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コードブルー スピンオフ 第3話 感想&あらすじ徹底ネタバレ解説

スピンオフ第3話は、

「医師は分からないことを分からないと正直に言えるか?」

という、これまた非常に重要なテーマが描かれる。

コードブルースピンオフドラマは、短時間でありながらメッセージに富んだテーマが多く感嘆する。

今回は難しい病気や治療はなかったが、いつも通りあらすじを振り返りながら医師の立場で感想を書いてみたいと思う。

 

今回のあらすじ

外来処置室で横峯(新木優子)は、患者さんからスマホ画面を見せられ、

「この薬とかって、(自分に)使わないんですか?」

と突然質問を受ける。

画面には見たことのない薬品の写真

少し悩んだ横峯は、

「あー!今のところ使う予定はありません!」

と知ったかぶりを通してその場を切り抜ける。

 

一方、その横では灰谷(成田凌)が患者さんから、

「(自分の症状は)神経障害性疼痛でしょうか?」

と質問され、聞いたことのない病名に慌てふためき、教科書を調べながら取り乱してしまう

 

その後、病院に講演にやってきたDIC治療で著名な教授が医局を訪れ、もともと教え子だったらしい灰谷に声をかける。

勉強家であるにもかかわらず、患者さんが挙げた病名を知らずに落ち込んでいた灰谷。

灰谷から悩みを打ち明けられた教授は、

「星の数ほどある病気や薬剤、それに治療法の全てを知る人間はいないし、どんな名医と言われる医者でも必ず知らないことがある。」

「そんな時、知らないままやり過ごして運良く患者を救う医者か、それとも知らないことを認めて恥をかきながらでも患者を救う医者か、どちらになりたい?」

と問いかける。

教授の言いたいことを悟った灰谷は、

「後者です」

と答え、それを神妙な面持ちで見つめる横峯。

 

さらに教授は、

「自分の無知を認めることは難しい。でも灰谷、君はすでにできてる」

と灰谷の謙虚さを褒めたのだった。

 

分からないことを分からないと言える医者

今回の放送のように、患者さんが突然スマホ画面や資料を医師に見せ、

「この薬は使えませんか?」

「この治療は私には適応外ですか?」

といった質問をされるのは、実は「あるある」である。

 

こうした場面で、患者さんに対して、

「知らないことを正直に知らないと言えるかどうか」

というのは、医師にとって非常に重要なテーマであると言える。

 

教授の語る通り、全ての病名や治療名、薬剤名に精通している医師など皆無である。

それどころか、これほど医療が複雑化した今、「広く浅く」知っている医師はもはや使い物にならないとも言える。

医師に求められるのは、

自分が詳細に知っている領域と、そうでない領域の正しい線引き

分からないことがあった時に、即座に調べて正しい答えが導き出せる準備

である。

 

専門領域以外に関して細かい知識まで全て「暗記」することは求められていないし、その無知を恥ずかしく思う必要はない。

また専門領域であっても、自分の記憶を過信せず、きっちり調べてでも正確な答えを導き出す方が患者さんにとってはプラスである。

 

ところが、患者さんからの質問に「分からない」と正直に言えない医師もいる。

知ったかぶりをして、その場を何とか切り抜けようとする人も少なくない。

たいてい患者さんはそれを見抜いているため、かえって不信感を与えてしまうこともある。

やはり分からないのであれば、それを正直に認めた上で、すぐに調べて正確な答えを提供するのがむしろ「プロフェッショナル」と言うべきだろう。

 

私ならどうするか?

大変僭越ながら、今回の放送のようなことがあった場合、私ならどうするかを参考に書いてみる。

 

まず正直に、

「その薬は聞いたことがないですね、少しお待ちください、調べてみますね」

と言ってできる限り素早く答えを出す。

患者さんの目の前でパソコンやスマートフォンで調べ、その画面を患者さんに見せながら

「これですね」

というように説明することもある。

 

よく使うが暗記しづらい細かな数値などは、小さな自分用のノートを作って白衣のポケットに入れている

患者さんの前で、

「細かい数字までは覚えてないのでノートに書いてるんですが・・・」

と言いつつ目の前でノートを調べ、正確な答えをお伝えする。

むしろ記憶に頼らず正しい答えが提供された、という印象を与える方が、患者さんにとっては安心と思うからだ。

 

あるいはすぐに返答が難しい質問なら、

「それはについては少し科内で検討してみますね」

と一旦持ち帰ることもある。

 

患者さんも、全ての質問に医者が即答できるなどと思ってはいない。

重要なのは、患者さんに不安を与えないよう、毅然とした態度で迷いのない対応を行うことである。

 

むろんこれは、普段から「知っているべきことは全て知っている」ことが前提だ。

普段からきっちり勉強していることが、「知らないと言ってもいい」という判断の確かさを保証する

「自分は知らないが、他の医者は全員知っていること」まで「知らない」と言ってしまう事態は避けたいからである。

そして、自分の努力に対して自負があるなら、答えの分からない質問はたいていマニアックであったり一般的でないわけで、無知を認めても恥ずかしい気持ちになることはないのである。

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プロセントラとは?

ちなみに、今回登場した「プロセントラ」という薬剤は私も全く聞いたことがなかった。

検索する限りヒットしないため、ドラマ用に創作された架空の薬剤と思われる。

だがこの男性のように画面で薬品の写真を見せてくれると、商品名の上に書かれた、

「プロトロンビン複合体」

という「一般名」からどんな場面で使うべき薬剤かがある程度分かるし、実際には「ケイセントラ」という商品があるため、

「私は良く知りませんが、ジェネリックかもしれません。調べてきますね」

という回答も可能である。

 

最近はジェネリック薬品があまりにも増えすぎており、患者さんのお薬手帳を見ても、「知らない薬だらけ」ということが実はよくある。

その場合は、商品名ではなく一般名を見れば、その正体を知ることはたいてい可能である。

医師に薬の名前を尋ね、医師が「知らない」と答えても、それは「普通のこと」であるケースも多い、ということはお伝えしておきたい。

 

私は性格的に「おしゃべり好き」であり、知らない人とのコミュニケーションに対する恐れは全くない

人見知りをすることもないし、大勢の前で話をする際もほとんど緊張しない。

 

だが、突然の質問に動揺してしまう人はたくさんいる。

灰谷のように、いくら人格的に優れ、知識も豊富な医師であっても、である。

実際には高い能力を持っているのに、「知らない」と言われただけで不信感を抱き、貴重な人間関係を構築する妨げとなるのは非常に残念なことである。

今回この記事では、こうした面からも医師に対して質問を投げかける時の注意点として記しておきたいと思う。


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