「お尻の穴」を検索する人があまりに多いという謎を解明する

ブログ運営者にとって、どんな検索ワードで自分のサイトが訪問されているかを知るのは大切だ。

検索されることが多いワードを見て、検索した人の知りたいことを推測し、その内容が自分のページに書かれていなければ、それが次に書く記事のヒントになる。

これを知る色々なツールがあるため、私もそのチェックは欠かさず行なっている。

 

ところで、私が3ヶ月ほど前に書いた記事で、

「お尻の穴(肛門)には絶対に大きなものを入れてはいけない理由」

というものがある。

消化器外科医をしていると必ず出会う、度を超えた性行為や自慰行為による肛門外傷を紹介し、注意を促す記事だ。

 

このページは、様々な検索ワードで検索結果の上位に表示され、かなりの頻度で読まれている。

「お尻の穴」という言葉だけでも検索回数は非常に多く、検索結果に私の記事が表示される回数はひと月で7000回くらいある。

だが、上記の私の記事では疑問に答えきれていないどころか、何を知りたくて検索したのか、悩ましいものも多い

例を挙げ、その意図を予想しながら解説を試みたいと思う。

 

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よく検索される「お尻」関連のワード

以下に挙げるワードは、いずれも検索回数の多いものばかりである。

まれなものを抽出しているわけではないことを最初に断っておく。

 

お尻の穴にものを入れる

お尻に異物

アナルにものを入れる

お尻の穴に水を入れる

これらは意図が推測できるし、私の記事はお役に立てたはずだ。

ちなみに、水は肛門に入れても問題ない

「洗腸」といって、肛門から水を入れて排便を促す処置もある。

ただ、原則病院で行うべき処置で、自力で行うと直腸や肛門損傷の原因になるため避けてほしい

 

アナル 肘

意図がわかりにくい、ちょっと怖いワードだが、私の記事で取り上げた、肛門に肘まで腕を入れた事例のことを指している可能性はある。

それなら私の記事は役に立っただろう。

 

だが中には以下のような、かなり検索者の意図が読みにくいものもある。

 

尻のお尻

肛門噴射

アナル破裂

「尻のお尻」はもはや日本語の体をなしていない。

記載ミスか?とも思うのだが、複数の方が検索していることを見ると、何か深い事情があるのではないかと、医師としては考え込まずにはいられない。

 

「肛門噴射」は、肛門へ何かを噴射したのか、肛門から便が噴射したのか分からないが、いずれにしても事態は穏やかではなさそうである

ただ、肛門に噴射器を用いて水を噴射した結果、大怪我に至った事例を私の記事では取り上げている。

 

「アナル破裂」もよく分からないが、もしかすると何らかの理由で大怪我をしている可能性がある。

こちらも私の記事を参照した方が良い。

肛門外傷は、かなりの確率で人工肛門造設術が必要となるからだ。

 

アナル 裂ける

これはおそらく「裂肛」のことだ。

いわゆる「切れ痔」である。

一般に軟膏などで治療するが、中には治療の難しい複雑なケースもある。

肛門科で専門的な治療が必要である

 

お尻の穴から腸

これはおそらく「直腸脱」か、「内痔核」の脱出、いわゆる「脱肛」のことだ。

直腸脱は、高齢の方で骨盤を支える筋肉が弱くなったせいで、直腸が降りてきて肛門から出てくる病気である。

特にやせた女性で多い。

手術で治療しなければ、弁漏れなどで困ることになる

 

また、いわゆる「いぼ痔(ぢ)」は、肛門(歯状線と呼ばれるライン)の内側にできる「内痔核」と、外側にできる「外痔核」に分けられる。

巨大な内痔核は、肛門外に脱出して脱肛と呼ばれる状態になることがある。

出血の原因になることも多く、早めに治療が必要である

肛門科を受診することが望ましい。

 

肛門鏡 痛い

肛門診察の際に、太めの棒状の器具を肛門内に挿入する。

この器具を肛門鏡と呼ぶ。

これは、長さは短いが太さは大腸カメラ以上で、少し痛みはある。

ただ、多くは1分とかからずすぐに終わる診察である。

私もときどき内痔核ができることがあり(通称「痔主(じぬし)」)、この検査を受けたことが一度だけある。

 

さて、ここまで書いてきた検索ワードに関することで、お伝えしておかなければならないと思うことが2つあるので、最後に紹介しておく。

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「アナル」という間違った言葉

ここまで「アナル」を連発してきて言うのも変だが、「anal」(正しい発音は「エイナル」)は、「肛門」という意味ではない

「肛門のという形容詞である。

したがって、「アナルから」や「アナルが」は間違った表現だ

名詞の「肛門」の正しい英語は「anus(エイヌス)」である。

「エイヌスから」「エイヌスが」というのが正しい。

ただ、「肛門」という、誰にも誤解を与えない便利な日本語があるのに、あえて英語を選択する意味は乏しいと思う。

 

ちなみに「anal」という言葉は、私たちも日常的によく使う。

例えば、胃や小腸、大腸など、消化管の中で位置を説明するときだ。

手術中に「右側」「左側」と言っても、どちらから見ているかによって意味が変わるため、誤解を招く

そこで、「口側」や「肛門側」と言ったり、「oral (オーラル)」「anal」と言う。

消化管は口から肛門まで一本道なので、こう言えば誰も間違えず、容易に、かつ正確に理解できるからだ。

 

これは手術中だけでなく、エコー(超音波)や内視鏡などの画像を見ながら説明する際にもよく使う。

腸管は蠕動運動でよく動くため、左右や上下と言っても、次の瞬間には位置が変わっていることが多い

一方、「口側」「肛門側」は、どれだけ腸が動いても変わらない位置関係なので誤解がない、というわけだ。

 

肛門科医という専門家

痔核や裂肛といった肛門疾患を診てもらうには、「肛門科」がある病院に行くのが最もスムーズで良い。

このことは意外に知られておらず、肛門のトラブルで「外科」や「消化器外科」を受診し、肛門科のある病院に紹介される、というケースが非常に多い

こうなると、受診した患者さんにとっては二度手間である。

 

肛門の構造は非常に複雑で、その疾患の治療は専門性がかなり高い

消化器が専門でも、特に内科医だと肛門は完全に守備範囲外という人も多い。

よって、もしみなさんが肛門のことで困って病院に行く時は、インターネットなどで肛門科があることを確認し、肛門科へ直接行くのが良いだろう。

また肛門科クリニックの開業医の先生も肛門疾患のエキスパートなので、そちらを受診するのもおすすめである。

 

肛門や陰部は非常にデリケートなエリアなので、困っても他人に相談することに抵抗を感じる人は多い。

こういう言葉がインターネットで検索される機会が多いのは十分理解できる。

今後、私のサイトでも、痔など肛門疾患についての記事も充実させていきたいと考えている。

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