技の基本をおさえるのには最適の本である。

ただ完全な入門書なので、外科志望の人が長期的に使えるというものではない。

逆に外科志望ではないが、簡単な手技だけは身につけておきたいという場合は最適だろう。

むろん外科志望でも最初は役に立つので買っておくべき本である。

 

 

必要性:★★☆
本の薄さ:★☆☆
読みやすさ:★★☆
継続使用性:評価不能

こちらも超有名な参考書。

これほどわかりやすい手術書は他にない。

消化器・一般外科志望の研修医なら、研修医の時点で買っておくべき本である。

そうでない人はあえて買う必要はないかもしれないが、外科ローテートが比較的長く、手術の内容もちゃんと勉強しておきたいという殊勝な研修医の先生にはぜひ買ってほしい。

私のように消化器外科を専門とするなら継続使用性も極めて高いが、消化器外科志望でないのなら、継続使用性は低い。

よってこちらは評価不能とした。

なお、上は半分サイズの縮小版、下はおよそB4サイズの大型版である。

これは好みなのでどちらが良いということはないが、縮小版とは言え分厚くポケットに入れて持ち運べるようなものではないので、机で見ることを前提とするなら絵が見やすい大型版の方が良いかもしれない。

 

 

必要性:★★☆
本の薄さ:★★☆
読みやすさ:★★☆
継続使用性:評価不能

この本は、写真は綺麗でスケッチも付いており、胃透視の診断の勉強には最適である。

病理診断との照らし合わせもできて、原理からわかりやすく説明されている。

あらゆる疾患が網羅されており、末尾には実際の症例から学べるコーナーもある。

胃透視の本もたくさんあるが、この本が一番わかりやすい

胃透視の読影知識は、消化器内科、消化器外科ローテート時には必須だが、志望科が違えば継続使用性は低い。

全員に普遍的にすすめるかどうかは難しいが、ローテート時のカンファレンスでの胃透視のディスカッションを理解したいという真面目な研修医の先生には購入をおすすめしたい。

 

 

必要性:★☆☆
本の薄さ:★★☆
読みやすさ:★☆☆
継続使用性:★☆☆

こちらは番外編。

上は和訳版、下は原書である。

消化器を志望するなら原書で通読してほしい。

英語でも読みやすいし内容もわかりやすい。

急性腹症の診察や診断学に関しては他にも良い本があるだろうし、そもそも実践でしか身につかないものも多い。

だが、消化器の専門を目指す人にとっては、歴史ある世界的に有名な急性腹症の参考書は読んでおきたいところである。

 

救急

必要性:★★★
本の薄さ:★★☆
読みやすさ:★★★
継続使用性:★★★

ある年齢以下の医師では知らない人のいない有名な本である。

救急ローテート時には心強い味方で、救急科を専門にするという人以外は、これ以外に救急関連の本を買う必要はないと思う。

あらゆる疾患がスマートにまとまっているし、非常に読みやすい。

臨床研修が終わっても当直などで救急外来勤務がある人や、外勤などで救急外来勤務がある場合は再使用するかもしれず、ある意味継続使用性は高いと言える。

 

 

必要性:★☆☆
本の薄さ:★★☆
読みやすさ:★★★
継続使用性:★☆☆

初期研修医に対してこのシリーズをまず最初にすすめる人がいるが、私は賛成しない

タイトルからしてもそうだが、レジデントレベルを超えているからだ。

難度が、という意味ではなく、提供する知識の深さ、詳細さがである。

もちろん非常に読みやすいし、読んでいて楽しいし、あっという間に通読できる。

私も研修医時代に全巻を通読したが、研修医時代の救急業務に必須だったかときかれるとやや疑問である。

非常に良い本だが、これまで挙げてきた本より優先的に読むべきとは思わない、というのが正直なところである。

良書なのは間違いないので、救急ローテートが長く、余裕がある人は読むのが良いだろう。

 

 

その他

必要性:★★★
本の薄さ:★★★
読みやすさ:★★☆
継続使用性:★☆☆

麻酔科をローテートしなくても良い病院はないはずだ。

麻酔科ローテート中には必ず必要な1冊。

だが麻酔科志望でない限り、ローテートが終われば開くことはほとんどないかもしれない。

ただ、外科系志望の医師は、病院によって麻酔科医が足りないところで自科麻酔が必要なので、買っておいて損はないだろう。

ポイントがしっかりまとまっていて目的の箇所を参照しやすく、またコンパクトで持ち運びもしやすい良書である。

 

 

必要性:★★★
本の薄さ:★★★
読みやすさ:★★☆
継続使用性:★★★

緩下剤を処方したいが、マグミット?プルゼニド?レシカルボン坐剤?ラキソベロン?と迷ったことはないだろうか。

あるいは、眠剤を処方したいが、マイスリー?レンドルミン?デパス?ということもあるかもしれない。

この本は、どこの科でも必ず使用する薬剤の使い分けをわかりやすく解説してくれている。

1冊持っておけば、臨床研修が終わってからも使用できるだろう。

 

 

必要性:★★☆
本の薄さ:★★★
読みやすさ:★★★
継続使用性:★★☆

麻薬は、内服、点滴、座薬、パッチ、皮下注など投与経路が様々で種類も多く、使い分けが難しいと思っている人も多いだろう。

この本は、緩和の考え方から実践的な使い方まで網羅してあり、非常にわかりやすい。

麻薬は癌性疼痛だけでなく、術後の疼痛や、創部痛など広く使う可能性があり、知識は身につけておいて損はない。

だが、癌は絶対に見ない、という科を目指す人にまでおすすめできる本ではない。

将来の志望科で緩和医療の知識がどのくらい必要か考えて買うのが良いだろう。


以上全23冊。

おすすめなどど偉そうなことを述べてきて恐縮だが、私は本を読むのが好きで、研修医時代に限らずこれまでとにかくたくさん本を買って読んだので、この体験を少しでも後輩に生かしてほしいという一心で書いた。

この場ですべて買ってしまっても後悔はないと思うが、ローテートの順番などに合わせて自分なりの優先順位で買っていただきたいと思う。

広告

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です