病院に行って胸の痛みを医師にうまく説明できず、もどかしい思いをしたことはないでしょうか?
胸の痛みで病院を受診したとき、必ず説明すべきポイントは決まっています。
ここでは、胸痛が起こった際にチェックしておきたい5つのポイントを解説します。
胸は、心臓、大血管、肺、食道、乳房、肋骨などがあり、いずれも痛みの原因になりますが、怖いのは心臓や大血管の病気で胸痛が起こっている場合です。
病院を受診する際は、ポイントを絞って説明できるよう、事前に確認しておきましょう。
このページの末尾にあるチェックリストを受診前メモとしてご利用ください。
※これはあくまで「医師に自分の症状をどのように説明するか」をサポートするチェックリストです。診断が目的ではないため、病名は参考程度にしか記載していません。症状だけで病気を診断することはできません。必ず医師の診察を受けましょう。
1. 当てはまるものは?
■高血圧
■脂質異常症
■糖尿病
■喫煙
胸の痛みで最も怖いのは、心臓が原因のときです。
上記は全て、心筋梗塞や狭心症のリスクです。
脂質異常症とは、コレステロールが高い、中性脂肪が高い、と言われている人、これらを下げる薬を飲んでいる人が当てはまります。
これらのリスクを持っている人は、心筋梗塞や狭心症である確率が高くなるため、全て報告しましょう。
治療中でないものでも、一度診断されたことがある場合は報告する必要があります。
また自分では病名を覚えていない場合があるかもしれません。その場合はお薬手帳を医師に見せましょう。どんな薬を飲んでいるかで判断が可能です。
2.どんな始まり方でしたか?
■突然始まった
■ゆっくり始まった
瞬間的に起こった強い胸痛は、大動脈解離や肺塞栓症、気胸などが考えられます。
逆に、ゆっくり始まった場合は、心筋梗塞や狭心症のことがありますが、逆流性食道炎など消化器疾患のこともあります。
気胸は肺に穴が開いて胸腔内に空気が漏れ出す病気で、特に緊張性気胸と言われるものは命に関わる重症の病気です。
どのように始まったかはきっちり説明しましょう。
3.どんな性質の痛みですか?
■押し付けられる、締め付けられる、重いような痛み
■刺されるような、引き裂かれるような痛み
■キリキリするような鋭い痛み
■その他
押し付けられる、しめつけられるような重い痛みや不快感は、狭心症や心筋梗塞に特徴的です。しばしば冷や汗を伴います。
これらの痛みは「ゾウに踏まれたような」と表現されることもあるくらい「重苦しい痛み」です。
引き裂かれるような痛みは大動脈解離の痛みに特徴です。
これらの病気は全て、命に関わる重篤な病気で、すぐに治療しなければなりません。
逆に鋭いキリキリした痛みは、心膜炎や胸膜炎の可能性があり、心臓の痛みである可能性は低くなります。
痛みの性質は上のいずれであるかが非常に重要です。
4.どうすると痛みが悪化しますか?
■運動すると(歩いたり動いたりすると)痛む
■息を深く吸ったり咳をすると痛む
■体を捻る、痛い部位を押さえると痛む
運動により悪化する痛みは狭心症や心筋梗塞でみられます。
通常は歩いたり、布団の上げ下ろしをしたり、と息の上がる仕事をした時に痛みが出るのが特徴です。
呼吸と関係のある痛みは「胸膜痛」といい、胸膜炎のことが多いです。大きく息を吸ったり、咳をした時に痛む、という場合は、胸膜痛の可能性が高くなります。
体動や押さえると痛みが悪化する場合は、筋骨格系の痛み(筋肉や骨の痛み)のことが多く、心臓の痛みの可能性は低くなります。
時間帯や時期によって痛みに差がある、という場合もあるでしょう。
狭心症の中には、夜間や早朝など決まった時間に痛みが出るタイプのものもあります。
女性であれば、生理前に痛いといった、月経周期と関連のある場合は、女性ホルモン(プロゲステロン)による乳房への作用が胸の痛みにつながっていることがあります。
5.どの部分が痛みますか?
■指先で痛みの部位が指せる狭い範囲
■胸全体または肩まで広がる広い範囲
■皮膚の表面の痛み
指先で指せる狭い範囲(3cm以内)の場合は、狭心症や心筋梗塞の痛みである可能性は低くなり、皮膚や骨、筋肉の痛みの可能性の方が高くなります。
逆に、広い範囲で、時に肩や首、腕などに広がる(放散する)痛みは、狭心症や心筋梗塞に特徴的です。
時にアゴや歯が痛いと訴えて心筋梗塞が発覚する人もいます。
一方で皮膚表面の胸痛の場合、帯状疱疹が原因のこともあります。
帯状疱疹は皮膚の病気ですが、時に激痛を生じることもあります。
もちろん、左や右というように片方だけ痛いという場合もきっちり説明しましょう。
「胸痛」受診前メモ
1. 当てはまるものは?
高血圧 脂質異常症 糖尿病 喫煙:1日[ ]本×[ ]年間
2. どのような始まり方でしたか?
突然始まった ゆっくり始まった
3. どんな性質の痛みですか?
押し付けられるような痛み
引き裂かれるような痛み
キリキリするような鋭い痛み
その他
4. どうすると痛みが悪化しますか?
運動すると悪化
息を深く吸ったり咳をすると悪化
体を捻る、痛い部位を押さえると悪化
5. どの部分が痛みますか?
指先で痛みの部位が指せる狭い範囲
胸全体または肩まで広がる広い範囲
皮膚の表面の痛み
※スクリーンショットなどで受診時にお使いください。PCの方:Windowsの方はPrint Screenボタン、Macの方はshift + command (⌘) + 3でスクリーンショットできます。
他の症状をチェックする場合は以下の記事へ
病院で症状をうまく医師に説明する方法/13の症状とチェックリスト