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大腸内視鏡検査(大腸カメラ)は痛い?下剤は辛い?鎮静必要?

大腸カメラを初めて受ける方は、

「大腸カメラって痛いの?」

「鎮静はしてもらった方がいいの?」

「下剤を飲むのはしんどいの?」

「前日は何を食べればいいの?」

「そもそも恥ずかしくないの?」

というたくさんの不安がおありかと思います。

肛門からお腹の中にカメラを入れようというのですから、初めてなら心配になるのは当然です。

 

私は消化器(大腸)が専門の外科医で、私自身も大腸カメラを受けていますから、その体験談も交え、医師、患者の両方の立場から、上記の疑問にお答えします。

このページだけで全ての疑問が解消しますので、安心してください

 

大腸カメラは正式には大腸内視鏡検査と呼びます。

肛門から1,5メートル弱近くある細い管状のカメラを挿入して、大腸の中をくまなく観察する検査です。

大腸がんなど大腸の病気の検索に非常に有効な方法です。

 

余談ですが、「カプセル内視鏡」といってカプセル型のカメラを口から飲み込んで行う内視鏡検査があります。

これは何らかの理由で通常の大腸内視鏡検査ができない方のみに行う検査で、通常の検査ができる方にはおすすめしません(保険適応でもありません)。

怪しい病変があったときに拡大して観察する、色素を使って詳しく調べる、生検して調べる(細胞をとって顕微鏡で癌かどうか診断する)、といったことは内視鏡でなければできないからです。

では、大腸の内視鏡検査について、以下の順に解説していきましょう。

 

大腸の内視鏡検査は痛いの?

基本的に強い痛みを感じる方は多くありませんが、痛みには個人差があります。

もしあなたの周りに大腸内視鏡検査を受けた方がおられたら感想をきいてみてください。

「痛くなかった」という人もいれば「痛かった」という人もいると思います。

 

痛みを感じやすい場所はいくつかあります。

肛門を通る時や、お腹の左上(脾臓の近く)の曲がり角(脾弯曲部)などを通る時に痛みを感じる人は時折います。

また、大腸の長さや走行にも個人差があります。

S状結腸が長く曲がりくねった人は、カメラが通る際に痛みを感じやすくなります。

 

また他にも、人によって痛みを生じる原因を持っている方がいます。

それが以下の二つです。

 

お腹の中の癒着

お腹の中に癒着(ゆちゃく)があるせいで、腸がねじれて走行している人がいます。

お腹の手術をしたことがある方や、お腹の炎症を起こしたことがある方(憩室炎や、重症の虫垂炎などの経験がある方)は、癒着があることが多く、その部分を通過する時に痛みが生じることがあります。

これらの経験がなくても、生まれつき癒着のある方もいます。

 

大腸の長さ

大腸の長さは人によって個人差があります。

おおよそ1.5メートルと言われますが、中には2メートル近くと長い方もおられます。

長い方はその分通過に時間と手間がかかり、痛みの原因になる可能性があります。

 

いずれにしても痛みはそれほど強いものではなく、我慢できないようなものではありませんので、心配はご無用です。

 

検査後の痛みは大丈夫?

もしかしたら、内視鏡の検査後に、まだ痛みがあってこのページを見ている方がいるかもしれません。

内視鏡は、アコーディオンのような大腸を無理やり縮めてカメラを通す検査ですので、痛みがしばらく残ることは普通にあります。

また、検査中に大腸内にガスを送り込むため、検査後もガスが残ってお腹が張ったような痛みが続くことがあります。

この場合はガスが排出されてしまえばスッキリすることが多く、横になってゴロゴロしたりすると、ガスが出やすくなる場合も多いです。

 

ただ、もし痛みがかなり強い、という場合は再度受診が必要です。

私が書いた、「お腹が痛い!腹痛の原因となる病気と確認すべき5つのポイント」の記事を読んで、腹膜炎の兆候がないかチェックしてみてください。

 

鎮静は必要?

「鎮静(ちんせい)を受けた方が良いのだろうか?」と悩む方は多いのではないでしょうか?

「鎮静」とは、鎮静剤麻酔薬ではありません)を使って眠っている間に検査をすることを指します(全身麻酔とは全く違うので注意してください)。

点滴の薬を使うとすぐに寝ることができ、検査は眠っている間に終わりますから、痛みも全くありません。

鎮静を行える医療機関も多いので、希望される場合は担当医と相談するとよいでしょう。

 

ただし、鎮静を行う場合には以下のような注意点があります。

 

検査後しばらく安静が必要

鎮静剤を使うと、目が覚めた後もしばらく意識がぼんやりした状態が続くため、終わった後は一定時間、安静にしておかなければなりません。

検査が終わってもすぐに帰れず、自家用車での受診もできません。

 

検査中に話ができない

鎮静をしていなければ、医師と話をしながら検査を受けることができます。

何か大腸に異常が見つかった時、検査の最中に医師から症状などについて質問されることがあります

また、大腸がんなど病気を疑う所見があったとき、その場である程度状況を聞けますし、自分でも画面で確認することができます。

眠っているとこれらのことはできません。

 

下剤を飲むのは辛いの?

検査の前に下剤を使って大腸を空っぽにします(前処置と呼びます)。

大腸の中に便が残っていると、すみずみまでしっかり観察することができません。

下剤をしっかり飲むことは必須です(下剤なしでは受けられません)。

 

一般的には、前日の夜に1〜2種類の飲み薬(錠剤)の下剤を飲み、検査当日の朝から病院で2Lの強力な液体の下剤(ニフレックモビプレップと呼ばれますを飲みます。

前日の夜中は、便意で何度か目覚めることになります。

当日の下剤は分量が多く、2Lというと「辛くて飲めないかも」と思う方もいるかもしれませんが、心配はいりません。

コップに少しずつ入れて何時間かかけてゆっくり飲めますし、スポーツ飲料のような味ですので、あまり辛いものではありません。

昔に検査を受けた経験のある方は、下剤がまずくて辛かった記憶があるかもしれませんが、最近では味がずいぶん改良されていますので、安心してください。

 

通常、2〜3時間ほどかけて下剤を飲み、排便しながら便の色便の状態を確認します。

便が全部出きってしまうと、便が透明な水のようになりますので、こうなった方から順に検査を行っていきます。

便がなくなるまでにかかる時間は個人差がありますので、もともと便が少ない方は早く検査を始められますし、便秘で便が多かった方は少し時間がかかる場合もあります

下剤が効かない、ということは普通はありません。

最終的には誰しも全ての便が出きってしまいますので、心配はいりません。

 

時間がかかる方の場合は、下剤を飲み始めてから4時間、5時間とたってようやく検査ができるようになる方もいます。

検査の日は1日予定を空けておくようにしましょう。

 

なお、普段から便がたまりがちにならないよう注意が必要です。

以下の記事もご参照ください。

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前日の食事はどうすればいいの?

前日の昼、夕は消化の良いものを食べ、前日の夜9時頃から水分以外は禁止です(病院によって細かいルールは違いますので指示に従いましょう)。

前日は、消化に良いものとして、お粥うどんパンなどを少量食べるのが良いでしょう。

野菜やきのこ、海藻などの食物繊維や、脂肪分の多いものは消化に悪いため、食べないようにしましょう(食べてしまっても下剤で排出されますが、時間がかかります)。

「何が良くて何が悪いかよくわからない」と思う方がおられるかもしれません。

困ったら、大腸内視鏡用の検査食が薬局や病院の売店で売られていますので、これを使えば安心です。

検査前日に色々食事のレシピに気を遣うのはストレスだと思いますから、私は検査食をおすすめしています。

 

また、検査後の食事については制限はありません。

すぐに食べても構いませんし、食べてはいけない種類のものもありません。

お酒(アルコール)コーヒー等もいつも通りで構いません。

ただ、前述した通り検査時に空気を送り込んでお腹が張っていますので、一度に食べ過ぎると腹痛の原因になります。

お腹の張りが治るまで、量は少なめにするのが無難です。

 

恥ずかしくないの?

もちろん個人の感じ方によりますが、結論から言うと、全く恥ずかしいものではありません

お尻側に切れ目の入った検査用のスボンを履いて検査をするので、お尻が見えることはありません。

その上にバスタオルをかけることも多く、もちろん上半身は服を着ていますから、全く心配はいりません。

大腸は完全に空っぽになっているので、便が漏れることもありません。

送り込んだ空気が漏れ出ることもありますが、全く気になるものではありません

 

大腸の内視鏡検査は特に大腸がんの早期発見には非常に大切な検査です。

ちなみに、地域の大腸がん検診は、40歳以上の方を対象に便潜血検査が行われています。

便潜血検査で異常があれば、精密検査として大腸カメラを受ける、というのが一般的な流れです。

ただし、お腹が張る、便が細い、下痢や便秘など急な排便習慣の変化、血便などの症状がすでにある場合は、早めに医療機関を受診してください。

 

大腸がん検診については以下の記事もご参照ください。

大腸がん検診を徹底解説!検査の種類と方法、なぜ受けるべきか?