性病(性感染症)を検査する方法、種類・治療法を男女別&症状別に解説

性行為によって感染する病気を性感染症と呼びます。

一般に「性病」と呼ばれることもありますが、正しい表現ではありません

性感染症は、早めに診断、治療をしなければ、全身疾患に発展したり、不妊の原因になったりと、危険な病気です

また、治療しないことで他の人に感染させ、感染が拡大する恐れもあります

 

性感染症の中には症状が全く出ないものもあります。

自分では自覚がなくても他人に感染させてしまうリスクがあります(その相手にだけはひどい症状が出る、ということもよくあります)。

風俗で遊んだ、不特定多数のパートナーとの性交渉があった、というようなケースでは特に要注意です。

 

ときに専門家でも診断が難しいのが性感染症ですが、ネット上には非専門家の書いた間違った情報が出回っているため、くれぐれも注意が必要です

今回は、男性と女性に分けて、症状別に可能性のある疾患、原因となる細菌・ウイルス、その検査方法治療法について分かりやすく解説します。

 

なお、ここに書いた症状に当てはまる人は原則病院に行くことをおすすめしますが、性感染症では患部を他人に見せるのが恥ずかしい、という方は必ずいるはずです。

「どうしても行きたくない」

「医師に見られるのが恥ずかしい」

「病院に行く前に検査をしたい」

という方は、検査キットによる郵送検査を利用するのも一つの手です。

郵送で簡易的な検査キットを使用して検査をしてもらうことができ、匿名検査もできます。

検査方法についてはこの記事の最後でもう一度詳しく説明します

 

 

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性感染症(性病)の症状

まず、性感染症を疑う症状は以下のようなものです。

 

男性

尿道から膿のような汁が出る

排尿時に痛む

陰嚢・睾丸(きんたま)が腫れている

外陰部にブツブツや潰瘍(かいよう)ができている

のどのブツブツ、痛み

熱がある

全身倦怠感(体がしんどい)

 

女性

排尿時に痛む

頻尿

性行為中に痛む

膣から汁が出ている

尿に膿が混じる

お腹が痛い

外陰部にブツブツや潰瘍(かいよう)ができている

外陰部にイボができている

のどのブツブツ、痛み

熱がある

全身倦怠感(体がしんどい)

自分に当てはまる症状がある方は必ずこの記事を最後まで読んでください。

 

性感染症には様々な種類があり、一つの細菌やウイルスが複数の症状を起こします。

また、複数の微生物が同時に感染することも頻繁にあります

したがって、症状と病気が一対一で対応するわけでは決してないことに注意してください

 

ここからは、男性の性感染症、女性の性感染症、男女共通の性感染症の順に書いていきます。

 

男性の性感染症の症状

尿道から膿(汁)が出る

尿道、つまりペニスの尿の通り道から、透明、あるいは白い分泌物が出る状態です。

排尿時にしたたり落ちたり、パンツが汚れていることで気づきます。

 

原因

尿道から膿が出る病気を「尿道炎」と呼びます。

大きく、淋菌(りんきん)性と、そうでない非淋菌性に分けることができます。

 

淋菌性尿道炎

淋菌という細菌による感染症です。

「淋病(りんびょう)」という呼び名は誤りです。)

潜伏期間(性行為から発症までの期間)は3日〜2週間です。

尿道から膿のような分泌物が出るのが特徴です。

性交渉から2週間とかなり時間が経ってから現れることもあるため、注意が必要です

放置しても自然に治りますが、症状がなくなるまでに約6ヶ月かかります。

きっちり治療しなければ慢性化し、尿道が狭くなる尿道狭窄精巣上体炎(副睾丸炎)といった厄介な病気を引き起こすことがあります。

早めに治療しなくてはなりません。

 

非淋菌性尿道炎

淋菌以外の細菌が原因です。

最も多いのはクラミジアです。

淋菌とクラミジアが混合感染(同時に感染する)することもよくあります

そのほか、ウレアプラズマ、マイコプラズマ、トリコモナス、単純ヘルペスウイルスといった細菌・ウイルスも、非淋菌性尿道炎を起こします。

マイコプラズマは、難治性の(治りにくい)尿道炎の30%を占めるやっかいな微生物です。

 

潜伏期間は数日から1ヶ月です。

淋菌性のものより潜伏期間が長いため、性交渉から時間がたち、忘れた頃に症状が現れることもあります。

尿道からの分泌物は淋菌性より少ないものの、同じように膿のような液体が尿道から出てきます。

放置しても自然に治りますが、症状がなくなるまでには3ヶ月から半年かかります。

淋菌性と同じく、きっちり治療しないと慢性化して尿道狭窄や精巣上体炎を起こすリスクがあります

 

検査の方法

尿道からしたたり落ちた膿を調べます。

分泌物が少ない場合は、陰茎をしごいて分泌物を絞り出し、これを検査に出します。

この検査によって原因となっている微生物を突き止め、それに見合う治療を行います。

 

治療の方法

抗菌薬(抗生物質、抗生剤)できっちり治療する必要があります。

薬の種類によりますが、通常1日1回または2回の飲み薬の内服で治します

薬の種類によって、1回の内服で終了するものから、1週間の内服が必要なものまであります。

いずれにしても定められた期間、きっちり飲みきることが大切です。

中途半端に治療を中断したり、不適切な抗菌薬を使用したりすると、必ず再発します。

通常、治療終了してから4〜5週間後にきっちり治っているかを確認します。

 

性感染症ではないケース

性感染症ではないのに、尿道炎のような症状を起こすことがよくあります

たとえば、

過剰なアルコール(お酒)やコーヒー摂取

特定の薬の副作用

自慰行為や性行為自体による尿道の刺激

などが原因になります。

また、Reiter(ライター)症候群と呼ばれる、感染性ではない尿道炎も存在します。

結膜炎や口内炎、腰痛も現れる全身疾患です。

これらは検査をしなければ区別するのは困難です。

 

陰嚢・睾丸が腫れている、痛む

陰嚢、つまり睾丸(精巣・きんたま)が入っている袋が腫れて痛む状態のことです。

考えられる病気は「精巣上体炎」です。

精巣上体は睾丸の上にある小さな臓器で、「副睾丸」とも呼ばれます。

 

原因

尿道炎が波及して起こります

つまり、きっちり尿道炎を治療しないまま放置していて、精巣上体まで感染が及んだケースです。

したがって、原因となる微生物は淋菌クラミジアが大半です。

治療が中途半端に終わり、尿道炎が治りきっていなかったことが原因となることもあります。

 

診断の方法

基本的には診察した所見で診断し、治療を開始します。

治療が上手くいかないケースでは、精巣上体に注射をしてたまった液体を吸引し、検査を行うこともあります。

 

治療の方法

尿道炎の延長ですので、治療は尿道炎と同じです。

抗菌薬で治療します。

尿道炎と同じく、適切な抗菌薬で治療すること、定められた期間はきっちり治療することが大切です。

放置すると、膿のかたまりができたり、精巣の血流がなくなって壊死するなどして不妊の原因になることもあります

(男性の方はこの後の男女共通の性感染症の症状も読んでください)

 

女性の性感染症の症状

女性によくある症状

女性の性感染症は、尿道炎に膀胱炎や膣炎などが重なって起こるため、これらを区別できません。

男性と違って尿道が短く、膣、膀胱が近い距離にあるためです。

症状としては、

排尿時の痛み

頻尿

性行為中の痛み

膣からの分泌物

尿に膿が混じる

といったものがたいてい同時に起こります

よってこれらを区別する医学的な意義はありません。

これらの症状が起こりうる病気をまずまとめて解説します。

 

尿道炎・膀胱炎

原因

尿道炎なら淋菌クラミジア単純ヘルペスウイルスが原因です。

膀胱炎なら、大腸菌などの腸内細菌が原因になります。

淋菌やクラミジアが原因の尿道炎の場合、膣の奥まで感染が及び、子宮頸管炎を起こしていることもあります。

潜伏期間は、膀胱炎で2、3日、尿道炎で1週間以上です。

 

検査の方法

尿の検査を行います。

一般的な健康診断での尿検査は、ご存知の通り出始めの尿を捨てて中間尿を取るのが普通です。

性感染症の検査では、逆に「出始めの尿」が重要です。

尿道炎の原因となる微生物は出始めの尿の多く含まれるためです。

2時間ほど排尿していない状態で尿検査を行い、出始めの尿を取るのが理想的です。

 

治療の方法

原因となる微生物を特定し、それに合う抗菌薬を使用します。

飲み薬で、1日1〜2回の内服です。

治療期間は、1日で終わるものから、1週間内服するものまで、薬の種類によって様々です。

いずれにしても、定められた期間きっちり治療することが大切です。

治療が中途半端になると慢性化し、子宮頸管炎、子宮内膜炎、卵管炎にまで発展し、不妊の原因になります

 

膣炎

原因

膣の炎症を起こす原因となる代表的な性感染症は「トリコモナス症」です。

また、他にもカンジダ症細菌性膣炎があります。

(カンジダは真菌、つまりカビの仲間です)

 

膣炎に特徴的な症状

症状としては、膣の発赤(赤くなる)不快感膣からの分泌物が挙げられます。

ただし膣と尿道は距離が近いため、排尿時の不快感や痛みといった、尿道炎の症状が現れることもあります

カンジダであれば無臭のチーズのような分泌物、トリコモナスや細菌性であれば無臭の泡のような分泌物が特徴です。

 

検査の方法

分泌物を取って検査を行います。

これによって原因となっている微生物を特定します。

 

治療の方法

カンジダ症では抗真菌薬と呼ばれる飲み薬、または膣坐薬(膣に入れるタイプの坐薬)を使用します。

薬によって使用回数は異なり、1日1〜2回を1〜7日間使用します。

 

トリコモナス症では、メトロニダゾールと呼ばれる抗菌薬を1回、1日内服するだけで治療が終わります。

ただし、治りが悪い場合は1週間治療を継続することもあります。

メトロニダゾールは妊娠初期には使用できませんので、内服前に必ず妊娠反応の確認が必要です

また内服前後のお酒も禁止です(内服12時間前から内服後24時間の間)。

細菌性の膣炎も、トリコモナス症と同じくメトロニダゾールを中心とした抗菌薬治療を行います。

 

腹痛(下腹部の痛み)

性感染症がお腹の中(骨盤内)に広がる状態を、骨盤内炎症性疾患(PID)と呼びます。

子宮内膜や卵管など、骨盤内の臓器に感染が広がることが原因です。

お腹の痛みと同時に、発熱性行為時の痛み排尿時の痛み月経(生理)の始まりの痛み吐き気など様々な症状が起こります。

慢性的な炎症のため、1回の性行為によって感染するタイプの性感染症ではありません。

 

原因

やはり尿道炎などと同じく、多くは淋菌クラミジアが原因です。

 

検査の方法

血液検査や腹部超音波(エコー)、腹部CT検査などを行ないます。

しばしば確実な診断は難しく、虫垂炎(盲腸)や腸炎など、お腹の中の他の病気を全て除外しなければ診断はできません。

私たち消化器系の医師と産婦人科の医師がともに診察して診断することがほとんどです。

 

治療の方法

基本は入院での治療が必要です。

抗菌薬の点滴で治療しなければならないためです。

どうしても入院ができない方の場合は、内服薬で治療することもあります。

ただし、きっちり治療しなければ、お腹の中に膿(うみ)のかたまりができ、不妊や子宮外妊娠の原因になることがあるため注意が必要です

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男女共通の性感染症の症状

以下に挙げる症状は、男女ともに起こりうる性感染症の症状です。

 

外陰部の潰瘍(かいよう)

外陰部(股間の皮膚)痛みを伴う潰瘍ができます。

潰瘍ができる前は、白い水泡(ブツブツ)が集合したような姿になります。

原因となる代表的な微生物は、単純ヘルペスウイルス梅毒です。

 

単純ヘルペスウイルス

男性では陰茎、女性では陰唇(膣の入り口の両側)に多く起こります。

潜伏期間は4〜7日程度です。

初めての感染の場合には、発熱全身倦怠感などの全身症状も見られます。

(再発例では症状は軽い)

やっかいなのは、無症状の感染者が多いこと、つまり本人は無症状でもウイルスを他人に感染させる可能性のある人が多いことです。

何の症状もない人から、陰部ヘルペス(性器ヘルペス)がうつる可能性があるということです。

 

単純ヘルペスウイルスには1型と2型があります。

1型は唇や口の中に、2型は陰部にいるウイルスです。

80%は2型です。

1型のウイルスが陰部に感染するのは、オーラルセックス(フェラチオやクンニ)が原因です。

口唇ヘルペス(口の周りにできるヘルペス)が陰部に感染したものです。

 

検査の方法

水泡、あるいは潰瘍から一部検体をとり、これを検査することで診断します。

合わせて血液検査を行うこともあります。

 

治療の方法

症状が軽いケースや、受診時に治りかけているケースでは治療は不要です。

自然に治るのを待ちます。

一方、症状が強い場合は、ヘルペスウイルスに対する薬(ゾビラックス、バルトレックスなど)を使用します。

ただしこれらの薬は、妊娠中や授乳中の使用について安全性が証明されていません

治療には必ず産婦人科医との相談が必要です。

また、妊婦の初感染のケースでは、経膣分娩(通常の分娩)では、産道を通るときに赤ちゃんにウイルスが感染する恐れがあります

一般的には帝王切開が必要と考えられているため、こちらも必ず産婦人科医に相談が必要です。

 

また上述した通り、パートナーが感染していても症状があるとは限りません(症状がないことも多いです)。

症状のあるなしに関わらずパートナーも受診し、検査が必要です

でなければ、一方だけが治癒しても、結局のちに再び感染します。

「ピンポン感染」と呼びます)

 

梅毒

単純ヘルペスと同じく、外陰部に潰瘍(かいよう)を作ります。

潜伏期間は2〜6週間です。

感染から3週間程度たってから、外陰部に痛みのない潰瘍が現れます。

ヘルペスと見分けにくいこともありますが、ヘルペスに比べると痛みが非常に軽いのが特徴です。

(ヘルペスと梅毒が同時に感染しているケースもあるため注意が必要です)

感染から1.5ヶ月程度たつと、全身の症状が現れます。

咽頭痛(のどの痛み)筋肉痛全身の皮疹(ブツブツ)などの症状です。

この時点までにきっちり治療しなければ、さらに脳神経系に異常をきたす神経梅毒や心臓や血管に異常をきたす心血管梅毒に発展します

 

検査の方法

血液検査が主体になります。

梅毒検査については専門性がかなり高いため、詳細は割愛します。

 

治療の方法

梅毒に効く抗菌薬を使います。

多くは、半年から1年以上の通院が必要になります。

医師の指示に従いましょう。

 

その他の症状

外陰部のイボ

女性の外陰部にイボのような病変ができることがあります。

重要なのは、「尖圭コンジローマ」と呼ばれるヒトパピローマウイルスが原因の病気です。

皮膚科で焼却(焼く)によって治療します。

 

のどの症状

のどの痛みや、のどの水泡(ブツブツ)などの症状を起こす咽頭炎も、性感染症の一つです。

オーラルセックスが原因です。

原因となる微生物は、淋菌、梅毒、クラミジア、単純ヘルペスウイルス、ヒトパピローマウイルスなど様々です。

なおHIV(エイズの原因となるウイルス)感染でも咽頭炎がおきることがあります

(HIV感染症も代表的な性感染症です)

 

症状の出ない性感染症

性器や肛門、口の中や咽頭(のど)などの性行為に使用する部分に症状の出ない性感染症には注意が必要です。

代表的なのは、HIVB型肝炎です(C型肝炎が性行為によって感染することはまれです)。

ともに、微熱が出たり、HIV感染では前述の通り咽頭炎を起こしたりすることもありますが、全く無症状であることもよくあります

パートナーの感染がわかったケースでは、必ず検査が必要です

 

性感染症(性病)の検査方法

性感染症(性病)を検査する方法は以下の3種類あります。

 

1. 保健所に行く

地域によっては、市の保健所でHIV、梅毒、クラミジアといった限られた微生物に関して匿名で検査を行なっています。

安い価格で、あるいは無料で行なっている地域もあります

電話相談も受け付けていますので、まずは相談することも可能です。

自分で電話するのが恥ずかしい、という場合は本人でなくても相談を受け付けてもらえます

 

保健所では、簡単な問診、カウンセリングの後、検査を行います。

検査結果は後日聞きに行くことになります。

ただし、保健所でできるのは検査のみです。

治療はできませんので、検査の結果、性感染症が判明すれば病院やクリニックを紹介されることになります

 

2. 病院やクリニックに行く

直接病院やクリニックに行き、診察、検査、治療をしてもらう方法です。

女性であれば産婦人科泌尿器科、男性は泌尿器科が適切です。

クリニックでも、病院でも構いません。

クリニックでは、「性病科」として性感染症を専門に見る医師もいる(皮膚科医か泌尿器科医が多い)ため、そこを受診するのも良いでしょう。

ちなみに性感染症の症状で、夜間や休日の救急外来を受診する人が非常に多くいます。

救急を受診したとしても即日結果を知ることはできない上、専門の医師がいないためスムーズな診断もできません

必ず日中の一般外来を受診しましょう

 

3. 検査キットで自分で検査する

性感染症では、誰しも患部を見せるのが恥ずかしいと思うのは当然です。

「病院や保健所には行きたくない」

「医師に見られるのが恥ずかしい」

「病院に行く前に検査をしたい」

という方も必ずいると思います。

その場合は、以下のような検査キットを使った郵送検査を利用するのも一つの手です。

郵送で簡易的な性病検査キットを使用して検査をしてもらうことができます。

匿名検査もできますし、他の人に見られるのが恥ずかしいという方でも抵抗はありません。

ただし、検査の結果、性感染症が判明すれば、必ず病院やクリニックを受診しなくてはなりません

【さくら検査研究所】性病検査キットのホームページへ


性感染症について詳しくまとめました。

ここにあげた症状に思い当たる人は、必ず病院に行きましょう。

また、性感染症はコンドームを使用することで大部分を防ぐことができます。

必ず使用するようにしましょう。

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医師。専門は消化器外科。二児の父。
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