お腹が痛い!腹痛の原因となる病気 確認すべき5つのポイント

お腹が痛い、お腹が張る、などは誰もがよく経験する症状で、様々なことが原因で起こります。

大半は、食べ過ぎ飲み過ぎ便秘便ガスが溜まっている、といった、病的ではない腹痛です。

しかし中にはこの記事に書くような大きな病気が隠れていることもあるため、注意が必要です。

腹痛でみなさんが病院を受診した時、私たち医師が質問すること、つまりみなさんにチェックしてほしいことは決まっています

今回は、腹痛の時に確認すべき5つのチェックポイントを解説します。

 

お腹の中には多数の臓器があります。

小腸大腸肝臓胆嚢膵臓などの消化器

子宮卵巣といった婦人科系の臓器

膀胱尿管といった泌尿器科系の臓器

これらはいずれも腹痛の原因になります。

特に女性の場合は、妊娠に関わる腹痛の可能性があるため注意が必要です。

 

この記事の末尾にチェックリストを用意しています。

受診時のメモとしても便利に使えますので、ぜひご利用ください。

また、下痢や吐き気・嘔吐を伴う場合は、下痢のページ吐き気・嘔吐のページも参照して下さい。

(注)症状だけで病気を診断することはできません。必ず医師の診察を受けましょう。

 

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1. どんな始まり方でしたか?

■突然始まった

■ゆっくり始まった

瞬間的に起こった強い腹痛は、大動脈瘤破裂大動脈解離、腸の動脈閉塞など、血管系の痛みのことがあり、危険です。

「突然始まる」というのは、何をしている時に始まったか、ということを細かく言えるくらいの突発性の痛みを指しています。

女性の場合は、子宮外妊娠の破裂卵巣出血が突然発症の腹痛の原因になります。

卵巣出血は性行為の直後に痛くなるのが典型的です。

この経緯は言いにくいと感じる方が多いかもしれませんが、正確な診断のためには、むしろ最初に医師に伝えるべきポイントです。

 

一方で、

虫垂炎(いわゆる「盲腸」)や胆嚢炎、胆管炎、憩室炎などの炎症性の病気

手術後の癒着や、大腸や小腸の腫瘍が原因で起こる腸閉塞

はゆっくり始まることがほとんどです。

また炎症性の病気は、大部分は細菌感染が原因のため、発熱を伴う(高熱ではなく、37℃〜38℃程度が一般的)ことも多い傾向があります。

(高齢の方では熱が出ないケースもあります)

いずれの病気も、手術が必要になることがあります。

いつから、どのように始まったかをきっちりチェックしましょう。

 

また、痛みが始まった後の経過も大切です。

長時間ずっと痛いのか

断続的に痛い(痛くなったり、痛くなくなったりの波がある)のか

をチェックしましょう。

一般的には、長時間持続的に痛いケースでは、血管系の病気や炎症性の病気、腸閉塞などの治療が必要な病気であることが多い傾向があります。

一方、痛みに波があるケースでは、後述する腸炎などによる蠕動痛や、便秘などが原因であることが多く、緊急での治療が必要な病気であることは少ない傾向があります。

 

2. どの場所が痛みますか

■一定しない

■みぞおち

■右上腹部

■右下腹部

■左上腹部

■左下腹部

■へそ周囲

■下腹部中央

■お腹全体

一定しない・へその周りが何となく痛い

一定せずあちこちが痛くなる場合や、漠然とへその周りが痛い場合は、

腸炎などによる腸のぜん動痛(腸のぜん動が過剰になることによる痛み)が起こっている

便秘で便やガスが溜まっている

というケースを考えます。

ポイントは、「押さえると痛い場所が1ヶ所だけある」という症状ではないことです。

「どこを押さえてもなんとなく痛い」というケースがこれに当てはまります。

 

みぞおちが痛い

みぞおちの痛みは、胃潰瘍や十二指腸潰瘍、胃炎などを考えます。

これらは、キリキリ、ズキズキと表現され、差し込むような痛みが特徴です。

また急性膵炎でもみぞおちの痛みが生じます。

うずくまるほどの、差し込むような鈍痛が特徴です。

ほかにも例外的に、

胆石発作や胆嚢炎でみぞおちが痛くなるケース

虫垂炎(盲腸)の初期症状としてみぞおちが痛くなるケース

があります。

虫垂炎では、

「最初にみぞおちあたりが痛くて、その後右下腹部に移動してきた」

といった、痛みの場所が移動するということもよくあります。

 

右上腹部が痛い

右上腹部(お腹の右上、あばらの下、右わき腹)には胆のう、胆管、肝臓があります。

胆石発作や、胆嚢炎、胆管炎といった炎症性の病気が右上腹部痛の原因になります。

肝臓の病気では痛みがほとんど出ないため、腹痛の原因ということはまれです)

また大腸も右上腹部を通ります。

頻度は低いですが、大腸がんなどの腫瘍、大腸の憩室炎が原因になっていることもあります。

 

右下腹部が痛い

右下腹部(お腹の右下、へその右横)が痛いケースでは、まず虫垂炎(盲腸)を疑います。

ただ、虫垂は人によって位置や長さ、大きさが異なるため、へそ周囲や、下腹部の真ん中が痛くなるケースもあります。

また右下腹部の大腸に起きた憩室炎でも全く同じ症状になります。

私たち消化器外科医でも、お腹を触っただけでこの位置の憩室炎を虫垂炎と区別することはかなり困難です

 

また女性では、右下腹部には卵管や卵巣があります。

卵巣出血卵管炎子宮外妊娠など、婦人科系の臓器が痛みの原因になっていることがあります。

 

左上腹部が痛い

左上腹部(お腹の左上、左のあばらの下、左わき腹)にあるのは、脾臓です。

ただ脾臓の病気で痛みが出ることはまれで、左上腹部痛であれば、まずそこを通る大腸の痛みを考えます。

つまり、大腸がんなどの腫瘍、大腸の憩室炎が原因になっているケースです。

 

左下腹部が痛い

左下腹部(お腹の左下、へその左横)にあるのは大腸です。

やはり大腸がんなどの腫瘍、大腸の憩室炎をまず考えます。

ただし女性では、右と同じく左下腹部にも卵管や卵巣があります。

卵巣出血卵管炎子宮外妊娠など、婦人科系の臓器が痛みの原因になります。

 

下腹部中央が痛い

下腹部の真ん中(へその下)には、膀胱直腸があります。

膀胱炎や、直腸の腫瘍(直腸がん)憩室炎などが原因となります。

膀胱炎では、排尿時の痛み残尿感頻尿といった尿の症状を伴います。

 

また女性では下腹部中央に子宮があります。

子宮内膜症、子宮腺筋症が痛みの原因になります。

これらは月経周期と関係する痛み(強い生理痛)が特徴です。

また、子宮周囲に感染症による炎症を起こす「骨盤内炎症性疾患(PID)」が下腹部痛の原因になります。

原因は性感染症(性病)ですので、不特定多数の人との性交渉がある女性や性風俗関連の仕事をしている女性ではリスクになります。

PIDは入院での治療が必要な病気です。

 

お腹全体の激痛

お腹全体がすごく痛い、歩けないほどの激痛があるという場合は、腸閉塞穿孔性腹膜炎(胃や腸に穴があいて腹膜全体に炎症を起こしている状態)を考えます。

穿孔性腹膜炎でお腹全体に腹膜炎が起こっているケース(汎発性腹膜炎)では、

お腹のどこを触っても激痛

軽く押すだけ、あるいは触れるだけでも激痛

座る、立つ、咳をするといった軽い振動でも激痛

といった症状が典型的で、うずくまって脂汗をかいて動けない、ということがほとんどです。

腹膜炎で「痛みでのたうちまわる」ということはありません(少し動くだけでも痛いからです)。

 

一方、腸閉塞でも激痛が起こりますが、腹膜炎よりは症状が軽く、「お腹が張って苦しい痛み」長時間続くのが特徴です。

帝王切開を含め、お腹の手術を一度でもしたことがある人は腸閉塞のリスクがあります(お腹の中の癒着が原因です)。

また、大腸や小腸のがん(腫瘍)や、腸重積鼠径ヘルニア(いわゆる「脱腸」)など、お腹の手術以外にも腸閉塞を起こす要因はあります。

 

ここに書いたことを参考に、どの場所が痛いか、あるいは痛みが移動したりして痛みの場所が複数ある場合は、どの場所からどの場所にどんな時間経過で移動したかをチェックしてみましょう。

 

また例外として、帯状疱疹などの皮膚の痛みを腹痛と捉える人もいます。

ピリピリ、チクチクといった痛みは体表面の痛みである可能性が高いため、必ず目で皮膚の表面を見て変化がないか確認しましょう。

 

3. 歩くと響きますか?

■歩いたりジャンプすると痛い部分に響く(痛くてジャンプできない)

■歩いても響かない

前述の通り、歩くと響くようなお腹の痛みは、腹膜炎のサインとされています

虫垂炎憩室炎は周囲の腹膜に炎症が起きるため、歩くとお腹に響くような痛みがあります。

穿孔性腹膜炎など重症の疾患は、歩くとお腹に響くので全く歩けない、というのが典型的です。

前述の通り、腹膜炎の痛みは少し動くだけでお腹に響くので、

「痛くてじっとしている、うずくまっている」

というのが普通です。

逆に、「痛くてのたうちまわっている、暴れている」というようなケースは、むしろ上述した腹膜炎の可能性は低く、尿路結石などが原因となることが多いです。

症状が軽い場合は、ジャンプしたり、背伸びした後かかとをストンと落として、痛い部分に響くかどうか確認してみましょう。

 

なお、「お腹をへこませると痛い」というのは、腹膜炎の典型的な症状ではありません。

腹壁(お腹の壁)によって小腸や大腸が圧迫されたときの痛みですので、便秘で便やガスが溜まっている時に起こる可能性はあります。

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4. 便秘・下痢はありますか?

■便秘をしている(最終排便は何日前?)

■下痢をしている

■通常の排便である

長期間排便がなく腹痛を生じている場合は、便秘の痛みのこともあれば、なんらかの原因で小腸あるいは大腸が詰まっている腸閉塞のことがあります。

お腹の手術を受けたことが一度でもある人は、癒着が原因で腸閉塞になりやすくなっています。

腸閉塞では、便が出ないどころか、ガスも全く出なくなります。

(「おならが出ない」は危険ですが、「おならがよく出る」は全く問題ありません)

 

一方、水のような下痢をしている場合は、腸炎による腹痛である可能性が高くなります。

「どんな便が出ているか?」「最終排便(直近に排便した日)はいつか?」といった排便状況を私たちは必ず聞きますが、突然聞かれると思い出せないこともあるでしょう。

事前に確認しておきましょう。

 

5. 妊娠の可能性はありますか?

■全くない

■あるかもしれない

女性の場合は、妊娠の可能性が100%ないかどうかの確認は必須です。

腹痛の原因が妊娠にある場合、見逃すと母子ともに非常に危険です。

可能性が0%だと言い切れない場合は妊娠検査が必要です

病院でも短時間で検査ができます。

また最終月経がいつか(最後に生理が来たのはいつか)ということも私たちは必ず聞きます。

思い出しておきましょう。

 

「腹痛」受診前メモ

1. どのような始まり方でしたか?
突然始まった ゆっくり始まった

2. どの部分が痛みますか
一定しない
みぞおち
右上腹部
右下腹部
左上腹部
左下腹部
へそ周囲
下腹部中央
お腹全体

3. 歩くと響きますか?
響く  響かない

4. 便秘・下痢はありますか?
便秘をしている
下痢をしている
通常の排便
最終排便:日前

5. 妊娠している可能性はありませんか?
全くない
あるかもしれない

※スクリーンショットなどで受診時にお使いください。PCの方:Windowsの方はPrint Screenボタン、Macの方はshift + command (⌘) + 3でスクリーンショットできます。

 

他の症状を見る場合は以下の記事へ

病院で症状をうまく医師に説明する方法/13の症状とチェックリスト

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医師。専門は消化器外科。二児の父。
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「教えて!けいゆう先生」のコーナーで定期連載中。
エムスリーでも連載中&「LIFESTYLE」企画・監修。
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