患者さんへの病状説明で研修医が必ず守るべき6つのルール

病院では、研修医も患者さんの担当医に加わります。

大事な病名告知や治療経過の説明などは上級医とともに行うべきですが、担当医である以上、単独で簡単な病状説明をする機会はあります。

この際に、教科書には(当たり前すぎて)載っていない、絶対に守るべきルールを今回紹介したいと思います。

 

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タメ口は禁止

レストランの店員が客に、

「お腹減った?ハンバーグにする?」

と話しかけていたら、おそらくその日に首が飛びます

ところが、なぜか先輩医師の中には患者さんにタメ口を使う人がいるでしょう。

社会人として非常に恥ずかしいことですので、決して真似をしないようにしましょう。

年齢の上下にかかわらず、プライベートで仲の良い友人でもない相手に丁寧語で話さない理由がありませんので、当然敬語を使ってください

 

看護師や薬剤師などのコメディカル、製薬会社のMRさんなどが相手の時も、仲の良い友人と言える間柄でない限り敬語を使うこと

あえて言うまでもないことですが、私の研修医時代、赴任したその日からタメ口を使う輩がいたので、くれぐれも注意しましょう。

大人になると、誰も真剣に戒めてくれません。

患者さんや同業者から「偉そうな奴だ」と思われて困るのは自分です

 

チームの総意であることを伝える

能力が高い(と自認している)研修医に多いのですが、患者さんからの信頼を得たいばかりに、自立していることを強調しすぎる人がいます。

もちろん、研修医であってもある程度は堂々とした態度であることは大切です。

しかし患者さんは、相手が研修医であることは簡単に見抜きます

たとえ実際に能力が高くても、「研修医に診療されている」というだけで患者さんは不安を感じ、信頼を勝ち取るまでに時間がかかります

そんな相手が妙に堂々としすぎていると、「虚勢を張っている」とマイナスに取られかねません

 

あくまで研修医も上級医もチームの一員です。

「自分の考えであなたの治療方針が決まっている」

「自分はあなたの病状をこう考察している」

というそぶりを見せては逆効果です。

「チーム全体でディスカッションして治療方針を決めていて、自分はチームの一員として状況をお伝えしている」

という謙虚な姿勢を忘れてはいけません。

心配しなくても、本当に能力が高いならそのうち患者さんは「この先生は信頼できる優秀な人だ」と気づきます

 

自科の上司は「呼び捨て」

これも中学生レベルの知識ではありますが、身内は「敬称なし」「尊敬語なし」が基本です。

患者さんとの会話中に自分の科の上司を登場させる時は、

「部長(教授)の◯◯先生が△△とおっしゃっています」

はダメです。

「部長(教授)の◯◯が△△と言って(申して)います」

と話さなくてはなりません。

「先生」くらいは付けても良いという考えもあるかもしれませんが、「おっしゃっています」のような尊敬語は良くないでしょう。

会社員でこのルールを守らない人はほとんど見ませんが、なぜか医師はこの辺りがルーズです

相手に対して非常に失礼ですので、くれぐれも注意しましょう。

 

身だしなみを整える

医師は見た目が大切です。

病院に行って診察室に入ると、茶髪にジーンズの医師がいたら相当不安になるでしょう。

その人がどれほど能力が高く、正しい治療を提案していたとしても、信用するのは難しいはずです

きっちりした服装、髪型で、清潔感のある身だしなみで患者さんに接するようにしましょう。

 

私は研修医の頃だけでなく今でもそう思っていますが、医師が信頼を勝ち取るためには、「若い」あるいは「若く見える」というだけで不利です。

患者さんは自分の健康を相手に委ねるわけですから、ベテラン医師の方が安心感を持ちやすいのは当然です。

この事実を十分心得た上で、まだ経験が浅い以上は謙虚に接するようにしましょう

 

挨拶はきっちりする

前述の通り、患者さんからの信頼を失わないようにするには、ファーストコンタクトが大切です。

もし、ご家族に何らかの説明をするために呼び出したなら、まずは、

「お忙しいところお呼びたてして失礼しました。お越しいただいてありがとうございます」

と挨拶するのが基本です。

むろん、患者さんのご家族もしっかり病状を把握して治療に参加すべきなので、病院に来ていただくことは必要です。

しかし、わざわざ自分のいるところへ足を運んでくれた人にご足労を労うのは常識でしょう

「はい、じゃあ説明しますねー」

のような、いい加減で偉そうな話し方で始めると、初対面でいきなり信頼を失います

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時間は守る

先輩医師の中には、時間にルーズな人が多いはずです。

確かに医師という仕事は、突然の急患や急変で予定外の仕事が入り、スケジュール通りに事を運べないことが多々あります。

しかし中には、「遅れるのが当たり前」という感覚で、約束の時間に間に合わせようと努力しない人もいます

 

約束の時間を守ることは社会人としての常識です。

待たせている方は平気なのかもしれませんが、待っている方は相当苦痛です。

まして、患者さんやそのご家族は、何らかの病気に不安を感じている方々です。

約束の時間を大幅に超えて待たされると、担当医に対して不信感を抱くかもしれません

あえて言うまでもない事ですが、かならず時間は守るようにしましょう

もしやむを得ず遅刻したなら、

「お待たせして申し訳ございませんでした」

と最初にきっちり謝罪しましょう。

また、「遅刻しそうだ」とわかった時点で、できる限り病棟に連絡してその旨を患者さんに伝えてもらいましょう

待っている方は、いつ来るか分からずに待ち続けているより「30分ほど遅れる」と分かっている方が、よほど気持ちが楽です

 

私は、手術や処置と患者さんの面談が複数立て込んで忙しい時は、病棟看護師に、

「ご家族が来られたらコールをもらえませんか?」

と依頼することもよくあります。

看護師側は、予定通りの時間に医師がやって来ないと「忘れているのか、忙しくてまだ来られないのか」の区別ができません

後者だった場合にコールすると嫌味な対応をする輩もいるため、コールを控える可能性もあります。

いたずらに看護師の仕事を増やすのはよくありませんが、分刻みのスケジュールの記憶に自信がない時は、病棟看護師を頼るようにしましょう

 

以上、研修医が守るべき6つのポイントをまとめてみました。

一部はあえて言うまでもないような社会人として当然のルールではありますが、守れていない医師も多いので、若いうちからしっかり身につけておきましょうね。

こちらの記事も未読の方は必ず読んでください。

誰も教えてくれない、初期研修医のうちに必ずやるべき7つのこと

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医師。専門は消化器外科。二児の父。
ブログ開設4ヶ月後に月間67万PV達成
時事通信社医療情報サイト「時事メディカル」
「教えて!けいゆう先生」のコーナーで定期連載中。
エムスリーでも連載中&「LIFESTYLE」企画・監修。
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患者さんへの病状説明で研修医が必ず守るべき6つのルール」への10件のフィードバック

  1. 林檎

    けいゆう先生、私の職場の皆にこの記事を読んでもらいたくなりました。

    そして、私が通っていた某病院のドクターにも読んでもらいたいです。

    私が信頼を寄せているホームドクターは、けいゆう先生のおっしゃる通り決して言葉を崩さず、常に敬語で話されています。

    時々「~ね(例:念のためレントゲンを撮りましょうね)」と語尾に付けますが、それは大抵が笑顔で話されながら、私の不安な気持ちを汲み取って下さっている時です。

    普段から言葉が綺麗(敢えて綺麗と表現します)なドクターが「頑張りましょうね」等の声かけされる時、普段の丁寧さがあるからこそ少し崩した言葉はいきてくるんだと私は思っています。

    一度、ある脳外科の頭痛外来でこんなことがありました。

    いつものドクターがどうしても診察できない事情があって、別のドクターが代理で診察されていました。

    初めて会うそのドクターは明らかに私より年下で、髪もボサボサ、そして足を組んでいました。

    私はいつものお薬をもらうだけだったので、診察で聞かれることは定型文の通りでしたが、なぜかそのドクターが私の顔も見ず「えと、どう?」と言いました。

    「どう(とは)?」と私が言うと、「頭痛ダイアリーつけてる?見せて。」と言ってきました。

    この人はタメ口タイプのドクターだな…と思ったのと、その人のものすごく失礼な態度に、私はその人が言うことを全部オウム返ししてから、敢えて全てタメ口で返事をすることに決めました。

    ドクター「頭痛ダイアリーは?」 
    私「頭痛ダイアリーは?あるけど?」
    ドクター「じゃあ見せて。」
    私「見せて?いいけど?」
    ドクター「薬飲んでこんな痛い?」
    私「薬飲んでこんな痛い?そうだけど?」
    ドクター「飲み忘れとかある?」
    私「飲み忘れとか?あるわけないじゃん、痛いのに。」

    ここまでラリーを続けて、やっとそのドクターは「え?あれ?ん?」・「えと、あの、薬は1ヶ月分で良いですか?」と私をしげしげと見ながら言いました。

    私は「顔も見ようとしないお医者さんから1ヶ月分ものお薬をまとめてもらいたくありません。」と答え、「明後日の○○先生の外来でまた来ますので、その間のお薬をください。○○○先生には転院したいと願い出て、もうこちらの病院にはお世話にならないようにします。」と答えました。

    私の返事を聞いてそのドクターがしたことは、なぜか看護師長さんを呼ぶことでした。

    私は有り難いことにクレーム等とはあまり縁のない生活をしているのですが、そのドクターは私のことをクレーマーだと思ったらしく、看護師長さんが「こちらでお話をうかがいます」と申し出て下さいました。

    「△△さん(タメ口ドクター)、初対面だと思いましたが、あなたは私の友達でしたっけ?私にはこんなに失礼なお友達はいませんが?」と告げ、私は帰りました。

    2日後にいつものドクターに診察をして頂いて、その時にこれまでのお礼をお伝えしてから、私はホームドクターに紹介状を書いてもらい、私のこれまでのデータも送ってもらいました。

    幸いにして、ホームドクターのいる病院では、月に二度の頭痛外来ができる予定だったので、私はすんなりと転院できました。

    私のこの件をホームドクターに話したら、ホームドクターは「あぁ~、林檎さんが怒るとこ見たかったです!僕もタメ口で話そうか?笑」と大笑いされましたが、その後で「同業者が失礼しました。」とすら言って下さいました。

    タメ口を全否定するつもりはありませんが、友好的に使えない人もいるので、やはり敬語が一番無難ですし、大人としてそれが当たり前だと思います。

    けいゆう先生みたいなドクターが増えて、私が出会ったタメ口ドクターみたいな人達はいつの日かいなくなればいいなと思います!(笑)

    返信
    1. けいゆう 投稿作成者

      林檎さん
      それはひどい体験をしましたね笑 まあ、実際そういう医師はいますね、情けない事ですが。
      髪ボサボサで足を組んでいる、というだけで人と話す態度としては論外です。
      きっちり丁寧な言葉で話すべき、というのは、あえて大人になってから教育されることでもないと思いますが、先輩医師がきっちり注意しないどころか先輩医師がタメ口なので、それを真似をする後輩が多くてタメ口医師はなかなかいなくなりません。
      私は、50代の部長クラスの人ですら、60歳、70歳代の年上の患者さんにタメ口をきいているとかなり不快感を持ちます。
      林檎さんのおっしゃるように、相手が子供の時などで、うまくタメ口を使って安心感を効果的に得る方法はありますし、私もそうすることはあります。
      しかし基本は丁寧語が社会の常識ですからね、私もタメ口医師は全員いなくなるべきだと思いますよ。

      返信
  2. たまご

    今回も興味深く拝見させて頂きました。最近毎日先生のブログに訪問するのが日課のたまごです!

    以前から思っておりましたが、先生は社会人経験のあるドクターですか?
    先生が記載されてるとおり、サラリーマンには当たり前のことばかりですが、自分が患者側になったときも仕事で訪問するときも、上記の「当たり前」をされてるドクターにはあまりお会いしたことがないです(笑)

    ドクターはサラリーマンではないですし、ドクターというお忙しく特殊性ある職業であるため特に気に留めたこともなかったですが。。(そういうものかな、と。ただ、前日まで祖母が入院していた、某市立病院の元副院長が主治医になって頂いたときのあまりの偉そうで適当な態度には不快を通り越して怒りを覚えました(笑))

    先生の元で育つレジデントの先生方はとても素敵なドクターになりそうですね。

    これからもブログ楽しみにしています。

    返信
    1. けいゆう 投稿作成者

      たまごさん
      毎日訪問してくださっているとのこと、ありがとうございます!
      いえいえ、私は医師しか経験はありませんよ。
      私と同じ感覚の医師もそれなりにいるとは思いますが、不遜な態度の医師が印象に残るので目立つんでしょう。
      理由はよくわかりませんが、親の教育が悪いんでしょうかね笑

      返信
  3. ふくたん

    けいゆう先生、こんにちは。
    検査結果を聞きに病院へ行った時の事ですが、そこの総合病院は、いつも看護師さんと院長先生の会話がとてもなあなあで、私自身は不快で、親の付き添いの時は、我慢しながら通っていました。
    不安な思いで、診察室の名前が呼ばれるのを待っていた時、院長先生にお客様とかで、なんでも絵を持参したらしく、しばらく看護師さんと3人での医療以外の会話を、待合室で、私は聞かされる羽目になりました。
    すごく苦痛で、不愉快でした。先生はどう思われますか?
    親がお世話になってた訪問看護師さんは、申し訳ないけど、そういう時間も役割も必要だからとおっしゃってました。何年も前の事ですが、ふと思い出し、先生にご意見をお伺いしたくなりました。

    返信
    1. けいゆう 投稿作成者

      ふくたんさん
      コメントありがとうございます。
      その時にどんな大事なお客さんが来たのか状況を知らない以上は何とも言えませんが、結果が全てですので、ふくたんさんが強く不信感を抱く原因となったのならそれは不適切ですよ。
      少なくとも私なら、止むを得ずプライベートな会話をしなくてはならない時は患者さんには聞こえないようにします。
      ただ、訪問看護師さんは、ふくたんさんに面と向かって主治医に批判的なことは言えませんので、そのようにおっしゃったのでしょうね。

      返信
  4. りこ

    こんばんは。
    患者の家族としての経験になりますが、親が診て頂いた医師は、私と話す際タメ口でした。医療的な説明などの話になると敬語なのですが、「ちょっと待っててね」とか「今大丈夫?」などです。
    終始堅い口調だとこちらが緊張してしまうだろう。と気遣っているのかなぁ?と捉えていました。笑

    患者の家族としましては、大切な身内の命を預けている訳ですから、会話にも緊張感があり、嫌な印象を与えないようにとも思いますので医師に対して上下関係のような意識があります。
    私は年下医師だろうと敬語でしたし、その時は気さくに話して頂いているような感覚になり気にしていませんでした。タメ口のレベルや使い方にもよります。
    元々あまりに酷いタメ口以外は、相手の事を気にしないようにしているせいか、言葉よりも接し方を(態度)を観察する癖がありまして。病床の親に優しい先生だったので、気にならなかったのかもしれませんね。笑

    けいゆう先生の記事を読み、医師でタメ口を使う方は私のような感覚の患者が増やしてしまっているかもしれないとも感じました。
    自身が受診する際はもう少し強気になります。笑

    返信
    1. けいゆう 投稿作成者

      りこさん
      おっしゃる通り、タメ口は使い方によっては相手に安心感を与えたり、緊張感を解いたりなど、効果的な場合もあるので全否定はしません。
      どちらかというと、口調だけではなく、話す時の態度や全体から滲み出る雰囲気で不快感を与えないかどうかが大事で、偉そうにしているなら敬語でもダメです。
      ただこの記事は研修医向けなので、うまくタメ口を使いこなせるような時期ではない人がタメ口ばかり使ってはいけないよ、という意図ですね。

      返信
  5. りこ

    度々すみません。
    水を差すようなコメントをしてしまいました。
    そうなんです。先生のおっしゃる通りです!
    最初が肝心で、一般企業においても指導すべきベテランが、仕事は教えても、話し方や態度を指導しなくなりました。何故かというと、嫌われず仲良く仕事をしなければ辞めてしまう。若しくは上司が言えるような事をしていない。からです。
    人間て不思議なもので、上司が口うるさく指導はせず見本を見せようとしても、悪い部分の方を真似してしまう人が多いですね。楽を選ぶのでしょうか。きちんとしている方に憧れたりしないのかなと思います。

    返信
    1. けいゆう 投稿作成者

      りこさん
      そうですよね〜最初が肝心ということで、今の時期に研修医向け記事を増やしたり加筆修正したり、結構色々やっています。
      企業でも教育は難しいですよね。うまくやらないと、逆に若手のモチベーションを下げることにもなりかねませんし・・・。
      怒鳴るのもかっこわるいですし、背中で見せる先輩でありたいとは思いますが、背中を見ても何も感じない後輩もいますからね。

      返信

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