コウノドリ第2期は2017年10月から12月まで放送され、当サイトでは各話ごとに感想&解説記事を書いてきました。
全11記事合わせて約12万回も閲覧していただき、ドラマへの関心の高さを感じました。
さて、今回は恒例の解説記事総まとめです。
各話のあらすじと解説&感想記事を紹介します。
産科は私の専門領域外ではありますが、ガイドラインや成書、論文を参考に、なるだけ分かりやすく正確な内容を心がけました。
まだ読まれていない記事がある方はぜひ読んでみてください。
目次
全話あらすじ&解説
第1話「赤ちゃんは未来 生まれること、そして生きること」
主人公の鴻鳥サクラ(綾野剛)は先輩医師のヘルプで僻地医療に関わっていました。
離島の診療所で、妊娠高血圧症候群からHELLP症候群を起こした妊婦を担当します。
緊急帝王切開が必要と判断した鴻鳥でしたが、先輩医師の荻島(佐々木蔵之介)は血液製剤がなく危険だと反対します。
しかし最終的には鴻鳥の熱意が勝り、無事帝王切開を成功させました。
解説記事では、妊娠高血圧症候群やHELLP症候群、緊急時の対応について書きました。
またペルソナでは、四宮(星野源)が担当した妊婦の赤ちゃんが心室中隔欠損(VSD)にかかっていることがわかります。
記事ではVSDについても図解付きで解説しました。
コウノドリ2 第1話 解説|妊娠高血圧症候群&ヘルプ症候群、心室中隔欠損とは?
第2話「答えのない選択 大切な二つの命のために…」
鴻鳥の担当した妊婦が、子宮頸がんにかかっていることが分かります。
赤ちゃんを諦めてがんの治療に専念すべきか、出産を優先すべきか、夫婦は悩みます。
結局鴻鳥の提案した28週で出産し、帝王切開と同時に子宮頸がんの手術を行うという方針を採用しました。
日本はワクチン後進国とされ、特に子宮頸がんワクチンについては日本政府がWHOから名指しで批判されるほど普及していません。
こうした状況を受けて、正しい知識や子宮頸がんワクチンの必要性などを啓蒙するメッセージ性に富んだ内容でした。
解説記事でも、子宮頸がんの原因やワクチン接種、医療行為のリスクについての考え方について解説しました。
コウノドリ2 第2話 感想|子宮頸がんの原因とワクチン、円錐切除の目的とは?
第3話「母を救え 産後うつと無痛分娩…」
産後うつと無痛分娩という、近年の産科医療のトピックが取り上げられます。
特に最近、無痛分娩での事故が相次ぎました。
ドラマでは、無痛分娩の仕組みや望ましいあり方について、登場人物のセリフを通して語られました。
私の記事では、無痛分娩の麻酔の仕組みや、事故が起こる理由について図解入りで詳しく解説しました。
また無痛分娩に対して、私の考えも書いてみました。
コウノドリ2 第3話解説|無痛分娩の麻酔の仕組み、なぜ事故は起こる?
第4話「自然分娩 – “良い母親”になるためのリスク」
帝王切開後の2人目の出産で経膣分娩を試みることをTOLAC(トーラック)と呼びます。
第4話では、TOLACを望んだ妊婦の思いが語られ、それに対する鴻鳥の真摯な対応が描かれました。
TOLACのリスクについてはドラマでたっぷり語られましたが、解説記事では、私の妻の経験や一般的なTOLACのメリットについても書いてみました。
また、第4話では産科医療の難しさを体験して成長する研修医の姿が描かれました。
コウノドリは、周産期に関わる医師を増やすことも一つの動機です。
ドラマ中のセリフと重ね合わせ、私の産科研修の経験についても書きました。
コウノドリ2 第4話感想|私の産科研修の経験とTOLAC(トーラック)のリスク
第5話「長期入院 ママがあなたにできること」
子宮内で赤ちゃんが死んでしまう、子宮内胎児死亡の妊婦が登場します。
死産分娩に携わる産科医たちの大変さや、患者さんの辛さ、苦しさがありありと描かれました。
記事では、子宮内胎児死亡の仕組みや、なぜ分娩しないといけないかといった知識を解説しました。
また後半では、下屋(松岡茉優)が緊急帝王切開を行なって分娩された低出生体重児が登場します。
赤ちゃんは動脈管開存症で手術が必要な状態。
しかし両親は手術に反対し、説明が不十分なまま緊急帝王切開を行なった下屋を批判します。
これに対してフォローした四宮のセリフに関して、産科医と私たち成人を相手にする医師との考え方の違いを書いてみました。
コウノドリ2 第5話 感想|私が納得できない小松の行動と四宮のセリフ
第6話「母と子を救え! チーム救命医療」
ヘルプで当直に入った産婦人科病院で、下屋は同じ名前で同い年の切迫早産の妊婦と意気投合します。
ところが、ペルソナに帰ってきた下屋のところにその妊婦が心肺停止で運ばれてきます。
原因は甲状腺クリーゼ。
下屋は当直中に妊婦の手の震えや頻脈に気づいていながら、適切に対応できなかったことを悔やみます。
結局妊婦を救うことはできず、下屋は自分の弱点を鍛えるため、救急医療の場で研修を受けることを決めました。
記事では、甲状腺クリーゼがどういう病気なのか、なぜ死亡リスクがあるのかについて解説しました。
また、ドラマ中で描かれた心肺停止患者に対する心肺蘇生は、一点を除いて非常にリアルでした。
リアルだったところ、変だったところを解説してみました。
コウノドリ2 第6話 解説|妊婦の甲状腺クリーゼはなぜ怖いのか?
第7話「母になる人生 母にならない人生 何が違うの?」
メインキャラである助産師の小松(吉田羊)が、子宮腺筋症を患っていることが発覚します。
ひどい腹痛があったのに、我慢して治療せずにいたことで、病状はかなり悪化していました。
子宮の摘出が必要と判断した鴻鳥と四宮。
二度と出産できなくなるという厳しい現実を突きつけられ、苦悩する女性と、それに関わる産科医たちが描かれました。
解説記事では、ドラマだけではやや分かりにくかった子宮腺筋症やチョコレート嚢胞といった病気と、手術が必要な理由について書きました。
また、コウノドリの医療シーンは非常にリアルですが、全身麻酔の導入シーンには細かな誤りがあったため指摘しました。
コウノドリ2 第7話感想|小松さんの子宮腺筋症はなぜ手術が必要?
第8話「医師の決意 病院を辞めます」
若手小児科医の白川(坂口健太郎)は、学会での成功を皮切りに、やや自身過剰になっていました。
そんな白川を先輩医師の今橋(大森南朋)は心配していましたが、案の定大きなミスを犯します。
担当していた先天性心疾患の新生児を肺高血圧症と誤診し、適切な治療が行えませんでした。
両親から責められ、それに対する白川の態度に普段は温厚な今橋も声を荒げました。
記事では、今回登場した総肺静脈還流異常症と肺高血圧症について図解入りで解説しました。
また後半では、今回描かれた白川が、若手医師が陥りがちな姿としては非常にリアルであり、危険であることを解説しました。
コウノドリ2 第8話 感想|現実世界にもたくさんいる白川的若手医師に忠告
第9話「不育症 世界一の味方は誰?」
流産を繰り返してしまう不育症の女性を担当した鴻鳥。
不育症の多くは原因不明であり、それに関わる産科医たちの難しさが描かれました。
解説記事では、不育症の定義や原因について書きました。
また、能登の病院でたった一人の産婦人科医として踏ん張っていた四宮の父が肺がんで倒れます。
見舞いに行った四宮が、ピンチヒッターで帝王切開を成功させました。
突然現れた四宮に不信感を抱く患者。
このやりとりがいかにリアルかを書くとともに、先輩医師のあり方について私の考えを述べました。
コウノドリ2 第9話 感想|不育症の原因、患者が四宮を信頼できた理由
第10話「出生前診断 家族を作るということ」
出生前診断によって赤ちゃんが21トリソミー(ダウン症)だと判明した2人の妊婦が描かれました。
1人は苦悩の末に出産を決め、もう1人は中絶を選びました。
この妊婦たちに関わった鴻鳥と四宮らペルソナのスタッフたちは、近年急速に普及した出生前診断の利点と欠点について語ります。
出生前診断について視聴者に啓蒙するとともに、偏りのない表現を意識して慎重に脚本が作られていました。
私の記事では、こうしたデリケートなトピックに挑んだ脚本の素晴らしさや、21トリソミーが多い理由を医学的に解説しました。
また、白川が目標とする今橋という医師を中心に、コウノドリで描かれる理想的な「名医」の姿について私の考えを述べました。
コウノドリ2 第10話感想|なぜ21トリソミーだけが多いのか?生まれるという奇跡
最終回「チームが起こす最後の奇跡!それぞれが進む未来」
第10話の続きとして、出生前診断でダウン症が発覚した妊婦と、それに関わる産科医療スタッフたちが描かれました。
また、産科手術中の大出血と、それに対する懸命の救命処置が臨場感たっぷりに描かれました。
記事では、この現場描写のリアルだったところと、ドラマだけの演出と言えるやや非現実的な部分を合わせて解説しました。
最後に、
コウノドリが描く理想の医師像とは?
をテーマに、私の思う医療ドラマの理想像を書きました。