7月4日にフジテレビで行われた「劇場版コード・ブルー」公開前イベント「コード・ブルー アワード」に出演してきました。
「コード・ブルー アワード」は、公式ホームページで応募した方の中から抽選で120名だけが参加できるファンイベント。
1st〜3rdまでの全33話から「最も泣けた回」や「最も感動した台詞」などを募集し、その投票結果が発表されました。
イベントでは、1stから製作に関わる西浦監督、増本プロデューサーらと一緒に、壇上で作品について熱いトークをしましたので、ぜひ皆さんにシェアしたいと思います。
劇場版コードブルー試写会の感想はこちら↓
【ネタバレなし】「劇場版コード・ブルー」試写会 感想&解説こちらもどうぞ↓
フジテレビ「コード・ブルー15年ぶりの記録達成の裏側」に出演しましたエピソードアワード
まずは「エピソードアワード」として、以下の3つの項目が発表されました。
最も泣けた回
1stSEASON 第6話が選ばれました。
藍沢(山下智久)の祖母、絹枝さんが入院し、せん妄で藍沢のことが分からなくなってしまう回ですね。
私も解説記事で、高齢の方が急な環境の変化で急激に認知症が進んだり、せん妄を発症したりすることを解説しています。
驚いたのは、この藍沢と絹枝さんの話全てが増本Pの実体験そのものであったことでした。
幼い頃に育てられたお祖母さんが大腿骨骨折で入院し、せん妄になって増本Pのことを忘れてしまったこと。
お金を盗まれたと言って騒ぎ、売店に自分で買い物に行きたいと言い出し、売店に連れて行ったら商品を大量にカゴに入れ始めたこと。
どれだけ止めても「孫(増本P)のために買ってやると約束した」と言って聞かなかったこと。
全てが増本Pの実話を元に作られたそうです。
あのリアリティのある描写は、実話がベースだったのですね。
最も元気をもらった回
3rd SEASON 第10話が選ばれました。
地下鉄の崩落事故が描かれた最終話です。
最終話の地下鉄崩落事故は、実際のトンネル内に線路を敷いたセットを作り、壮絶な環境で撮影が行われています。
当時、製作スタッフの中には、トンネルの中に1週間近く寝泊まりした人もいたそうで、むしろ製作者側は「元気を失う」ほど大変だったようです。
私がこの最終話で思い入れが深いのは、やはり成長したフェロー達が患者さんを適切に診断、治療していくラストシーンです。
第1話では、それぞれが様々な問題を抱え、先輩である藍沢達が教育に関して悩むほど、現場では力になれなかったフェローたち。
彼らが立派に成長したことや、名取と横峯が手柄を取り合うように積極性を見せる中で、灰谷が冷静に治療方針を分析していたこと。
そんな彼らを見ながら、藍沢や緋山が自分たちのフェロー時代と重ね合わせ、「俺たちと同じだな」と言う。
1stから見てきた視聴者にとっては感慨深く、私もまさに「元気をもらった」と思えるシーンでした。
最も考えさせられた回
2nd SEASON 第8話が選ばれました。
緋山(戸田恵梨香)が訴訟問題に苦しむ回です。
印象深いのは、緋山が相手側弁護士に対し、信頼関係ができている家族に対してDNRオーダーという書類で言質をとるべきだとする矛盾を強く批判したことでした。
あのシーンの戸田恵梨香さんの演技は、胸に突き刺さるほど凄まじいものでした。
この演技にあまりに感動した西浦監督と増本Pは、この台詞を3rdのフェロー、横峯役のオーディションに使ったそうです。
当時、医師になってまだ経験の浅かった緋山が語る本音は、まさに正論そのものでした。
現実の医療現場では、年々必要な書類が増え、患者さんにサインをしていただく機会がますます増えるばかりです。
そんな中で、形の上での同意ばかりが重視され、患者さんとの信頼関係が軽視されてはいないか。
そんな現状に警鐘を鳴らす緋山の言葉でした。
しかし、この回で重要だったのは、訴訟を起こしたのは患者さんの母親ではなく、「母親の兄」であったことでした。
医療現場でトラブルの原因になるのは、病院に足繁く通う近しい家族ではなく、何か問題が起こった時に初めて医療機関にやってくる親族です。
信頼関係を十分に築けていない相手が、結果だけを見て医師の過誤を問う。
まさにこれが現実の医療であり、「明文化された同意」が止むを得ず必要になる理由です。
こうした絶妙なリアリティもまた、増本Pを始め製作スタッフたちが綿密な取材を行ったことで生まれていたことが分かりました。
リアルな描写を行うには、リアルな現場を実際に取材して適切に解釈し、それをいかに俳優さんたちに的確に表現してもらうかにかかっていることを実感しました。
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名台詞アワード
次に「名台詞アワード」として、コードブルーの中の3種類の台詞が選ばれました。
最も感動した台詞
「ありがとう。君のおかげで、6人が生きる。君はこんな言葉、いらないかもしれないけど。(名取/有岡大貴)」
脳死移植の場面で名取が亡くなった患者さんにかけた言葉です。
私もブログで名取というキャラクターについて深く分析しています。
脳死の方からの臓器摘出が詳細に描かれたのは、当時コードブルー3rd SEASONが初めてだったようです。
現場を取材し、各臓器の行き先として6人の名前が書かれた書類を実際に見られ、そのショッキングな思いをドラマで表現したそうです。
台詞の中でも、
「君はこんな言葉、いらないかもしれないけど」
という部分に、一見熱意が伝わりにくい名取の繊細な性格が表れていて、私も好きな台詞です。
名取はこの回で、患者の思いを理解したいのに理解できない自分に悩みます。
しかしその一方で、自分への悩みを客観的に分析する力を備えていることを知った指導者の緋山が、これを彼の成長への糧に変えるわけです。
緋山もまた悩み苦しんだ時、そんな自分を理解してくれた橘(椎名桔平)への感謝の気持ちを持ち続けていたからですね。
最も元気をもらった台詞
「よくやった。(黒田/柳葉敏郎・橘/椎名桔平・藍沢/山下智久)」
これはもう、1st SEASONから何度も使われている、コードブルー史上最も有名な名台詞ですね。
西浦監督によれば、黒田役の柳葉敏郎さんは途中から「よくやった」を「勝手に言い始めた」そうで、台本にないシーンでも頻繁に使っていたそうです。
事前に西浦監督に「『よくやった』を使っていいかどうか」を確認し、許可が下りたら使う、という経緯があったエピソードが会場の笑いを誘いました。
これが最終的に3rd SEASONの藍沢の「よくやった」につながると思うと、なかなか感慨深いものがあります。
座右の銘にしたい台詞
「先の見えない暗闇に一人佇み、時に、心が折れそうになる。
この先、光が無かったら。
歩いた方向はまるで逆で、光から遠ざかる結果だったら。
そんな時は思い出してほしい。
一人ではつらい暗闇を、共に向ける仲間の存在を。
求めるのは光そのものじゃない。
光を一緒に探すことのできる仲間だ。
それさえあれば、歩き続けることができる。
ダメなら向きを変えて、また歩き出せば良い。仲間とともに。
(白石/新垣結衣・藍沢/山下智久)」
座右の銘にしてはあまりに長いですね。
司会の佐野アナが「これ覚えられますか?」と驚いていましたが、これはコードブルー1st〜3rd全体のテーマを表現したナレーションです。
コードブルーでは、奇跡的に患者が名医の力によって助かる、ということはほとんどありません。
患者さんは次々と亡くなり、救えない命を前に医師たちが苦心する。
そうした「暗闇」を描きつつ、その中で前向きに技術や知識を磨いていくためにチームが手を取り合う。
これがコードブルーのテーマであり、これが「実際に現場で起きていること」です。
私の好きな台詞については、「救命の世界に奇跡はない」と答えました。
コードブルーが他の医療ドラマと比べて異質である理由が、この「医療に対する謙虚さ」であると感じてきたからです。
「医療は万能だ」という表現ではなく、「いくら努力しても救えない命がある中で、医師はどう努力すべきか」という表現に、私は医師として共感します。
そして、そうした矛盾を抱えた苦悩に満ちた現場を、ぜひドラマ視聴者の方に知ってほしいと思うからです。
ちなみに会場からは5人のキャラクター設定に関する質問があり、増本Pは「もともと山下くんには白石をやってもらおうと思っていた」と告白。
しかし実際に山下さんに会い、男らしさや陰のある感じを知り、白石より藍沢をやってもらった方が良いと感じたそうで、
「ひょっとしたら嫌われ者になっちゃうかもしれないけど藍沢やってくれる?」
とお願いして藍沢の配役が決まったそうです。
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映画に関するマル秘情報
増本Pからは、
これまでに色々なネタがほぼ出尽くしたと思われるかもしれないが、その予想を遥かに上回るストーリーになっている
との情報がありました。
最初の1分から128分まで、一瞬足りとも飽きさせない自信がある
とのことで、映画には期待が膨らむばかりです。
西浦監督からは、「エンドロールが特別版になっていて、今までとは全く違う手法で作られている」とのコメントがありました。
これまでのシリーズでもエンドロールには毎回こだわっていたそうで、
1stはヘリを後から追いかけ、2ndではフェロー達が手を取り当って前進し、3rdではヘリと共に躍進する
がテーマになっていたそうです。
意外なエンドロールに注目ですね。
また西浦監督から「1st SEASONから登場しているあの人に会える」との裏情報もありました。
黒田か?メリージェーン洋子か?
と色々ファンの中では予想が広がりそうですが、公開まで楽しみに待ちたいと思います。
完成披露試写会の感想はこちら!