本サイトでは、私が研修医の頃を振り返って、
「なぜか誰も教えてくれなかったけれど、絶対に研修医のうちに知っておきたかった」
と思うことを多くの記事にまとめています。
研修医の2年間はあっという間に終わってしまいます。
この間にしかできないことはたくさんありますので、ぜひ意識を高く持ち、有意義な期間にしてください。
この記事では、研修医になったらやっておくべきことをまとめています。
「研修医のうちにすべき勉強」ならいくらでも情報はありますが、もっと広い内容を体系的に教えてくれる人は意外といません。
ぜひ参考にしてみてください。
目次
まず座学!Generalistを目指そう
研修医の間の勉強法として大切なのは「集中的な座学」です。
「現場に出たのにまた座学!?」
と思った方はもう少し読み進めてください。
現場では確かに、「経験」がものを言います。
しかし、何も勉強せずに経験を浴びるだけでは、その大部分は身につかず、きっちり座学をこなしている同期に水をあけられます。
質の高い自己学習によってこそ、臨床経験から効率よく知識や技術を吸収できるからです。
日々新しい知識や経験が増えたら、常に参考書を使ってフィードバックすることが大切です。
では、研修医の間に学ぶべきこととは、具体的にはどういうものでしょうか?
ここで考えるべきは「どの科に進んでも必要とされる知識」です。
何科に進むとしても、
病棟で突然患者さんが発熱した
外来で患者さんが腹痛を訴えた
担当患者さんが低ナトリウム血症になった
といった状況に対して適切な対応が常に求められます。
たとえば、病棟で自分の担当患者さんが頭痛を訴えた時に、
「僕は消化器内科医なので、頭痛は診られません」
では話にならないわけです。
少なくともこの時点で、
緊急性があるか?
どういう診察、検査が必要か?
脳外科医を呼ぶ必要はあるか?
といった判断が適切にでき、スムーズに専門科の医師に引き継ぐまでの初期対応ができなくてはなりません。
初期研修医の間にプライマリーケアを学ばなければならないと言われている理由はここにあります。
こういう知識が身につく本を以下の記事で分野別に詳しくまとめています。
ここに挙げた24冊は全て購入すべき、と言って良いくらいの名著ばかりです。
ぜひ参考にしてみてください。

なお本を買う前には以下の記事もご覧ください。

本を買う前に!不要な医学書を高価買取で処分
研修医の間に買うべき本は大量にあります。
学生時代のいらない本がたくさんある人は、本棚がいっぱいになる前に処分すべきです。
オススメは、医学書専門の買取業者を使うことです。
送料無料、ダンボールでまとめて送るだけです。
こうした医学書専門の業者は、医学書の価値をあまり認識してくれない古本屋より、遥かに高く買い取ってくれます。
普通の古本屋で雀の涙ほどの値段で売ってしまうのは、非常にもったいないことです。
必ず医学書専門買取業者を利用するようにしましょう。
ちなみに高価買取業者でオススメなのは、医学書専門買取サイト「専門書アカデミー」です。
他の買取業者とも比較したい方は以下の記事もご参照ください。

モバイルPCを購入しよう
持ち運びが容易なノートパソコンを持っていない人は必ず早いうちに買いましょう。
研修医の間は様々な場面でプレゼンのトレーニングをします。
家や医局でスライドを完成させて発表の場にUSBで持って行くスタイルだと、直前の修正ができません。
学会などでは、他の人の発表を聞いて自分の発表内容をマイナーチェンジすることは多くあります。
直前までスライドの完成度を高める作業を怠ってはいけません。
これができるのはモバイルPCを持っている人だけです。
ちなみに、私のオススメはMacBookです。
医師になると、Word、Excel、PowerPointを同時に開き、レポートやスライドを作成することが頻繁にあります。
Macは、Magic Trackpadを使った仮想マルチディスプレイ(仮想デスクトップ)が使えるため、画面の小ささが全く気になりません。
これらのウィンドウがどんどん重なっていくWindowsはもはや私は使えません(私は大学時代はWindows派でしたが)
有限な時間を最大限活用するためには作業効率を高めることが最も大切と心得ましょう。
民間医局に登録しておこう
民間医局は、メディカルプリンシプル社が運営する、11万人以上の会員を擁する医師向け総合サービスです(入会費・年会費は無料)。
日本の医師が約28万人ですから、かなりの割合の医師が登録していることがわかります。
私もこれまで周囲の医師で「民間医局に入っていない」という人をあまり見たことがありません。
民間医局では、会員限定で以下のようなサービスが受けられます。
・民間医局書店で医学書が最大12%オフで購入できる(詳細はこちら)
・便利な医師向け情報誌「ドクターズマガジン」が無料で購読できる
・レジナビに参加できる
・会員制ホテルにリーズナブルに宿泊できる
・医師賠償責任保険に、団体割引で安く加入できる
・アルバイトをしたい時に、豊富な案件から登録できる
入会費や年会費は一切かかりません。
登録は全て無料で、1〜2分で簡単にできますので、早い段階で登録しておくことをおすすめします。
私も初期研修医1年目の入職の時点から加入しています。
民間医局のホームページに行き、「新規会員登録(無料)」というボタンをクリックすれば、会員登録フォームに遷移します。
ここで、「ドクターズマガジン」の購読やメルマガの登録もできます。
レジナビについては、医学生向けではなく、研修医向けのレジナビも年間通して全国で行われていますが、民間医局の会員でなければ参加できません。
1000近くの病院が参加する巨大なイベントで、臨床研修修了後の進路を考えるにもかなり有用です。
例年、東京・大阪を始め、全国各地で開催されています。
研修医ノートを作ろう
研修医のうちは新しい情報がたくさん入ってきます。
しかし、これを次々にインプットし、次の日から効率よくアウトプットできる人はいません。
そこで、できるだけ早いうちから勉強ノートを作りましょう。
と言っても、国家試験の勉強の時に作るノートとは全く別物です。
そもそも、試験勉強のために用意するノートは、試験本番に見ることを想定していません。
一方、研修医ノートは、臨床現場で何度も見ることができるものでなくてはなりません。
試験では、丸暗記によって9割の正答率を誇る人は優秀という扱いです。
しかし臨床現場では、答えを見ても良いから10割の正答率を叩き出さないと使い物になりません。
つまり、「答えが何かを暗記している人」より「答えがどこに書いてあるかを知っている人」を目指す方が望ましいと言えます。
よって、仕事のできる医師になるためには、
「必要な情報に効率よくアクセスできる方法を確立すること」
が大切です。
たとえば病棟で看護師から、
「先生!○○さん、今朝の採血でナトリウムが120台なんです!点滴変更しますよね?どうします?」
と言われた時に、
「えーっと・・・」
と言って思考停止していると、お話になりません。
そこで作るべきなのは、現場でアウトプットの頻度が高い情報をまとめたノートです。
たとえば、優先すべきこととして挙げられるのは、
・抗菌薬の種類とスペクトラム、腎障害の程度に応じた容量調節一覧
・経腸栄養剤の種類と水分量・カロリーの一覧
・低K、低Na血症を中心とした電解質異常の補正方法一覧
といったことです。
これに加えて、自分自身が日常診療で身につけた知識を、
「イベントーdisposition(何をすべきか、検査・治療など)」
を対応させて、オリジナルのノートを作りましょう。
これを繰り返すうちに、使う頻度の高い情報は暗記しようと思わなくても自然に「暗記」できます。
なお、ノートは白衣のポケットに入るサイズを選びましょう。
間違ってもB5サイズの普通のノートを使ってはいけませんよ。
Amazonプライムに入会しよう
仕事上必要な物は全てAmazonで購入し、発送先を病院の医局に指定する。
これが基本です。
そして必ずAmazonプライム会員になっておきましょう。
1ヶ月たった325円で、送料が全て無料になります(通常なら2000円以下の注文で送料350円)。
そして最大の利点は、お急ぎ便まで送料が無料であることです。
商品のほとんどが注文した翌日に届き、注文時間によっては当日に届く場合もあります。
本だけでなく、USBやポータブルハードディスクなどのパソコン関連商品など、医局で使うものは全てAmazonで購入して病院に届けましょう。
研修医の時間は貴重です。
店を往復する時間や、注文してから商品が届くまで待つ時間は一切節約すべきです。
あらゆる商品を全てお急ぎ便で注文し、即座に手に入れましょう。
また、ドラマや映画が無料で見放題、100万曲以上の音楽が聴き放題、オンラインストレージに写真を無制限に保存できるなど他の様々なサービスも利用可能です。
私は研修医時代から会員を続けていますが、圧倒的に便利なので一度もやめようと思ったことはありません。
まずは無料体験をしてみてください。
気に入らないと思えば無料期間内に簡単に解約できます。
入るべき学会と専門医資格を確認しよう
志望科が決まっている人は、該当する学会のホームページを見て専門医資格に必要な条件を確認しておきましょう。
なぜこれを早めにしておく必要があるのでしょうか?
まず、専門医資格の取得条件の中には、学会に入会してからの年数に縛りがあるものがあるからです。
たとえば私のような消化器系の医師であれば、消化器病学会は入会してから3年経過しなければ専門医試験自体が受けられません。
それ以外の条件が整っていても、入会してからの年数だけが律速段階となって無駄に時間を過ごす可能性があります。
専門医試験の勉強にはそれなりの時間と労力を要します。
他の条件(結婚・出産などのプライベートな事情から、仕事上の事情まで含む)が整った比較的楽な年に受けておきたいと考えるものです。
(例:「大学院の間に○○専門医と△△認定医は取得しておく」といった状況)
よって受けたい時に受けられるよう、条件を事前に確認し、できれば早く入会しておくことをおすすめします。
早めに確認すべきもう一つの理由は、症例を集めて提出することが条件となっている専門医資格があることです。
資格認定申請の直前になって、過去のカルテを繰って症例をかき集めるのは時間と労力の無駄です。
早めにどんな症例をどのように提出すべきか確認し、必要な症例はリアルタイムでまとめておくのが理想的です。
医師のキャリアは、とにかく「計画性」が全てです。
私は常に5年以上先を見て逆算し、計画的に動くことを心がけています。
このサイトの記事も利用しよう
最後に、このサイトでも研修医の間に間違いやすいポイントや知識をまとめた記事をいくつか用意しています。
また、消化器内科・消化器外科をローテート時に必要な本や知識もまとめています。
こういう知識は意外と本にもまとまっていませんので、ぜひ利用してみてください。
また、看護師向けの記事も多数ありますが、研修医の先生にとっては、かなり役立つものが多いと思います。
看護師向けの記事も、時間のある時に目を通してみてください。
研修医向けオススメ記事一覧はこちらから↓
研修医のうちに陥りやすい間違いや知識のまとめ