入院する時は、持ち物をきっちり準備しておく必要があります。
もちろん入院前には、必要なものや注意点をまとめた冊子を渡されることが一般的なのですが、これを全て読み込むことは困難です。
入院後に必要なものがないことに気づくと、家族に持って来てもらったり、病院の売店で買わなくてはならなくなったり、と手間が増えてしまいます。
私も医師になってから長期入院を経験しましたが、医師としては恥ずかしいほどに準備が不十分でした。
結局色々な物品を売店で購入し、無駄に散財してしまったものです。
今回は、医師の立場から、また同時に患者を体験した立場から、入院に必要なものをまとめておきます。
必須のものから、あると便利なものまで分かりやすくまとめています。
ぜひ、ご参考にしてください。
(※中〜大規模の病院を想定して書いています。病院によっては例外があるためご注意ください)
手続きに必要なもの
まずは、入院の手続きを行う際に必要なものをまとめます。
誓約書等の書類
入院に関する誓約書など、サインが必要な書類です。
事前に渡され、家でサインをして入院当日に持っていくのが一般的です。
特に指示されていない限り印鑑は不要であることが多く、本人のサインがあれば問題ありません。
本人がサインできない場合は、家族がサインしましょう(代諾者サインの欄があります)。
使用中の薬剤
看護師や薬剤師が、患者さんが使用している薬を全て把握し、入院後も継続が必要なものとそうでないものを必ず分類します。
使用していた薬剤を全て持参してください。
入院後は、原則的には病院から同じもの(あるいは採用している類似のもの)を必要に応じて処方することになります。
お薬手帳
使用中の薬と合わせて持参しましょう。
目的は同じです。
以上のものに加えて、通院時と同様に、診察券と健康保険証(必要な方は医療費助成に関わる書類や限度額適用認定証なども)も持参しましょう。
入院中に必要な物
旅行のイメージで準備すると、必ず色々なものが足りなくなります。
私も失敗したので、十分に注意してください。
むろん、万一忘れても、多くの病院では売店で購入できます(小さな病院を除く)のでご安心ください。
食事関連
お箸、スプーン、フォークなどのカトラリーと、コップは私物の持参が必要です。
支給されるところは少なく、全て私物を持参するよう指示されるケースが多いです。
どこまで必要かについては、必ずパンフレットを確認してください。
確認を怠ると、初日の昼食からいきなり売店で箸やコップを買って散財してしまうことになります。
コップは、魔法瓶のような保温できる水筒タイプがオススメです。
体の調子が悪い時は、熱いお茶や水を頻繁にくみにいくのが大変だからです。
自分でコップを使って飲むことができない病状の時や、術後しばらくベッド上で安静が必要、という状況では「吸い飲み(吸い口)」が必要になります。
この場合は、病状に応じて必要な時に医療スタッフが指示します。
事前に購入を指示されたケースを除いては、前もって買っていく必要はありません。
洗面・入浴
全ての洗面用具が必要です。
歯ブラシ、歯磨き粉、洗顔料、ひげそり、クシ等は一通り持っていきましょう。
入れ歯を使用される方は、手術前後やMRI等の検査時に外します。
ケースを忘れないよう注意しましょう。
コンタクトレンズや洗浄液、メガネケースなどもお忘れなく。
入浴に必要なシャンプーやリンス、ボディソープなどは、病院に用意されていることもよくあります。
パンフレットを確認し、必要なら入院期間に合ったサイズのものを持参しましょう。
ハンドタオルやバスタオルはレンタルできることが多いですが、お金がかかるため私物を持参する方が良いでしょう(後述しますが洗濯可能です)。
ドライヤーは、ナースステーションで借りることができるケースが多いです。
こちらは荷物になるため、必要な方は事前に確認してください。
日用品
ティッシュは、ごく短期の入院を除き、箱で持っていくのがオススメです(片手で取れるため便利)。
また、ウェットティッシュもあると便利です(片手で取れるもの)。
小さなゴミ袋、イヤホン(テレビ視聴のため)、時計(小さな置き時計がベスト)もあると良いでしょう。
高齢者の場合は、時間感覚の喪失で認知機能が低下する恐れがあるため、時計やカレンダーは必須とお考えください。
服やタオルをかけるハンガー、ベッド柵にものをかけるためのS字フックもあると便利です。
長期入院が見込まれる場合は、爪切りもある方が良いでしょう。
携帯の充電器もお忘れなく。
個室でない場合で、入眠の際に音に敏感な方は耳栓もあると便利かもしれません。
印鑑は、念のため持参しても良いですが、使う機会はほぼない可能性が高いでしょう。
入院中に書く同意書も、一般的に自筆のサインがあれば印鑑は不要です。
衣類
病院から病衣をレンタルできるのが一般的です。
お金がかかるため、節約したい方は着替えを持っていくと良いでしょう(院内で洗濯できるため2、3日分の着替えでOK)。
ただし、胸やお腹を診察したり、心電図モニターをつけたりする必要性から、前開きの服がほぼ必須です。
Tシャツなどは避けましょう。
下着はもちろん必要です。
オムツは、購入を指示される場合とそうでない場合がありますので、購入前に確認するようにしましょう。
また、移動しやすいスリッパを持っていきましょう。
入院中、体の調子が悪い時に歩きにくいものは避ける必要がありますので、迷った方は病院の売店で売っている「リハビリスリッパ」を買っておくのがオススメです。
1000円〜1500円と少し値は張りますが、軽くて脱げにくく、体への負担が圧倒的に少ないです。
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洗濯
衣類やタオルの洗濯は、共用の洗濯機と乾燥機を使って行います。
洗剤は自分で持参する必要があります。
1回分が個包装になっている旅行用の商品が便利です。
貴重品
現金は少額を持っていくのが良いでしょう。
ベッドサイドに金庫(セーフティボックス)があり、鍵をかけて、鍵のついたリストバンドを手首に付けておくのが一般的です。
退院時の支払い以外に、入院中の高額の出費は普通ありません。
なお、テレビはテレビカードを購入して有料で見ることになります。
たいてい1枚1000円ですが、視聴できる時間は病院によります(1枚で10時間、1000円で1000分、など)。
暇つぶし
入院中はベッド上で暇な時間を持て余すこともあります(病状によってはそれどころではありませんが)。
本やパソコン、DVDプレーヤーなど、何か時間を潰せる「暇つぶし」があると良いでしょう。
個室でない限り、音の出るものは使えません。
イヤホンの準備は忘れないようにしましょう。
今回は、医師としての立場と、自分が入院した時の経験を生かして、入院時に必要なものをリストアップしてみました。
もちろん男性・女性の違いや、大人と子供、高齢者といった年齢の違い、家族持ちか一人暮らしか、夏か冬か、などの条件の違いで必要なものは微妙に異なる可能性はあります。
また出産に関する入院だと必要な物品が増えるため、入院時の指示に従う必要があります。
ここに挙げたのは、入院してみないと意外と気づかないものを選んでいますので、生活する上で他にも必要なものがある人は追加してください。
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