周囲の看護師から「医学的な知識は医師向けの参考書を使う方が勉強しやすい」という話をよく聞きます。
看護を学ぶための看護師向けの本はたくさんあっても、医学的知識を効率的に身につけるための本は意外と少ないようです。
しかし「医師向けの本」といっても何を選べばいいのかわからない、という人も多いのではないでしょうか?
うっかり医師向けのマニアックな本を買ってしまい、数ページ読んだだけで本棚に眠らせているという人も少なくないでしょう。
そこで今回は、私がおすすめする「看護師さんが読んでもためになる医師向けの参考書7冊」を厳選してご紹介します。
私は以前、病棟の看護師さん向けに様々なテーマで勉強会をしていました。
その際、病棟を問わず看護師さんに知っておいてほしいこととして以下の6項目を挙げていました。
①感染症
②輸液・電解質
③栄養
④心電図
⑤酸素療法(人工呼吸)
⑥緩和ケア(麻薬)
これらはどの病棟に配属されても共通に必要な知識ですし、後輩の指導にも必須だと思うからです。
そこでこの記事では、これらの分野を中心におすすめの本を選んでいます。
いずれも薄くて簡単に通読できますし、わかりやすい本ばかりですのでご安心ください。
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感染症
抗菌薬は種類が多く、使い分けが難しい、と思っている方は多いと思います。
しかし実際は、一般病棟で使う抗菌薬は数種類しかなく、一部の特殊な感染症を除けば、使い分けもさほど難しいものではありません。
この本は薄くて読みやすくボリュームは少ないのですが、抗菌薬の選び方としてエッセンスだけを抽出していて、一般病棟の看護師にとっては十分な量だと思います。
看護師に勧めるなら、まずこれを選びます。
輸液・酸塩基平衡
電解質に関して、これほどわかりやすい本は他にないというくらいの良書です。
酸塩基平衡に関して、化学の詳細な知識まで振り返る必要はありませんが、輸液を行う際に必要な最低限の知識は身につけておかねばなりません。
この本を読めば、こうした知識が簡単に身につくようになっています。
薄くて通読もしやすいので、オススメです。
栄養管理
栄養に関しては、まずはこの1冊のみでいいかと思います。
栄養の基礎の基礎から非常にわかりやすく書かれてあり、簡単に読み進めることができます。
また、病態に応じて必要な栄養療法が書かれてあるため、自分の属している病棟で必要な部分を中心的に読めば良いでしょう。
栄養療法は奥が深いため、難解な教科書も多いのですが、手始めに読むならこの本がオススメです。
心電図
心電図に苦手意識を持っている看護師は多いのではないでしょうか?
どのタイミングで医師に相談すべきか、悩むことも多いでしょう。
この本は、これまで紹介したどの本よりもさらに薄いのですが、これ以上わかりやすい心電図の本は他にないというくらいの良書です。
心電図を勉強しようと思った時は、分厚い参考書を買う前にこの本でエッセンスだけ吸収してしまうことをオススメします。
呼吸器(人工呼吸器)
こちらは、「人工呼吸管理に全く関与しない」という病棟の看護師は買う必要はありません。
しかし、いきなり救急病棟やICUに配属され、人工呼吸管理中の患者さんの担当になって勉強に困っている、という方にはオススメです。
もちろん、一般病棟の重症個室に人工呼吸器のついた患者さんが入院しているケースもありますから、集中治療領域に限らず人工呼吸の知識は必要でしょう。
この本は、人工呼吸の考え方から実践まで分かりやすく解説してくれる「読み物」に近い本です。
若手医師でも、人工呼吸を学ぶならまずはこれから、と考えている人は多いと思います。
緩和ケア(麻薬)
麻薬は種類が多く、投与経路も内服から点滴、パッチ、座薬、皮下注まであって使い分けに慣れない、という人は多いのではないでしょうか?
緩和ケアは専門性が高いため、一般病棟の看護師が知っておくべき最低限の使い分けが覚えられればそれで十分だと思います。
もちろん麻薬を全く使用しない病棟の看護師が読む必要はありません。
この本は薄くてボリュームは少ないのですが、緩和の考え方から具体的な薬の使い方まで全て網羅した良書です。
その他のおすすめ
たとえば、緩下剤(便秘薬)はどこの病棟でも出す薬ですが、マグミット®️、プルゼニド®️、ラキソベロン®️、レシカルボン坐剤®️などの使い分けで悩むことはないでしょうか?
同じ用途の薬であっても、症状に合わせてきっちり使い分けなければなりません。
この本はまさに、普段よく使う薬をどのように使い分けるか、というところに焦点をあてて書かれてあり、非常に便利です。
どの病棟でも必ず必要になる知識ですから、余裕があればこの本もぜひ読んでいただければと思います。
このサイトでは、患者さん向けに色々な病気や症状について解説しています。
若手の看護師さんにとっても勉強になる部分が多いと思うので、ぜひ参考にしていただければと思います。