放っておくと怖い胆石!原因、検査と治療、手術をすすめる理由

「健診を受けたら胆石があると言われたけど治療すべき?」

「昔胆石があると言われたことがあるけど、治療せずに様子を見ていて大丈夫?」

「胆石があって手術を受けるかどうか迷っている、どうすればいい?」

こういう疑問はないでしょうか?

 

ここでいう胆石とは、正確には「胆のう結石症」、つまり胆のうの中に石ができる病気を指します。

まずこれらの質問に対して答えから先に述べます。

 

「元気な方なら、症状がある胆石に手術以外の治療はすすめない

 

私が外科医だからそう言うのではありません。

手術は、胆石症のガイドラインでも推奨されている我が国の標準治療です。

ほとんどの医師が上記の意見に同意します。

 

胆石症は非常にありふれた病気で、症状がなくても知らないうちに胆石ができていることは多くあります。

ではその全員が手術を受けないといけないのでしょうか?

実はそうではありません。

 

今回は、胆石の手術を多く行ってきた消化器外科医の立場から、胆石の原因と治療についてわかりやすく説明したいと思います。

このページを読めば、胆石のことについてはすべてわかるようになっています。

非常にわかりやすく説明します。難しい話はありませんので安心してください。

 

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胆石症ってどんな病気?

胆石は、胆のう内に石ができる「胆のう結石」、総胆管内に石ができる「総胆管結石」、肝臓の中に石ができる「肝内結石」の3種類があります。

ここでは、一般に「胆石」と呼ぶことが多い「胆のう結石症」について述べます。

 

胆のうは、胆汁を貯めておく「ため池」のような袋状の臓器です。

胆汁は肝臓で作られる消化液で、摂取した脂肪の分解を助ける働きがあります。

肝臓で作られた胆汁は、胆管という管を通って十二指腸に分泌されますが、その途中にあるため池が「胆のう」です。

胆のうで胆汁を一時的に貯めておき、必要な時に胆のうが収縮して胆汁が十二指腸に流れる、という仕組みです。

胆石とは、胆のうの中に石ができてしまう病気です。

胆汁の成分であるコレステロールが多くなりすぎることや、胆のうの収縮能が落ちること、細菌の感染など様々な要因が考えられています。

 

胆石はどんな検査でわかる?

胆石を最も診断しやすいのは、腹部超音波検査(腹部エコー)です。

レントゲンやCTでは、胆石の成分によっては全く写らないことも多くあります。

CTを撮って異常なしでも、「胆石がない」とは言えません。

MRIも小さな胆石は写りにくく、胆石を診断するのには使いません。

 

胆石ができやすい人とは?

中年(50〜60歳)、肥満脂質異常症高コレステロール)、糖尿病の方などが、胆石になりやすいと言われています。

また急激なダイエット妊娠経口避妊薬の使用なども胆石のリスクとされています。

胃の手術を受けたことがある人は、胆のうの収縮能が落ちることで胆石になりやすいとされています。

 

どんな人が手術すべき?

最初に、

「元気な方なら、症状がある胆石に手術以外の治療はすすめない」

と書きましたね。

 

胆石を持っている人全員が手術を受けなくてはならない、というわけではありません。

 

手術が推奨されるのは、

「胆石の症状がある方」

かつ

「全身麻酔の手術を受けることができる健康な方」

です。

 

胆石の症状があるかどうかが最も大切です。

 

胆石の症状とは?

胆石の典型的な症状は、みぞおちから右の脇腹の激痛です。

時に右肩まで痛みが広がることがあります。

特に食後に痛みが出ることが多く、脂っこいものを食べたあとに痛む、というのが典型的です。

急に差し込むような痛みが起こり、「胆石発作」と呼びます。

胆石発作自体は自然に治ることが多いですが、一度胆石発作を経験したことがある方の多くは何度も胆石発作を繰り返します

それだけでも辛いのですが、もっと大きな問題は、放置していると「胆のう炎」のリスクがある、ということです。

 

胆のう炎とは?

胆のう炎とは、胆のうに炎症を起こし、腹痛高熱が出る病気で、多くの場合は緊急手術が必要になります。

胆のう炎の原因の90%は胆石です。

たとえは悪いですが、胆石発作を繰り返しているのに胆石を放っておくのは、一種の「爆弾」を抱えているようなものです。

ですから、胆のう炎を起こす前に(爆発する前に)手術をしておいた方が良い、という話になるわけです。

 

胆石の手術ってどんな手術?

胆石だけを手術で取り出す、ということはできません。

したがって、手術では胆のう自体をとってしまいます。

手術の方法は大きく分けて二つあります。

腹腔鏡手術開腹手術です。

上の図のように、腹腔鏡手術は5mmから1cmの穴を3〜4箇所あけるだけで行えますが、開腹手術は15cm程度の傷がお腹につきます(病院や病状によって異なります)。

 

安全性はどちらも変わらないこと、腹腔鏡の方が入院期間が短いこと(通常3〜5日程度)から、腹腔鏡手術が主流となっています。

現在、胆のうを摘出する全手術のうち83%が腹腔鏡で行われています(胆のう炎を起こしていない胆石に限定すればもっと多いと推測されます)。

 

ただし上述したように、胆のう炎をひとたび起こしてしまうと、胆のうの炎症が強いために、手術中の出血胆管損傷(胆管の表面に傷がつく)などの合併症のリスクが高くなる、手術時間が長くなるなど、炎症がないときに手術をするのに比べるとリスクが格段に高くなります

また炎症が強いと、腹腔鏡で手術を行うことが難しいこともあります(開腹手術を行う、あるいは腹腔鏡手術で始めても途中で開腹手術に切り替えます)。

胆のう炎を起こす前に手術をしておいた方が良い、と書いたのはそういうわけです。

炎症のない胆石の腹腔鏡手術であれば、手術時間はおよそ1時間〜1時間半程度です。

 

胆のうはなくても大丈夫?

胆のうは取ってしまっても全く問題ありません。

胆のうは胆汁をためておくため池のようなもので、胆汁を作っている臓器ではありません(胆汁は肝臓で作られます)。

ですから胆のうがなくなっても、肝臓で作られた胆汁はこれまで通り十二指腸へ流れていくので、食べ物の消化吸収に大きな問題は起こりません

ただ、一部の方に軟便や下痢が起こることがあります。

6%程度と、起こる確率は低いとされています。

 

無症状なら手術をしなくてもいい?

胆石があっても無症状、という人は多くいます。

こういう方に治療をせずに様子を見て、胆のう炎のような重篤な症状を起こす可能性は年に0.2%とされており、90%以上の人は無症状のままです。

したがって、原則的に無症状の胆石には手術が推奨されていません

 

ただ、胆のう癌に胆石の合併が高率にあることから、胆石と胆のう癌は関連があるのではないかと言われています。

「胆石のせいで胆のう癌が起こる」という因果関係は完全に明らかになっていませんので、胆のう癌の予防を理由に手術をすすめることはありません

ただしリスクを考慮して、1年に1回の腹部超音波検査での経過観察が推奨されています。

ちなみにこういうリスクを説明すると、「症状はないけど手術で胆のうを取ってほしい」と言う方がおられます。

手術はリスクのある治療です。

病院の方針にもよりますが、私の経験では、希望が強い場合には手術のリスクに同意いただけるなら手術を受けていただくケースが多いと思います。

 

手術以外の治療法はないの?

誰しも、胆石を手術以外の方法で治せるなら治したいと思うはずです。

「食事に気をつけたり、薬を飲んだりして胆石をなくしてしまうことはできないのか?」

ということです。

結論から言うと、確実性のある治療は手術以外にありません

 

まず食事ですが、「脂っこいものを控える」「ビタミンCの多い食事を摂取する」というような食事療法が挙げられることがありますが、「胆石を溶かす」という目的ではほぼ全く効果がないと言って良いでしょう。

手術をしなくても良い無症状の胆石は良いですが、治療が必要な胆石では、こうした食事療法をおすすめすることはありません。

 

しかし、手術が必要な胆石でも、どうしても手術以外の治療を選ばなくてはならない場合があります。

「患者さんがどうしても手術を受けたくない」という場合や、「全身麻酔に耐えられないような持病がある、高齢である」という場合です。

この場合には、以下の治療を行うことがあります。

 

胆石溶解療法

ウルソデオキシコール酸という飲み薬を飲むことで、胆石を溶かせることがあります。

しかし、胆石の成分によっては溶かすことができないことも多く、また胆のうの機能が落ちている場合も効果は乏しいです。

15mm未満の胆石で、完全に溶ける確率は約30%と低く、しかも溶けても約60%に再発します。

 

体外衝撃波破砕療法(ESWL)

その名の通り、体外から衝撃波を与えて胆石を砕いてしまうという治療です。

こちらも、胆石の成分によっては無効で、胆のう機能が落ちている場合も使えない治療です(胆石が粉々になっても胆のうが収縮しない限り胆のうの中に細かい石が残ったままです)。

こちらは治療がうまくいったとしても、10年以内に約60%が再発し、結果的に36%が手術を受けることになります。

 

ここから言えるのは、胆石だけをなくしたとしても、胆石を作る工場である胆のうが残っている限り、また石ができてしまう可能性が高いということです。

 

日常診療をしていて、この手術以外の治療についてはよく知っている患者さんが非常に多いように思います。

おそらく、様々な書籍やインターネットで勉強されているのだと思いますが、効果が非常に限定的だということまでは知らない方が多いようです。

確実性を考えると、「治療が必要な」胆石に対しては手術以外をおすすめしない理由がわかっていただけたのではないでしょうか?

 

健康診断などで、胆石が偶然見つかる方も多いかと思います。

放置せず、まずは病院に行って医師の診察を受けるようにしましょう。

※この記事のデータは胆石症診療ガイドライン2016(日本消化器病学会)を参照しています。

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