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病院でよく経験する、医師に嫌われる患者さんの行動

以前、「医者に嫌われる患者の特徴」について記事にしてほしいというお声を多数いただきました。

今回は、「嫌う」という感情的な話は抜きにして、病院でよく出会う患者さんの困った行動を4パターン紹介してみたいと思います。

「外来でよく出会う困った医師」の方が多いかもしれませんが、医師が困るポイントを知ってくことで、上手に医療機関を利用することができるかと思います。

多くの医師が必ず賛同すると思う「あるある」です。

 

こっそり会話を録音する

会話を録音して残しておきたいと思ったとき、昔はボイスレコーダーが必要でしたが、今はスマホで簡単にできるようになりました。

そうした影響か、最近は外来中や術前の説明中に録音される方が増えています

これ自体は全く構わないのですが、これを「こっそり」する方が結構います。

話しているご本人ではなく、その隣や後ろにいる他の家族に合図をして録音を始めていたり、カバンの中に入れたスマホの録音ボタンをこっそり押していたり、といったケースもあります。

こういう方は多いので、私たちも録音を始めたことはすぐに気づきます。

 

もちろん私は、自分の会話をいくら録音されても全く困りません。

しかし、「こっそり」となるとどうでしょう?

たとえば同僚や友人に大事な報告をする時に、目の前で相手がこっそり録音を始めたら「一体何が目的だろうか」と気味悪く感じることはないでしょうか?

そう考えると、医療の現場に限らず他人が話す声を録音する際は、

「録音してもいいですか?」

の一言はあった方が良いだろうと思います(むしろ医療現場以外はそれが普通かもしれませんが)。

 

「こっそり録音」で無用に目の前の医師を警戒させることは得策ではありません

もしどうしても録音したいなら「こっそり」ではなく、

「話の内容を一度では覚えきれないので、後で聞き直すために録音させてもらっても良いですか?」

と言って堂々と録音する方が良いでしょう。

「こっそり録音」よりはマナーが良いですし、変に警戒されることもありません。

 

実際、外来での一回の説明では理解できないことも多いでしょう。

医師が早口だったり威圧的で圧倒されてしまい、「何か質問ありませんか?」と聞かれても「何が分からないかが分からない」ということもあるはずです。

こういう場合、メモをとったり録音すること自体は便利な方法だとは思います

医師にとっても、自分の話した内容を患者さんがしっかりできている、という状況が理想的で、トラブル防止にもつながります。

 

むろん私は録音を勧めているのではありません

録音をあとで聞けるから、と思って油断して話を聞いていると、音声をあとで聞いても結局分からない、という事態が起こります。

やはり「その場で疑問を全て解決しよう」という意識で話を聞き、分からない点はその場でしっかり質問するのが理想的です。

 

専門用語を駆使する

普通は患者さんが使わないような医療用語業界用語を駆使して症状や病気について説明する方がいます。

医療関係の仕事をしていたり、医療職の知人がいて、それを「暗に示しておきたい」という意図があるのかもしれません。

あるいは、あえて専門用語を使うことで自分が医療に詳しいことを伝えておきたい、という気持ちもあるのかもしれません。

 

実はこれは、患者さんにとってはあまり得策ではありません。

その理由は2つあります。

一つ目は、用語の使い方に誤りが多く、かえって分かりにくいことです。

「自分の言葉で自分の症状を伝える方が、よほど理解されやすいのに」と思うことはよくあります。

もう一つは、「用語を多く知っているのに素性を明かさないこと」は、かえって警戒心を与えるリスクがあるということです。

もし医療に詳しいことを伝えたいのであれば、専門用語を多く知っていることを知らせるより、直接的にその理由を言う方が良いと思います。

つまり、

「私は医療機器メーカーの職員で、病気のことはある程度知識があります」

「私の家族に薬剤師がいるので、色々教えてもらいました」

という風に説明する、ということです。

そうすれば医師としても「他の患者さんより少し難しい言葉を使っても大丈夫かな」と考え、説明の方法をコントロールできます

むしろ詳しいのなら理解も得やすく、かえって説明しやすい、ということもあるでしょう。

 

一方、自分自身で多く勉強されて、その知識があることを伝えたいという動機の方もいるでしょう。

自分の病気のことをしっかり自己学習することは非常に大切です。

「全てお任せします」

と医師に丸投げするより、治療方針の中身をきっちりわかっておく方が治療がうまくいく可能性は高く、私自身はこれは大歓迎です

 

しかし医師の中には、これに対して眉をひそめる了見の狭い人もいるかもしれません。

そんな時は、

「〜という本にこう書いてあったのですが、先生は正しいと思いますか?」

「〜というサイトに書いてあった症状に当てはまるのですが、信じて良いですか?」

というように、相手の意見を尊重します、という方向性で話す方が有効かと思います。

 

余談ですが、私が他の病院を受診して、自分が医療関係者であることを明かす気がない時は、むしろなるべく専門用語を使わないようにします

妙に医療に詳しいことで色々と勘ぐられたくないからです。

一方、明かした方が良いと思われる時は、最初に会った時にすぐ素性を言います。

しばらく関係ができた後に、実は相手が医療者だった、と分かることほど医師にとって困惑することはないからです。

 

問診票をぎっしり埋める

外来受診すると、最初に問診票を書かされるのが一般的です。

問診票には、症状やこれまでの経過、かかった病気、飲んでいる薬など、様々な情報を書き込むところがあります。

ここに、読むのが大変なくらい大量に情報を書き込む方がいます。

 

頭痛、腹痛、倦怠感、しびれ、吐き気、など全ての症状に◯がついている

経過のところに、「◯月△日〜 頭痛あり」などの時系列の流れがぎっしり書かれてある

といった具合です。

こういう詳細な情報をワードやエクセルで自作して印刷し、問診票に「別紙参照」とされる方もいます。

 

これがなぜ困るかというと、どの情報を患者さんが重要だと考えているのかが、一見しただけでは全く分からないからです。

問診票の目的は、医師が患者さんに会う前にある程度簡単な情報を得ておくことです。

「パッと見るだけで大体内容がわかる」というくらいの分量が理想的です。

 

詳しい情報は会って直接聞けば分かりますし、直接話す方が紙に書かれたものを見るより理解しやすいものです。

患者さんとしても、直接会って話す方が正確な情報は伝えやすいでしょう。

むしろ「問診票がぎっしり」というのは、紙で自分の症状や苦痛をうまく伝えられないもどかしさの表れではないかと感じます。

心配はご無用です。

問診票では限られた情報のみを書き、早く医師に直接会って話したいことを話せば十分です。

その方が待ち時間も短く、患者さん本人のストレスも少ないはずです。

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電話で病状を相談する

日中に突然、患者さんから事務を通して電話がかかってくることがよくあります。

つないでもらうと、

傷が赤くなっている

なんとなく熱っぽい

体がしんどい

などの症状がある、と話されます。

もちろん自分の患者さんですから、その悩みを電話で解決して差し上げたい気持ちは山々です

しかしこういうケースで私たちは、

「大丈夫ですよ」

と言うことはほとんどありません。

電話だけで得られた情報を頼りに、相手の顔も見ずに「大丈夫」と言うことは、診察もせずに「治療が不要だ」と判断することを意味します。

これは、非常に大きな責任を伴う行為です。

「本当はその時点で治療が必要な状態だった」とあとでわかった時、医師は責任をとることができません。

よって、電話越しに「大丈夫」と言うことは決してできないのです。

 

一方、患者さんが電話した動機はたいてい、

「大丈夫だと言ってほしい」

ということではないかと思います。

それを超えるような症状なら、電話するより前に病院に直行しているはずだからです。

 

もちろんこれは「症状について電話相談してはいけない」という意味では決してありません。

むしろ「何かあれば電話してください」と言うこともあります。

私が言いたいのは、「電話することによって病院に行かずに済むということは普通ありえない」ということです。

「病院に急いで来てください」か「気になるようでしたら病院に来てください」といった答えしか返ってこない可能性が高いからです。

 

もう一つ、こういう方に電話対応で済ませることが良くないと私が思う理由があります。

「忙しい中、直接電話するのは悪い」と思う控え目な方が損をすることです。

積極的な方を優先することによって、受けられる医療サービスに不平等があってはいけません

 

ちなみに、外来で付き添いの方が、

「ついでに私の症状も診てもらえませんか?」

とおっしゃるケースもあります。

私にとっては、その場で数分診察することなど全く苦痛ではありません

しかし、積極的な方ばかりが得をすることは許容できません

やはり「受診は自分の診察券を通して正規ルートで行う」というルールは統一すべきです。

そこで私は、

「申し訳ありませんが、予約を取りますので順番をお待ちいただけないでしょうか?」

とお答えするようにしています。

 

ここに書いたことに当てはまった方は、私のことを「不快な医者だ」と思ったかもしれませんが、ここは医師との良好な人間関係を構築することが自分にとって最も有益、とドライに考えていただければ幸いです。