手術後の傷口の痛み、赤み、化膿など傷の変化は受診すべき?

手術を受けた方が退院され、次回の外来までの間に傷の変化があって連絡を受けることがしばしばあります。

「傷が赤くなった」

「傷口が開いた」

「傷から汁が出ている」

などの変化です。

退院後にいつもの生活に戻ると、体の少しの変化でも不安になるのは当然のことです。

原則、傷になんらかの変化があって心配な時は受診をおすすめします。

ただ、緊急で受診した方が良いのか、応急処置として何か対処した方がいいのか、などある程度知識は持っておきたい方も多いかと思います。

そこで今回は、術後の傷にあり得る変化について、様々なケースに応じて簡単に解説しておきたいと思います。

なお、傷に何らかの変化があっても、消毒は行ってはいけません

これについても最後に説明します。

 

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傷の赤み

傷の周りに軽い赤みが出ているだけであれば、緊急で受診する必要はありません。

術後の創部に大きな問題がなくても、軽度の赤みが残ることはあり得ます。

ただし、心配すべきなのは傷が感染していないかどうかです。

赤みの程度が徐々に強くなる場合、赤みの範囲が広くなってくる場合、押さえると痛みがある場合、硬くなっている場合などは、感染の可能性があります。

緊急とは言いませんが、早めに受診が必要です。

 

傷の排膿(膿が出ている)

傷の「化膿」と一般に言われる現象を、我々医師は「排膿(はいのう)」と呼びます。

「傷からが出ている」という場合は、まずその液体の性状を確認しましょう。

白っぽい、あるいは灰色っぽい濁った色である場合や、悪臭がある場合は膿(うみ)の可能性が高いです。

放置するとどんどん悪化するため、早めに受診が必要です。

一方、黄色透明臭いのないサラサラした液体であれば、皮膚の下に溜まっていた滲出液が排出されただけで、感染でない可能性が高いです。

感染でなければ、様子を見ていれば自然に治まります。

治らない場合、量が多い場合は早めに受診しましょう。

 

傷口が開く、ふさがらない

傷の開き方が軽い場合(およそ5mm以内)であれば、緊急で受診は必要ありません。

ただし傷がさらに開いてくる可能性があり、場合によってはテープでとめたり、再縫合などが必要になりますので、早めに受診しましょう。

お腹の場合は、傷が数センチにわたって大きく開き、が見えている、という事態がまれに起こります。

この場合は、夜中であっても緊急で受診が必要です。

なお、最近は傷を皮膚の内側で縫う埋没縫合が多く、抜糸は行いません(自然に溶ける糸で縫います)。

一方、抜糸が必要な縫い方の場合は、傷の治りが悪い方で抜糸後に傷が開いてしまうことがあります。

注意して見ておきましょう。

 

傷の内出血

傷を縫い閉じた後、皮膚の下にたまった血液が、表面から見えることがあります。

打撲のあとの打ち身青あざのようなものです。

正確には、皮下血腫と言います。

皮下血腫は誰でも起こり得ますし、重力に伴ってゆっくり広がるのも普通のことです。

下腹部の手術の傷が、下に降りてきて陰嚢まで広く真っ青になることもあります。

血腫自体は自然に吸収されて消えますので、特に治療は必要ありません。

様子を見ておいて構いません。

ただ、短時間で急速に広がってきた、という場合は、皮膚の下で現在も出血が起こっている可能性があり、緊急で受診が必要です

 

傷の出血

傷から出血を起こすことがあります。

少量、じんわり出ているだけであれば、ティッシュやガーゼなど清潔なもので圧迫してください。

すぐに止血できるようであれば、緊急で受診は必要ありません。

ただ、出血を繰り返す場合や、いつまでも出血が持続する場合、血が滴るほどたくさん出ている場合はすぐに受診しましょう。

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傷のふくらみ、盛り上がり

傷が膨らんできた、というのは、単に自然に治る経過を見ているだけの場合もあれば、皮膚の下に膿がたまってきたという場合もあります。

膿がたまっている場合は、赤みがあったり、押さえると痛みがあります。

こういう場合は感染の可能性があるため受診が必要です。

一方、全く赤みもなく、痛みもなく、単に膨らんでいるだけという場合は様子を見ても構いません。

ただし膨らみがどんどんひどくなる場合は受診しましょう。

 

傷が硬くなってきた

上述の膨らんできた場合と全く同じです。

押さえた時の痛みや赤みがあるかどうかがポイントです。

それらが全くなく、単に硬いだけ、という場合は様子を見ても構わないでしょう。

ただし、同じくひどくなる場合は受診が必要です。


以上が術後の傷に起こりうる変化の一覧と対処法です。

様子を見ても良い、と書いたものでも、「治らず持続する」「ひどくなる」という場合は、早めに受診をおすすめします

 

なお、退院後もご自身で毎日イソジンやマキロンなどの消毒液をつけて傷の消毒をされる方が時々おられます。

かつては、手術後に毎日外科医が回診し、傷にイソジンをつけていた時代がありました。

現在では、傷の消毒は傷の治りを悪くするということがわかり、特別な場合を除いて消毒は一切行わなくなりました

医師からの指示がない限り、自宅で自己判断で消毒をすることはやめましょう

 

なお、今回の記事で想定しているのは、私の専門である腹部の手術(開腹手術腹腔鏡手術)の術後の傷です。

整形外科や脳外科など、他の手術の傷はまた異なる注意が必要である可能性もあります。

担当の医師に必ず相談しましょう。

 

ちなみに、上述したような創部の感染が起こると、ひどい場合は傷跡がのちのちも目立ちやすくなります。

手術の傷跡の残りやすさは体質によってずいぶん異なりますが、一度大きな傷跡が残ると、完全に消すことは難しくなります。

傷を綺麗に治すためにも、感染はなるべく悪化する前に治すことが大切です。

 

術後の入浴、飲酒、運転などの日常生活についての注意点を知りたい方は以下の記事をご参照ください。

胃がん・大腸がんの個別の術後の注意点を知りたい方は以下の記事をご覧ください。

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