風邪で熱が出たときの治療と対処法によくある4つの間違い

風邪をひいて熱が出てしまったとき、あなたはどう対処していますか?

冷えピタでおでこを冷やして熱を下げますか?

うがい薬を使ってがんばってうがいをしますか?

病院に行って抗生物質をもらいますか?

点滴をしてもらいに病院に行くべきですか?

 

これらはいずれも、風邪の対処法としては誤りです

しかし私も医師になるまで正しいと信じていたことです。

 

今回は、意外に誤解の多い風邪の対処法について解説したいと思います。

これから書く対処法は全て「間違い」です。

 

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おでこを冷却シートで冷やす

風邪をひいたお子さんが、おでこに「冷えピタ」や「熱冷まシート」などの冷却シートを貼って外来を受診される姿をよく見ます。

私ももちろん昔はやったことが何度もあります。

しかし、おでこを冷やしても体を冷やすことはできません

体を冷やす鉄則は、太い血管があって多くの血流があるところを冷やすことです。

体の中で太い血管があるのは、脇の下足の付け根(そけい部)です。

これらの部分を冷やさない限り体温は下げられません。

 

どういうわけか、体の温度を反映するのが「おでこ」だと習慣的に思われています。

子どもが「熱っぽいかな?」と思ったとき、おでこに手を当てる方が多いのではないでしょうか?

それなのに、そういう方でも体温を測るのは脇の下ですね。

不思議な習慣だと思います。

おそらく、熱がでたときは頭がボーっとするので、頭が熱を持っているような感覚があるからではないかと思います。

ちなみに熱は無理に下げようとしなくても構いませんが、効果的に下げるのであれば解熱剤を使うのが良いでしょう。

ただし解熱剤は使い方に注意が必要ですから、こちらの記事もご参照ください。

 

うがい薬でのうがい

以前は、イソジンなどのうがい薬を使ってうがいをするのが有効だと考えられていました。

しかし、京都大学から2005年に発表された研究データで、イソジンのうがい薬によるうがいは、水道水でうがいをするより風邪をひきやすくなることが証明されました。

それ以後は私たちも水道水でのうがいを指示し、特別な理由がない限りうがい薬は処方しなくなりました

うがい薬で風邪をひきやすくなる理由としては、イソジンのような傷害性の強い薬がのどの粘膜を傷め、ウイルス感染に弱くなるからではないかと推測されています。

 

この研究は風邪の「予防」についての研究で「治療」ではありませんし、一つの研究結果で大きく行動を変えることには賛否両論あるかもしれません。

しかし風邪をひいたあとの対処としても、「うがい薬をあえて使う必要はない」ということには、今日多くの医師が賛同しています。

水道水でうがいをしましょう。

 

余談ですが、すり傷切り傷などの治療にも同じことが言えます。

イソジンや消毒液で消毒をすると傷の治りがむしろ悪くなることから、近年では傷を消毒することがなくなりました。

私たち外科医も、特別な理由がない限り手術後の傷を消毒することは一度もありません

 

病院で抗生剤(抗生物質)をもらう

風邪は上気道のウイルス感染です

抗生剤は細菌をやっつける薬ですから、ウイルスには全く効果がありません。

風邪をきっかけに肺炎などを起こせば抗生剤が必要になりますが、風邪が抗生剤で治ることは決してありません

したがって、風邪をひいて病院にいって抗生剤をもらったとしても、それを飲むことは、副作用のリスクだけを飲むことになります。

風邪に抗生剤は必要ありません。

余談ですが、「抗生剤」や「抗生物質」と一般には言われますが、「抗菌薬」がもっとも適切な呼び方です。

 

病院で点滴をしてもらう

「病院に行って点滴をしてもらえば風邪が早く治る」と思っている人がいます。

かく言う私も、昔はそう思っていました。

しかし点滴の成分を知って、「風邪が治るはずがない」と思いました。

点滴の成分は、ほとんど水だからです。

水にナトリウムやカリウムなどの電解質(ミネラル)が含まれているだけです。

 

では点滴は何のためにあるのでしょうか?

点滴の目的は水分補給です。

風邪をひいて水分がとれなかったり、嘔吐下痢などで多量の水分が失われたりして脱水症状があるときに、短時間で多くの水分を補給できるのが点滴のメリットです。

脱水が治れば体の状態が回復し、結果として風邪が治ることはあるでしょう。

ただ、水分補給が目的であれば、水分を口から飲める人がわざわざ点滴をする必要はありません(重度の脱水でない限り)。

血管に針を刺して水分を無理やり体内に注入するより、口から飲む方がよほど生理的で適切です。

ちなみに脱水の時に飲む水分は、水やお茶などの電解質が少ないものより、スポーツドリンクなどの方が適切です。

もっと良いのは、OS-1などの経口補水液です。

経口補水液を飲めば、同じ量の点滴をしたのと同じ効果があるとされています。

熱中症対策としても非常に有効ですので、自宅に何本か常備しておくことをおすすめします。

 

風邪を治すのはあくまで自分の免疫力です。

つまり風邪は「自然に治る」のを待つしかありません。

「市販のかぜ薬があるじゃないか!」と思った方、かぜ薬はかぜを治す薬ではありません

 

さて、風邪の対処法に、なぜこんなにも誤りが多いと思いますか?

私が考える理由をこれから説明します。

 

私が子どもの頃、風邪をひいてのどが痛くなり、母親に近くのクリニックに連れて行ってもらったことがあります。

そのときクリニックの先生が、イソジンをたっぷり付けた綿をピンセットでつかんで、私ののどに塗りつけました。

すごく苦くて痛かったのですが、その翌日、のどの痛みがすっかり治っていたのです。

私は子どもながら「あの人は名医だ!」と感動しました。

それ以後、私はイソジンをのどに塗ればかぜが治るのだと信じ、風邪をひいたらイソジンをたっぷり使ってうがいをするようにしていました。

ところがどうも不思議なのが、すっきり治るときと治らないときがあるのです。

果たしてイソジンは効果があったのかなかったのか・・・

 

そしてそれから何年もたって私は医師になり、今では「のどにイソジンを塗るなどもってのほか」と思っています。

のどの粘膜を傷つけるし、害しかないはずだとわかります。

ではなぜあのとき風邪がすっかり治ったのでしょうか?

 

理由は簡単です。

風邪は自然に治るからです。

私の場合、のどにイソジンを塗っても塗らなくても、翌日には自然に治る程度の軽い風邪だったのです。

 

風邪の対処法に間違いが多いのは、風邪があまりにも多くの人がかかる病気であるせいで、「◯◯をしたら風邪が治った」という出来事が頻繁に起こるからだと思います。

「AをしたらBという病気が治った」というのは、

 

「Aの治療効果によってBが治った」

「他の理由でBが治ったが、その前に偶然Aをしていた」

 

のどちらなのかはわからない、ということに注意が必要です。

つまり、「因果関係」「前後関係」を混同してはいけないということです。

これはどんな病気にも言えることです。

 

話が長くなりましたが、風邪の話に戻ります。

風邪を治す特効薬はありません。

風邪の治療は、体を十分に休ませること、つまり、「よく寝て、よく食べること」です。

特別な食べ物が必要ということもありません。

水分をしっかりとってバランスの良い食事を心がけましょう。

ときにかぜ薬解熱剤を使って、症状を軽くするのももちろん一つの手段ですが、これは「かぜを治す治療」ではありません。

かぜについての記事は以下もあわせてお読みください

大切なことを書いています。

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