2019年9月14日に、私が書き下ろした単著「外科医けいゆう先生が贈る初期研修の知恵」が発売されます。
表紙のイラストは、看護師兼イラストレーターのせやろかさん(@seya_roka)にご提供いただき、デザインが完成しました。
こちらは、医学書専門出版社のシービーアールから出る予定の研修医向けシリーズ「Clinical Base Resident」の一つです。
この本には、外科をローテートする際に必要な知識から、志望科に関わらず必要になる情報まで、有用なノウハウを詰め込みました。
研修医の勉強法、病棟業務や他科との関わり方、学会発表・論文執筆のノウハウ、専門医取得に向けて考えるべきことなど「具体的な情報集」になっており、自己啓発的な風合いの本ではありません。
割とすぐに実践できることも多いと思いますので、後輩の先生方はぜひご活用ください。
常に5年〜10年先にやりたいことを見越して逆算し、早めに準備することで人生はきっと楽になると思います。
今回は、一足先に前書きを公開します。
前書き公開
<以下、前書き>
「外科志望なのですが、研修医のうちにやっておくべきことはありますか?」
「外科志望ではないのですが、外科ローテートでは何を学べばいいですか?」
「外科医ってキツいのですか?プライベートはありますか?」
「論文を書くためには、何から勉強すればいいですか?」
「専門医資格を取得するには、いつからどんな準備をすればいいですか?」
これらは、私が研修医の頃に多くの先輩に質問してきたことであり、かつ、私がこれまで後輩から質問され続けてきたことです。
若手医師が勉強法やキャリアについて情報収集したいと思った時、アクセスできる情報ソースは意外に限られています。
インターネットで検索したり、書店に行って本を探したりしても、自分に役立つ情報はなかなか見つけにくいものです。
私は、こうした問題意識を常に持ってキャリアを歩む中で、できるだけ多くの後輩に自分の学んだことを伝えたい、と考え続けてきました。
後輩に、自分と同じ苦労をさせてはいけません。
先輩とは、後輩に自分の失敗を共有し、効率的な近道を提示できる唯一の存在です。
そして今回、私は幸いにも、シービーアールの方々に出版のチャンスをいただき、この書籍を作るに至りました。
ところが、私はこの書籍の原稿を書きながら、大きな不安に何度も押しつぶされそうになりました。
たかが卒後10年目の若造が、勉強法やキャリアについて偉そうに語ることは、果たして許されるのだろうか?
外科医として経験豊富で長いキャリアを積んだベテラン医師に比べ、自分は有益な何かを本当に後輩に提供できるのだろうか?
自分の尊敬する諸先輩方から、「偉そうなやつだ」と思われはしないだろうか?
私が歩んできた道は、そもそも後輩にとって参考になるものなのだろうか?
さまざまな疑問が去来し、そのたび、キーボードを打つ手が止まりました。
しかし、ある時ふと、とあるベテランの先生から言われた言葉を思い出しました。
今は僕らの時代とは全く違う。僕らが言う『昔はこうだった』はあまり参考にならないかもしれない-。
確かに、医療は年を追うごとに細かく専門分化し、臨床現場における外科医の役割は形を変え、キャリアの歩み方も変わってきています。
後輩にとっては、「少しだけ学年が上の先輩」というのは、実は一つの「重要な参照元」となりうるのではないか?
そう思ったのです。
少しだけ先を歩く先輩の声だからこそ、現実味を持って響くはず。
そう信じることで、原稿を仕上げることができました。
確かにここに書いたのは、一介の若手外科医の私見に過ぎないでしょう。
しかし私はこの書籍に、これまで自分が医師として、外科医として、毎日頭をひねって考えてきたことの全てを書きました。
読んでいただければ、「今すぐにでも実践したい」と思うことがきっとたくさんあると思います。
もしそう思ったら、この本を閉じた瞬間から、動き始めてください。
あなたのこれからの人生で、今日が一番若い日です。
<前書き終わり>