咳や痰の症状は、様々な病気が原因で起こります。
いわゆる感冒症状(上気道炎)として起こることや、気管支喘息、咳喘息、肺炎が原因となっていることもあります。
また呼吸器疾患だけではなく、消化器疾患(食道)や心疾患(心臓)、耳鼻科疾患(後鼻漏など)が原因となっていることもあり、注意が必要です。
長く続く場合に、自己判断で咳止めの薬や、漢方、シロップなどを飲み続ける方がおられますがあまり良くありません。
必ず病院で医師の診察を受けましょう。
また、痰がある場合はその性状(色や状態)を自分で観察して伝える必要があります。
以下の5点についてチェックしましょう。
このページの末尾にあるチェックリストを受診前メモとしてご利用ください。
※これはあくまで「医師に自分の症状をどのように説明するか」をサポートするチェックリストです。症状だけで病気を診断することはできません。必ず医師の診察を受けましょう。
1. 症状はどのくらい持続していますか?
■3週間以内
■3〜8週間
■8週間以上持続している
短期間の咳や痰は、肺炎や気管支炎などの感染症を考えますが、慢性的な咳や痰は、喘息(咳喘息)や心不全、呼吸器の悪性疾患など、感染症以外の可能性もあります。
感染後咳嗽といって風邪をひいたあとに長期間咳が持続することがありますが、これは8週以内に治ることが多い、軽症の病気です。
2ヶ月までさかのぼって、風邪をひいた(多くは上気道のウイルス感染)きっかけがないかどうかも思い出しましょう。
2. 周囲の環境に変化がありましたか?
■最近引っ越しをした
■職場が変わった
■ペットや動物と接触した
■温泉に行った
■旅行に行った
■その他
周囲の環境(アスベストや粉じん、住宅建材、動物への接触、温泉や旅行)に咳や痰の原因があることがあります。
特定の物質に対するアレルギーや、特有の病原体感染が原因となっていることがあるからです。
上記のような環境の変化があった場合は必ず伝えましょう。
もちろん既知のアレルギーがある場合も必ずそれを伝える必要があります。
3. 痰はどんな性状ですか?
■黄色くて汚い、ねばねばしている
■膿が混じって異臭がする
■ピンク色でさらさらしている
汚いネバネバした痰は、上気道炎や肺炎などの急性の感染症を考えますが、匂いの強いものは、悪性腫瘍や肺化膿症などのことがあります。
一方、ピンク色でさらさらした痰は、心不全による肺水腫が原因のことがあります。
性状を観察して正確に伝えましょう。
4. 悪くなる/良くなる因子はありますか?
■横になると悪化する
■運動中や運動後に悪化する
■冷たい空気を吸うと悪化する
横になると悪化するもの、夜になると悪化するものは、喘息や心不全、逆流性食道炎、後鼻漏などの可能性があります。
逆流性食道炎は呼吸器疾患ではありませんが、胃酸の逆流による刺激が慢性的な咳の原因になることがあります。
後鼻漏は、横になった時に鼻水が喉の方へ流れて起こるもので、慢性的な咳の原因となる耳鼻科の病気です。
運動中や運動後の場合、冷たい空気の刺激で咳が出る場合、などは喘息を考えます。
どうなると悪化するのか、あるいは楽になるのかを説明しましょう。
5. 最近新しい薬を始めていませんか?
■新しい薬を始めた、または、これまで飲んでいた薬を変更した
■長い間同じ薬しか飲んでいない(または薬を飲んでいない)
痛み止めや高血圧の薬の中に、副作用として咳が起こるものがあります。
長期間内服していて何も起こらなくても、あるとき突然発症する場合もあります。
薬は、病院で処方されるものだけではありません。
漢方薬や、健康食品(サプリメント)も重要です。突然きかれても思い出せない場合があるでしょう。思い当たるものは必ず確認しておきましょう。
「咳・痰」受診前チェックリスト
1. 症状はどのくらいの期間持続していますか?
3週間以内
3〜8週間
8週間以上持続している
2. 最近周囲の環境に変化がありましたか?
最近引っ越しをした
職場が変わった
ペットや動物と接触した
温泉に行った
旅行に行った
3. 痰はどんな性状ですか?
黄色くて汚い、ねばねばしている
膿が混じって異臭がする
ピンク色でさらさらしている
4. 悪くなる因子やよくなる因子はありますか?
横になると悪化する
運動中や運動後に悪化する
冷たい空気を吸うと悪化する
5. 最近新しい薬を始めていませんか?
始めた 始めていない
※スクリーンショットなどで受診時にお使いください。PCの方:Windowsの方はPrint Screenボタン、Macの方はshift + command (⌘) + 3でスクリーンショットできます。
他の症状をチェックする場合は以下の記事へ
病院で症状をうまく医師に説明する方法/13の症状とチェックリスト